固体推進薬注型時のエックス線による可視化画像解析
琉球大学 石川正明 様
JAXA 嶋田徹 様
JAXA 羽生宏人 様

ロケットは、利用する固体推進薬が設計に従った品質になっていないと、安定した推進力を得ることができない。その固体燃料はスラリーを型に流し込むことで生成されるので、注型時の挙動を把握することは燃料の製造システム設計に重要である。JAXAでは、その挙動解析用の数値計算コードを開発予定であるが、検証のために実験による挙動把握も必要となる。本稿は、JAXAからの委託研究で、日本油脂株式会社、サイバネットシステム株式会社と共同で実施したスラリー注型時のエックス線による可視化画像解析の結果についての速報である。

実験概要

図は、実験のアウトラインを示す。2重円筒の容器にスラリーを注入し、その様子を2方向からX線撮影する。スラリーには、トレーサとして鉛球を入れている。画像解析では、動画からPTV(粒子追跡)を行い2方向のマッチング処理によって3次元化する。スラリー注入は2回に分けて行われ、その単位を「バッチ」と呼ぶ。


以下、本試験の中の、画像解析処理について述べる。

画像解析処理手順

下図は、処理のフローを示している。実験映像は、2台のX線記録装置(FP:フラットパネルデテクタ、II:イメージインテンシファイヤー)から動画として出力される。撮影時間は2バッチで約30分、1台で約3000枚、2台で約6000枚の画像を獲得した。これをビットマップの連番画像ファイルに展開し、二値化によってトレーサ粒子を抽出。そこから粒子座標を算出し、各画像内においてPTV(4時刻追跡法)で粒子追跡を行い、X線の広がりを考慮して座標値補正をかけながらステレオマッチングし、粒子の3次元座標を算出する。