近年の情報社会におけるコンピュータビジュアリゼーションの研究 〜視覚効果に着目した高度な画像表現・情報提示技術〜
東京大学大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 高橋 成雄 准教授

今回は、コンピュータビジュアリゼーションを中心とした研究について、東京大学大学院の高橋准教授にインタビューいたしました。


東京大学大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 高橋 成雄 准教授

はじめに

講義などで、図1を見ながら「どっかおかしいところありますか?」と聞いています。よっぽど分かっている人じゃないと、どこというのは気付かないんですけど、右端の図は、普通使うCGや透視投影と違い、それを少しゆがめることで、山の形はきれいにみせながら、道路の遮蔽を減らし、奥行き感も保てるような事をやっています。


(図1)

高橋研究室のスタンス

基本的に、可視化のプロセスの考え方として、2つ大切な物があると考えています。
1つは、複雑現象を含んだデータからの特徴抽出です。データから特徴を引き出して、それをきちんと可視化の画像の中に埋め込む。その特徴抽出のアルゴリズム研究が一つのスタンス。
2つ目は、人間の知覚を考慮した可視化の研究です。
計算機の性能に応じて表示情報は増やせますが、われわれの視覚はそれに応じて拡張できるかっていうと、限界があるわけです。人の目は、ディスプレイの中に表示される2次元の絵から、何かしら3次元的な奥行きを知覚しますが、ある程度の許容範囲が存在します。
実際、我々が手で描く絵なんかは、写真の絵とは違うもので、それでも我々は頭の中に3次元のシーンを想起できるわけです。と言うことは、ある程度、現実と画像の差異には許容範囲があるということです。
そこで、この範囲内で画像をゆがめる事で、情報量を増やすなどの修正を積極的にやっていきましょう、といったことをやっています。学生は、後者の方を比較的好むので(笑)