樹脂流動解析薄肉製品に適したメッシュ作成(レイヤーメッシュの作成方法)

- 薄肉製品の解析に適したメッシュを作成したい
- 薄肉製品の解析で、より精度の高い結果を得たい
PlanetsXでは金型キャビティ内の熱流動解析を行ない、内部の流動状態を定量化します。 そのためには、キャビティ内のメッシュ分割数を複数にする必要があります(可能ならば4層以上)。 通常はフリーメッシュを用いて作成しますが、ここでは特に薄肉製品の解析に適したレイヤーメッシュの作成方法をご紹介します。
PlanetsXは、マルチフィジックス解析ツールAnsysの統合操作環境「Ansys Workbench(以下Workbench)」上で射出成形解析を行なえることが最大の特長であり、メッシュの作成もWorkbenchのメッシング機能で行います。
Workbenchの優れたメッシング機能は、必要に応じて大きさや形状、メッシュ作成の方法などをきめ細かくコントロールすることが可能です。
インフレーションとは?
インフレーションとはレイヤーメッシュ(積層メッシュ)のことで、キャビティ表面から内部に向かって層状のメッシュを作成する方法です。
右図のように、通常のフリーメッシュに対して内部に層状のメッシュ(レイヤーメッシュ)を作成します。
このレイヤーメッシュは、薄肉形状等の解析で評価点を増やすのに適しています。
評価点が増えると、より精度の高い解析結果を得ることができます。
本事例にて使用するCADデータ
今回使用するCADデータは、右図のような薄肉のコインケースを対象にします。
インフレーションの設定
インフレーションの設定は、ツリーアウトラインの“メッシュ”から、“インフレーション”を挿入します。
設定内容としてはレイヤーメッシュの厚さなどがあり、“インフレーションの詳細”によって設定内容を変更できます。

完成したメッシュ(インフレーション)
インフレーションを用いると、下図のような層状のメッシュ(レイヤーメッシュ)が作成されます。
表面のメッシュは3角形に見えますが、断面図から内部のメッシュを確認すると3角柱の層状メッシュが作成されています。
完成したメッシュ(フリーメッシュ)
一方、インフレーションを用いないフリーメッシュでは、外観上インフレーション(上図)と変化はありませんが、内部のメッシュは粗くなる場合があります。
インフレーションを利用するための注意点
インフレーションアルゴリズムをご利用の際は、以下の2点にご注意ください。
- 作成後は、必ずレイヤーメッシュになっているかを確認してください。
メッシュが作成されても、条件によってはレイヤーメッシュになっていない場合もあります。 - できる限り層の厚さを一定にしてください。
内部にできる4面体の厚さを考慮して、層の厚さをなるべく均一にします。
必要であれば、複数のインフレーション設定を用いて層の厚さをコントロールしてください。
解析種類
樹脂流動解析、射出成形解析
※この事例では、Ansysに加えて以下のライセンスが必要です。
Ansys Workbench版 射出成形CAEシステム PlanetsX