今回は、東京工業大学(以下、東工大)学術国際情報センターの青木教授にインタビューを行いました。
東工大のスーパーコンピュータ「TSUBAME」*1) を使って世界最大規模のデータから可視化画像を作成したことが記憶に新しいところで、青木先生にも多大なご協力をいただきました。
『「可視化は楽しくなければいけない」というのを信条としていまして、美しい可視化の画像が画面に出てきたときの喜びはやっている人にしか分からないと思います。』
と、素敵なお言葉を発していただいた青木先生から、大規模可視化をテーマにお話いただきました。
「大規模化可視化は明らかに波がくる、と同時に、既に非常に困っていることがたくさんあるのです。」
と語り始めた青木先生。
「可視化をする目的はたくさんあるけれど、一番は、計算結果を理解するため。理解するにもいろいろありますが、結果を分析することで何かを発見する事でもあり、分析結果をより分かりやすく人にプレゼンする目的でもあったりと、様々です。 でも、まず自分が理解することが一番大切。ところが、大規模計算になるとそれが非常にしにくくなるので大変で困っている。」
と言います。
今後、ますます大規模な科学技術分野計算が頻繁になってくるにつれて、研究者自身の手で直接、対話的に操作をしながら分析を進めていく事が難しくなったり、データの間引きをせざるを得ない等の問題が発生してくる事になります。
これらの問題の解決策の一つとしても、大規模可視化が大変役立ってくるのです。
「大規模可視化は、流体、構造、分子・・・とにかく数が多いのです。主に研究関連にニーズがあります。」
とその必要性を説明していただきました。
「大規模計算のデータは、もともとの計算自体のCPUが20とか30とかを超えて、100あるのは普通ですし、東工大に関しては1万はあります。1万あると100並列の計算は100ジョブ程度流れてもいいくらいなんです。100並列と言うとですね、データが大きくて計算結果を通常では可視化できないわけですよ。パソコン1台のCPUだと、もうメモリに入らない。となると、どうしてもそれはダウンサイジングするしか方法がなかったりする。そうは言っても、ダウンサイジングしたくないのもたくさんあります。」
と、青木先生は言います。
「多分、分子解析なんかもそうだと思いますよ。分子の計算では、ダウンサイジングなんかしたら非常に大切なものが抜けてしまったり、どこを抜いていいのかわからない場合もあるじゃないですか。(データを)間引きしようと思ってもきれいに抜けない場合もあるのです」
このように、さまざまな分野で行われる研究プロジェクトの複雑な大規模計算データを、間引きせずに、精度を高め、より分かり易い研究結果を得るためには、大規模可視化をするのが必要であるとうかがえます。
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