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ペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池とは、色素増感太陽電池の色素を、結晶構造を持つ鉱物(ペロブスカイト)に置き換えたものです。近年では最大変換効率約26%と、シリコン系太陽電池に近い性能になってきました。

ペロブスカイト太陽電池の構造は、導電性透明電極(ITOなど)の上に、正孔輸送材料(低分子有機物、ポリマー、酸化ニッケルなど)、その上にペロブスカイト結晶層、さらに電子輸送材料(酸化チタン、酸化スズなど)を重ね、背面電極を形成する積層型の構造をとります。この層の順序は、設計に応じて逆(n-i-p型)に構成される場合もあります。

以前は電子輸送層にメソポーラス(二酸化チタンなどの多孔質構造)を使用するタイプが主流でしたが、現在では、すべての層を平坦に積層する「プレーナー構造(フラット型)」が主流となっています。プレーナー構造はメソポーラス構造に比べて製造工程が簡易で、スケーラビリティに優れ、大面積化やフレキシブル基板への適用にも適しているというメリットがあります。


このような構造により、ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽量なフィルム状に加工でき、柔軟性も持たせやすいため、設置場所を選ばず、たとえば建物の外壁や窓、EVの外装、農業用ハウスなどにも活用できます。また、シリコン系や化合物系の太陽電池に比べて弱い光(曇天、室内照明など)にも強いという特性があり、多様な環境下での発電が期待されています。

ペロブスカイトとは、もとは灰チタン石という天然鉱物の名称ですが、太陽電池に用いられるものは人工的な合成物です。メチルアンモニウムなどの有機物とハロゲンや鉛、スズなどの金属の無機物を合成して作られ、これらの成分は安価で、輸入に頼らず国内で調達できます。ペロブスカイトは主に可視光を吸収し、赤外線はあまり吸収しません。しかし組成を変えて吸収する光の波長を変えることができます。またペロブスカイトは強い陰性のハロゲンの負イオンを含んでいるため、極性のある溶媒に溶かして電極に塗って乾燥させれば、印刷技術を応用して簡単に製造できます。

ペロブスカイト太陽電池の実用化に当たっては、耐久性と耐熱性を高めることが課題です。またペロブスカイトの成分には鉛が含まれているため、使用済みの太陽電池を回収する仕組みを作ることも必要です。

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