材料

分野別にAVSを使用した事例をご覧いただけます。
事例によっては、AVSで処理した「動画」または「3D動画データ(GFAファイル)」のダウンロードもできます。 「3D動画データ(GFAファイル)」については、フリービューワ 3D AVS Playerを使用し、マウス操作でモデルを動かして観察することができます。

お客様の直面されている課題に近い内容など、ご関心のあるものがございましたら、詳しくご紹介させていただきますのでお気軽にお問い合わせください。


複写機画像形成プロセスにおける電磁粒子挙動シミュレーション

複写機やプリンターの開発においては、試作数を最少化し、効率的に、短期間で開発を進めるため、シミュレーションを活用しています。 このアニメーションは、複写機やプリンターで用いられる、非磁性絶縁性トナー粒子(粒径5〜10µm)と磁性導電性キャリア粒子(粒径数10〜100µm)を混合した二成分現像方式での画像形成過程のシミュレーション結果です。二成分現像方式では、図の下側に配置されている磁性ローラ上に、磁化したキャリア(グレー表示)を磁気力で吸着し、回転搬送することにより、キャリアに静電的に吸着した摩擦帯電トナー(赤表示)を搬送します。図の上側に配置している感光体(帯電した誘電膜)とバイアス電圧を印加した磁性ローラの間に電界が形成されており、トナーは静電気力により感光体表面に飛翔し、付着して画像(赤表示したトナー群による薄膜)を形成します。 画像の状態と電磁パラメータの関係を離散要素法(Discrete Element Method、DEM)により再現し、検討することで、開発の効率化につなげています。 シミュレーションでは、磁性ローラが形成する磁界、磁界中でのキャリアの磁化および磁化したキャリア間の磁気相互作用、磁性ローラと感光体間に形成される電界、電界中でトナーに作用する静電気力などの計算を行って、キャリア、トナーの運動を微小時間ごとに追跡しています。 なお、この例では、計算時間を短縮するため、円筒軸方向の幅を実際より短く設定しています。
Simulation/CAE(Computer Aided Engineering)
現像・転写プロセスのシミュレーション

データ提供 富士ゼロックス株式会社 研究技術開発本部 基盤技術研究所 様
使用アプリケーション MicroAVS
キーワード 粒子法,DEM,磁場
可視化手法 ソフトウェア球,アニメーション


半導体新原理トランジスタ動作のデバイスシミュレーション


※本事例の画像、動画の著作権は、産業技術総合研究所に帰属します。

新原理半導体デバイスNegative Capacitance FET (NCFET)は急峻なスイッチングでLSIの低電力化を目指している。産総研は物理モデル組込みを容易にしたImpulse TCADを開発、NCFETの解析に成功した(Ota et al. IEDM2017)。
奥の板状の半導体を囲み手前に引き出した金属シートは、金属柱で上方のゲート端子に接続するが、途中に板状の強誘電体を挟んでいる。ゲート電圧振動時の左が静電ポテンシャルと等値面、右は半導体の電子濃度であり、金属シートの電位がゲート端子より広く振動している。

データ提供 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ナノエレクトロニクス研究部門 福田 浩一様
使用アプリケーション AVS/Express
キーワード 半導体デバイス、デバイスシミュレーション、強誘電体、NCFET、TCAD
可視化手法 等数値面、鳥瞰図


リチウムイオン内包フラーレン合成の第一原理分子動力学シミュレーション
K. Ohno et al. Nanoscale 10, 1825-1836 (2018)

第一原理分子動力学法とは、初期原子位置と初期速度を与えると、それ以外の経験的なパラメタを一切用いずに量子力学の基本原理に則って、その後の原子の運動を計算する方法で、極めて正確な予測能力があります。この方法を用いて、リチウムイオン(Li+)をフラーレン(C60)の様々な場所に様々な速度で衝突させて、内包されるかどうかを見ることにより、プラズマシャワー法によるリチウムイオン内包フラーレン(Li+@C60)の合成収率を求めることができます。独自開発の高精度第一原理計算プログラムTOMBOを用いた700通りの第一原理分子動力学シミュレーションにより、Li+を30 Vの加速電圧で加速してC60にランダム衝突させたときに最大3.7±0.5%の合成収率になることが導かれました。このときのプラズマシャワー実験の合成収率は現状約1%なので、実験にはさらに収率向上の余地があることが分かりました。この動画はLi+をC60の6員環中央から0.8 Å離れた位置にめがけて10.5°の傾斜角、30 Vの加速電圧で衝突させて、C60に内包させた場合の軌跡を可視化したものです。リチウムイオン内包フラーレンは色素増感太陽電池を高効率化し、ペロブスカイト太陽電池の耐久性を10倍以上向上できる新素材として注目されています。Cu(111)表面への規則配列も実現し、分子センサーや単分子スイッチへの応用も期待されています。さらに、高いイオン伝導性を示し、C60より2400倍も高いDiels Alder反応性を示し、修飾基を付けやすいことから、ドラッグデリバリシステムへの応用も期待されています。

