マルチスケール解析ツール「Multiscale.Sim」の開発企業として、Ansys Technology Partnerプログラムに参加。その成果としてAnsys製品との新しい連携機能をリリース。
複合材料に対する需要の高まりを受け、Multiscale.Simの技術資料「Ansys Composites and Multiscale Homogenization Technical Overview」が、Ansys公認を受けてユーザーサイトで公開されました。
2024年08月30日
PDF版はこちらサイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役 社長執行役員:白石 善治、以下「サイバネット」)は、ANSYS, Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、以下「Ansys」)と、同社のTechnology Partnerプログラムに、ソフトウェアパートナーとして参加する契約を締結し、その成果としてAnsys製品との新しい連携機能をリリースしたことをお知らせします。
マルチスケール解析ツール Multiscale.Simとは |
Ansysとのパートナーシップ
Ansys Technology Partnerプログラムに認定された企業は、Ansysソフトウェアとプラットフォーム上で、自社のソリューションを構築することが可能となります。このプログラムでは、業界で最も革新的なソフトウェア/ハードウェア/クラウド/ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ベンダー企業が、Ansysと密接に協力し、お客様のビジネスニーズに合わせてカスタマイズされたさまざまなソリューションを提供しています。
サイバネットは、2020年にAnsys社のSolution PartnerプログラムにAdvanced Solution Partnerとして登録後、2023年にはTechnology Partnerプログラムに昇格し、Ansys社との連携をさらに強化しました。その結果、「Multiscale.Sim」はAnsys の公式EコマースサイトAnsys Storeで提供されることになり、材料選定ツール・材料データベースAnsys Granta MI®や粉体挙動解析ソフトウェアAnsys Rocky®といった定評あるAnsysソフトウェア向けの連携機能もリリースしています。
さらに現在、Multiscale.Simについての技術資料「Ansys Composites and Multiscale Homogenization Technical Overview(複合材料とマルチスケール均質化の技術概要)」が、Ansysのユーザー向けサイトの「Materials and Multiscale Homogenization tools」セクションで公開されています。
本技術資料では、Multiscale.Simの特長として、強力な均質化・局所化解析機能※1、正確なカーブフィット、すぐに利用できる微細構造作成テンプレート、著名なサード―パーティ製CAEツールとのインターフェースがあり、シームレスな連携が可能であることが挙げられています。
Multiscale.Simの技術に関連する近年の最新情報
製造業における複合材料の需要の高まり
近年、持続可能で革新的な製品設計を実現するために、複合材料の利用が増加しています。しかし材料の特性を、様々な条件下かつ長期間にわたって評価することは、実際の材料試験機を使った従来の試験方法では難しいのが実情です。
また、材料の組み合わせが膨大なため、研究者や設計者は最適な製品を特定するために何度も繰り返し試験を行う必要があり、物理試験だけに頼るのはさらに困難になります。
Multiscale.Simは、強固な仮想材料試験※2機能と、すぐに利用可能なテンプレートを活用した微細構造の自動モデリング機能を提供することで、製品設計エンジニアが材料設計に関わる課題を迅速に克服することをサポートします。
ニーズが高まる全固体電池製造のためのマルチスケールシミュレーション技術
全固体電池は、電気自動車(EV)や産業機械から人工衛星のようなミッションクリティカルな航空宇宙用途に至るまで、さまざまな産業で次世代の電池システムとして採用されつつあります。
全固体電池の安全性を最大限に維持しながら高品質な性能を達成するためには、内部の各材料が正確に整列された微細構造を実現することが極めて重要です。
Multiscale.Simは、Ansys RockyやAnsys Mechanical™との連携に基づくDEM-FEM※3連成解析ワークフローによるマルチスケール解析技術を提供します。これによりエンジニアは、設計および製造プロセス全体を通して材料の挙動を正確に予測することで、高性能な全固体電池の開発を促進することができます。
Multiscale.Simの詳細については、下記Webサイトをご覧ください。
https://www.cybernet.co.jp/ansys/product/lineup/multiscale/
注釈
※1: 均質化・局所化解析機能:マクロスケールのFEM解析は、均質化解析によって同定された複合材料の微細構造が等価な材料物性によって、均質化されたモデルを用いて実現される。局所化解析では、均質化されたマクロ構造の特定の領域にズームインし、不均一な微細構造内部の応力やひずみ分布などの材料挙動を観察することができる。
※2: 仮想材料試験:微細構造を再現したモデルを用いて、FEM解析による数値計算によって実施する材料試験。実材料試験では実現が困難な条件も含んだ、あらゆる変形状態を容易に再現することができるため、異方性の挙動を持つ複合材料の設計とは親和性の高い技術として知られている。
※3: DEMとFEMシミュレーション:粒子の変形が無視できる問題では、粒子を剛体球と仮定したDEM(離散要素法)による解析が効率的である一方、FEM(有限要素法)では粒子の変形等も詳細観察できるため、圧粉や成型後の性能評価では有効な手段となる。このように、適切な解析手法は場合によって異なるため、DEM-FEMを連携することで、一連の製造プロセスを考慮した最終成型品の性能が予測可能となる。
1985年の創業以来、物理学などの科学技術とデジタル技術の両面に精通した技術者集団として、製造業の研究・開発・設計部門や大学・政府の研究機関を中心に、コンピュータシミュレーションやサイバーセキュリティ、AR/VR、医用画像処理などに関わるデジタルソリューションおよび技術コンサルティングサービスを提供しています。
近年は、CAE、MBD、MBSEを中心とした製造業におけるエンジニアリングチェーンの革新に加え、PLMやIoTを活用したサプライチェーンの高度化に関わる分野にもソリューションの提供範囲を拡大しています。また、サイバーセキュリティ分野では、最新の脅威に対応した先端的なソリューションを複合的に提供できる体制を構築してきました。さらに、AIを活用したプログラム医療機器の分野において国内で初めての医療機器承認ならびに公的医療保険の適用を受けるなど、医療AIのパイオニアとして業界をリードしています。
サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
https://www.cybernet.co.jp/
本件に関するお問い合わせ:サイバネットシステム株式会社
- 内容について
- デジタルエンジニアリング事業本部 エンジニアリング事業部 ソリューション開発課
担当:山本
E-MAIL:cmas@cybernet.co.jp - 報道の方は
- コーポレートマーケティング室
担当:宮本
E-MAIL:prdreq@cybernet.co.jp
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