光学用語集APD(アバランシェフォトダイオード)

APD(アバランシェフォトダイオード)とは

アバランシェフォトダイオード(avalanche photodiode)の略称です。アバランシェとは"なだれ"のことです。
フォトダイオードでは光のエネルギーが電子のエネルギーに変換されます。APDでは、強い電界をかけることで、半導体原子への光子の衝突によって発生する電子が加速され、他の半導体原子と衝突し、更に複数の電子を喚起していきます。このなだれのような連鎖によって、移動電子が爆発的に増える現象を"アバランシェ増幅"と呼びます。この効果により、微弱な光でも大きな電位変化を引き起こせるため、フォトダイオードの受光感度を大きく上昇させることが可能です。この効果の程度を増倍率と呼びます。
高いSN比でGHzオーダの高速光信号を電気信号に変換できるので、特に高速長距離のデジタル光通信では、必須の素子になっています。可視光帯から短波長帯ではシリコンが、1.3〜1.55μmの長波長帯ではInGaAs(インジウムガリウムひ素)などが使用されています。
アバランシェ効果の利用には逆バイアス電圧が必要であり、増倍率はこの逆バイアス電圧に依存します。(下図)

通常、デジタル信号は周波数範囲が広く、この周波数に比例して増大する電気回路上の熱雑音が問題になります。しかし、APDは、増倍作用により、単純なフォトダイオードに対して、SN比を良好に確保できます。

この様子を下図に示します。縦軸は光電変換後の電気信号および熱雑音のレベル、横軸は周波数です。単純なフォトダイオードでの光電変換後の信号を増倍率=1レベル(茶線)とします。一方、APDでは、信号が増倍されるため(赤線)、熱雑音(灰線)に埋もれにくくなります。

増倍率=1では周波数が大きくなると(黄矢印)、熱雑音は増加し信号より大きくなってしまいます(桃色矢印)。これに対して増倍されるAPDでは、高周波数帯域でもSN比を確保できます(緑矢印)。


使用周波数帯域に対するノイズと光電変換後電気信号

ただ、APDにおいても、光素子で発生するショット雑音や暗電流などの雑音もあるので、これらの影響を考慮し最適な状態で使用する必要があります。また、受光面積を大きくすると光を受けやすくなりますが、端子間容量(コンデンサ相当)が増加し速度特性が低下します。高速性を追求する場合は、比較的小さな受光面積(100μm平方オーダー)の素子を使用し、光ファイバーからの光を小型レンズで受光面に導く構成となります。

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