不動産業販売会社H社 社長の一声でiPadの導入決定。400台のiPadを
課題
経営会議でiPadの導入が急遽決定!
中堅不動産販売業H社では、営業効率とサービス向上を目指して、何度かタブレット端末の導入が検討されてきた。しかし、タブレット端末導入に当たってはセキュリティ対策の課題がつぶしきれないという懐疑的な意見が多いことが理由で、話が出ては消えを繰り返していた。
ところが、業界の会合に出掛け、業界内でタブレット端末導入が進んでいることを耳にした社長は、突然H社でのタブレット端末の導入を決めたのだ。機動性の高いタブレット端末は競合企業各社で導入が進み、すでに営業現場では、「御社ではiPadで物件情報を見せてくれないの?」を言われる始末。早速、経営企画室が中心となって早期導入プロジェクトが組まれ、利用アプリケーションの選定、利用ポリシーの策定やリスクの洗い出しを行うことが言い渡された。
機種については満場一致でiPadに決まったが、そこから先が頓挫してしまった。原因はiPad活用によるリスクが予測できないことにあった。一般的利用のリスクならともかく、営業現場でのセキュリティリスクについては情報が少ないのだ。
セキュリティ対策も見えないままに導入期限が迫る。
管理サーバや環境準備に要する時間を、社長はまったく理解してくれない
プロジェクトメンバーにはH社の情報システム部のメンバーも招集されていた。元々は400台のiPadに必要なアプリケーションを効率よくインストールし、社内に配布するための担当として呼ばれていたのであったが、プロジェクトが進むにつれ、「セキュリティ対策や管理はシステムに一任する」ということになった。見えないリスクに進捗が遅れ始めてきた。いっこうに進まないプロジェクトに業を煮やした社長から、「後1ヶ月で必ず導入しろ!」という最終命令が下ってしまった。
困ったのは情報システム部である。400台のiPadを管理するためには、専用の管理サーバを用意しなければならないからだ。サーバ本体の手配や各種インストール、モバイル機器類を管理するための環境準備から検証までざっとみても2ヶ月はかかる。しかし、H社の情報システム部は不動産情報を管理する専用システムの要員と、基幹システムと各拠点のPC管理を担当するスタッフが数名のみである。もともとリソース不足に加え、iPadの早期導入とその管理といわれても、リソースもノウハウも存在しない。
与えられた時間はあと1ヶ月・・・どうすればいいのか、情報システムメンバーは頭を抱えるしかなかった。
課題のポイント
競合各社が営業現場でのiPad導入が進み、自社導入はもう先送りできない
全国で400台iPad導入に、どんなリスクがあるのかわからない
情報システム部には、リソースがないがiPadの管理は一任されている
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