データ提供 横浜国立大学 大学院工学研究院 大野かおる 様
使用アプリケーション AVS/Express
キーワード 第一原理計算、分子動力学法、TOMBO
可視化手法 ボールアンドスティック、パーティクルパスライン


溶融スラグの流動解析

石炭を用いた次世代の発電として、石炭ガス化複合発電システム(IGCC)が注目されています。このIGCCでは溶けた石炭灰(溶融スラグ)をガス化炉の下部から速やかに排出することが重要になりますが、粘度の温度依存性が大きく異なる様々な種類の石炭での流動はよく分かっていません。そこで、最新の数値シミュレーション手法を用いて、溶融スラグの流動をシミュレーションして、ガス化炉下部の最適な形状を提案しています。

また、松隈研究室では二相流や多孔体内の流動解析を行っています。研究内容、可視化結果の動画は以下のページからご覧いただけます。
松隈研究室研究内容紹介ページ 可視化結果動画紹介ページ
データ提供 福岡大学工学部化学システム工学科 松隈研究室
使用アプリケーション AVS/Express
キーワード 格子ボルツマン法、二相流
可視化手法 等数値面、ベクトル


擬四元系LiO0.5-NiO-CoO1.33-TiO2反応図(@700℃)コンビナトリアル技術によるハイスループット機能性材料探索の一例(リチウム二次電池正極材)

実用化されているリチウム二次電池正極材(LiCoO2)の代替物質の探索を目指し、コンビナトリアル高速材料探索システムを駆使して組成の異なる460種類のLiO0.5-NiO-CoO1.33-TiO2試料群(ライブラリー)を作製し、全ての試料を結晶構造ごとに分類した結果である。単純遷移金属酸化物を三角形の頂点に、そして三角形から垂直に伸びる成分を酸化リチウムの成分量としたプリズム型の反応図となっている。赤は層状岩塩型構造、黄色はスピネル型構造、青は岩塩型構造、緑色は混合相となっている。このデータを多角的に観ることで、層状岩塩構造ではリチウム成分と遷移金属成分がおおよそ1:1の関係が成立することが直感的にわかる。これに様々な物性データを重ねることで、多成分系ライブリーのデータバンクとしての応用を考えている。

GFAファイル(388KB)

データ提供 東京理科大学 理工学部 先端化学科 藤本憲次郎 様
使用アプリケーション AVS/Express
キーワード エネルギー、電池
可視化手法 グリフ・マーカー


フラーレン分子ベアリングのナノスケール超潤滑


整合走査方向の超潤滑

微視的サイズでの低摩擦条件の探索は、あらゆるサイズの機械の効率的な稼働に寄与するため、産業上の要請です。そこで私たちのグループでは、ナノメートルの厚さのシート(グラフェン積層構造)でナノメートルのボール(フラーレンC60)をはさんだ「フラーレン分子ベアリング」を実験的に合成して、そのピコニュートンオーダーの超潤滑測定に成功しています。


特異な走査方向の超潤滑

そこでC60単層薄膜を上下層二枚のグラファイト単層膜(グラフェン)で挟んだグラフェン/C60/グラフェン界面モデルの分子力学シミュレーションを行いました。摩擦力は、ピコニュートンオーダーではありますが有限の値を取り、走査方向に依存する異方性を示しました。

データ提供 電気通信大学大学院 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 教授 佐々木 成朗 様
使用アプリケーション AVS/Express
キーワード 超潤滑、摩擦、フラーレン、グラフェン、分子動力学
可視化手法 ボールアンドスティック


グラフェンシートのナノスケール引き剥がし


整合接触からの引き剥がし

私たちのグループで行ったグラフェンシートの引き剥がし測定を解釈するため、グラファイト基板に吸着したグラフェンシートを引き剥がす分子力学シミュレーションを行いました。引き剥がしが進むにつれて面接触領域は減少して、グラフェンの端とグラファイト基板との間の線接触に移行しました。


不整合接触からの引き剥がし

また面接触領域の水平方向の運動に着目すると、面接触領域のグラフェン格子は基板のグラファイト格子とAB積層に近い積層状態を保持しながら、水平方向にスティック・スリップ運動を行います。力曲線を解析したところ、水平方向の滑り摩擦の情報が、垂直方向の凝着の情報に含まれている事が明らかとなりました。

データ提供 電気通信大学大学院 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 教授 佐々木 成朗 様
使用アプリケーション AVS/Express
キーワード 剥離、接着、摩擦、グラフェン、分子動力学
可視化手法 ボールアンドスティック



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