CAEの役割とメリット
CAEがもの作りの中でどのような役割を担い、どのようなメリットを有しているのか、CAEを利用した設計システムについてご説明します。

CAE技術は製品開発の特定の分野のみにおいて利用することも可能です。しかし実際は、製品開発の要求仕様作成から設計、実験、製造、保守のすべての工程に活用可能であり、各工程において様々な役割を担っています。
CAEの必要性
CAEが製品開発におけるどのようなケースでその魅力と意義を有しているのか、その必要性をご紹介します。
ケース1:CAEでないと分からない場合(本質的にできない)
- 材料内部の応力
- 材料内部の磁束の流れ
- 電磁波の伝搬
ケース2:CAEでないとできない場合(現状、実際上できない)
- 技術的に再現できない極限環境
- 100万度だったらどうなるか?
- 重力が1万倍だったらどうなるか?
- 超微少(原子レベル),超巨大(宇宙レベル)
- 理論物理学の検証
- 規制上の問題
- 核分裂シミュレーション
- もともと計算量が多く、手計算では追いつかないもの
- レンズ設計
- 各種最適設計
ケース3: CAEでないと困難な場合
- 地球上で再現困難な極限環境
- 真空状態
- 無重力状態
- 危険を伴う実験
- 雪道で時速200km/hで自動車の急ブレーキを踏んだ場合の挙動
- エンジンを限界で回した時の挙動
- 衝突の瞬間(例:1/1,000,000秒ごとの挙動)
ケース4:莫大な実験コストがかかる場合
- お金のかかる実験
- 自動車の衝突
- 核実験
- 時間を短くできる
お金のかかる実験自動車の衝突核実験時間を短くできる
ケース5:第三者に理解してもらう場合
- 分かりやすいポストプロセッシグより、専門家以外にも結果を理解させることが可能
- 美しいポストプロセッシングによりプレゼンテーション効果が大きい
CAEの適用分野

CAEが利用される分野は、微細な半導体回路から、航空機やプラントまであらゆる大きさの機械系構造物、さらには通信・制御分野のロジックやアルゴリズムの開発など幅広いのですが、それだけにとどまりません。
構造力学、流体力学、機械力学、熱工学、光学、音響工学、原子力工学、航空・宇宙工学、電子工学、精密工学、バイオ、ケミカル工学、環境工学、生体工学、金融工学など有形/無形を問わずあらゆる工学的問題に対する問題解決策となりうる技術といえます。