AVS/Expressにより、イタリア航空宇宙センターにおいて、新たなアプローチが実現


Onera-m6 wingセクションのX-Yプロットから
生成された2つの等値面を表示した例。
Reader ManagerとFullScreen3Dのウィンドウにより、
ユーザーはシミュレーションする際の
パラメーターを指定することが出来る。
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1985年に設立されたイタリア航空宇宙研究センター(CIRA)のサイエンティフィック・ビジュアリゼーション・グループは、研究解析を通じて多くの成果を挙げています。かつては自作のグラフィックス・ライブラリー、C言語、それにPDSのGUIツールキットなどを駆使したトラディショナルなアプローチにより、可視化システムを構築してきました。「開発ツールとしてAVS/Expressを採用したことは、我々にとって真の意味での革命でした。」とサイエンティフィック・ビジュアリゼーション・グループの所長パブロ・レオンチー二氏は語っています。

レオンチーニ氏は続けます。「AVS/Expressを使用することにより、エンドユーザー・アプリケーションを構築する過程で、可視化の問題点の解決のみに注力できるのです。それまでは、レンダリング、データ操作、対話性、ポータビリティーなどの問題点に多くの時間が割かれてきました。」

「AVS/Expressにより、我々の製品は実質的な意味での科学的付加価値を提供することが可能となりました。研究者達が研究活動に集中することができるので、その成果としての革新的なデータ描写、それに可視化テクニックを製品の中に盛り込むことが出来るようになったからです。」

「またAVS/Expressを使うことにより、我々の製品を常に最新な状態に保つことが容易に出来るのです。つまり、新しいコンピューター・アーキテクチャー、グラフィックス環境、コンピューター技術、それにWebへの統合と言った新たなトレンドなどに合わせて、製品に改良を加えていくことが容易に実現できるのです。」

AVS/Expressは未来の可視化システムの発火点である

CIRAのサインエンティフィック・ビジュアリゼーション・グループで開発された革新的なテクニックとツールは、イタリアおよびヨーロッパ各地の航空宇宙分野の研究者達によって活用されています。更に同グループでは、ソフトウェア・インテグレーションに関するユーザー・サポートも行っており、ユーザー・フレンドリーなシミュレーション・システムを構築することを支援してます。

CIRAは長年にわたり、マルチブロックのグリッドを使用した2つの流体解析システムを提供してきました。両者ともSGIのGLルーチンを元に開発されたものです。

FLOVISTMは、汎用の可視化システムで、流体分野及びその他の計算分野の研究者、エンジニアが必要とする殆どのデータ描写テクニック、可視化技術が網羅されています。

NOVAは、パーティクル・トレース(流線)に特化したシステムです。これは、離れたところにいる科学者同士が、共同で可視化作業を行うことを主眼においたものです。

これらの製品の新バージョンが、現在AVS/Expressによって開発されています。より大きな柔軟性を得たことにより、CIRAではより幅広い機能を持ったアプリケーションの開発を進めています。一例では、CFDの世界に非格子グリッド・データが使用できるようにしていることが挙げられます。従来は非格子グリッド・データは有限要素法で用いられてきており、グリッド・ノードの数値は比較的低いものでした。CFDの世界では、グリッド・ノードの値は非常に高く、通常数百万の単位を超えます。

AVS/Expressでは、より幅広いデータ範囲のデータを扱うことが可能であり、膨大な量の情報を処理することを念頭においてデザインされています。CIRAの製品は、航空宇宙プロジェクトのエンジニアリングにおいて、設計前の段階で使用されることが殆どで、ここで得られたシミュレーションの数値解析データは、空気孔での測定データと較べると非常に細かいものです。

FLOVISの新バージョンは、レオンチーニ氏によると航空宇宙分野に限らず、多分野で使用されることになるそうです。例えば、構造解析分野やアニメーションによる製造工程のシミュレーションへの適用が可能だということです。

「AVS/Expressを使えば、開発以前の段階で、原案に適合性があるかどうか素早く検証することが出来ます。よって、開発者はアプリケーションの開発に様々なアイデアを出しながら、取り組むことが出来ます。」

「システムのメカニズムに対して、強力で細部に渡るコントロールが出来るおかげで、アプリケーションの開発に柔軟性が与えられました。同時にAVS/Expressは モジュールを組み合わせ、ユーザー・インターフェースを構築する作業を、殆ど全て対話的に実現してくれるのです。これにより、我々は開発に要する時間を短縮することができ、アプリケーション・コードの管理も楽になったのです。」とレオンチーニ氏は語っています。

ユニークで効果的な比較をする

AVS/Expressベースの、初めての非格子グリッド用可視化システムがリリースされたのは1997年初頭のことでした。この製品は、LIC (Line Integral Convolution)テクニックの使用により、サーフェス上のフローを、実際に実験をしているかのような自然な見栄えで表示することが出来ます。

今後は、マルチブロック格子グリッド、写真、赤外線図などを可視化する機能を追加する予定となっています。CIRAでは、グリッド、イメージに対する様々な処理テクニックを追加するよう計画を進めており、これによりシステム柔軟性は更に向上すると期待されています。

AVS/ExpressのWWW対応の機能により、空気孔シミュレーション・システムと空気孔を統合するキー・コンポーネントとして、CIRAの可視化システムが機能するようになりました。また、空気孔のリモート・アクセスを可能とする複雑なシステムの一部としても機能します。これは、アメリカでNASAがいくつかの企業と連動して、遠隔地から実験に参加するシステムを構築したことに類似したケースです。「AVS/Expressはカスタマイズ性が優れているので、このようなことも簡単に実現できるのですよ。」とレオンチーニ氏は語っています。

CIRAについて

CIRAは、ヨーロッパ全土に展開する航空宇宙研究グループAEREAの一部門です。このグループには、DLR(ドイツ)、DRA(イギリス)、FFA(スウェーデン)、NLR(オランダ)、INTA(スペイン)、ONERA(フランス)の各研究所が存在します。

CIRAは、以下のような様々研究活動に携わっています:

  • 気体力学
  • 気体音響
  • 凍結防止法
  • 気体熱力学
  • 飛行機械学
  • 材質

(図左)自動車の画像には、精密なパラメーターを使用したLICの流線によって
渦巻表示がされています。LICのROI(関連領域; Region Of Interest)
により可視化する対象となる領域を指定します。

(図右)この図は、渦巻が起こっている領域を拡大して表示したものです。
トライアングルをLICのレンダリング・プリミティブとして使用することにより、
サーフェス・シェーディングが可能となり、より正確に空間が表現できます。
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