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光通信ソリューション

デバイス解析

デバイス解析の概要

光デバイス個々の特性を詳細に解析するソリューションです。光導波路や光ファイバ内のモード解析、共振器や変調器などのナノ光学構造内での光の電磁場分布や散乱・吸収特性のシミュレーションなどをご紹介しています。必要に応じて電気的な効果(キャリアの移動や発熱など)を取り入れたマルチフィジックス解析も行い、微細デバイスの動作原理を正確に把握できます。
直感的に理解が難しい微小領域での光の振る舞いも、シミュレーションを活用することで可視化・定量化でき、設計に役立てることができます。

技術課題のご相談や、掲載事例についてのご説明希望、製品のお見積り希望などはこちらからお問い合わせください。

アクティブデバイス解析事例

光通信デバイスの中でも、外部から電気エネルギーを加えて光を生成・変調・検出する能動素子をアクティブデバイスといいます。 レーザ(光源)、光変調器、フォトダイオード(受光器)などが代表的です。

【MZ変調器】光 - 高周波 - キャリアの連携解析によるMZ(マッハツェンダ)変調器の最適化

■ MZ変調器とは?
マッハ–ツェンダー変調器(Mach–Zehnder Modulator、MZM)は、光信号の強度変調や位相変調を行う光通信の中核デバイスです。
光を2つのアームに分割して干渉させ、電気的に導波路の屈折率を制御することで、光の位相を変え、合成時の干渉によって出力光の強度を変調します。
シリコンやInP(インジウムリン)、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)で実現され、広帯域かつ高スループットな光変調が可能な、光通信において標準的に用いられる方式です。

■課題/背景

MZ変調器は光とRF(高周波)信号の両特性を考慮しなければならない、高度に複雑なデバイスです。RF特性、キャリア分布特性、光導波特性の解析のため、光学×電磁界の錬成解析が必要です。本事例ではこのような錬成解析の手順を示します。

 

■解析の効果・結果

  • Ansys HFSS(電磁界解析)、Ansys Lumerical CHARGE & MODE(光学解析)の連携により、光・高周波両方の影響を加味した特性分析が実現しました。
  • 各設計パラメータが各特性に及ぼす影響を定量化・可視化できました。
  • メタモデルの活用により、効率的に解探索を行うことができました。

【MZ変調器】光変調器のDC特性から周波数応答までを求める - Lumerical×HFSSの統合解析

■解析の概要

マッハツェンダ型光変調器を対象に、Ansys LumericalとAnsys HFSSを連携させた統合シミュレーションを実施しました。Python APIを用いて設計パラメータから光損失、Vπ、光周波数応答まで一括して解析可能で、効率的なデバイス特性評価を実現します。

■解析フロー

【EA変調器】EA光変調器の一括特性解析

■ EA変調器とは?

電界吸収型光変調器(Electro-Absorption Modulator, EAM)は、半導体材料に電界を印加することで光の吸収率を制御し、光信号の強度を変調する光デバイスです。 量子井戸構造を持つ半導体に外部電圧をかけると、バンド構造が変化し、入射光の吸収係数が変動します。この現象(フランツ–ケルディッシュ効果や量子閉じ込めシュタルク効果)を利用して、光を電気的にON/OFFする仕組みです。

■解析の概要

LumericalのアドオンQCSEとPython APIを活用することで、設計パラメータ設定から導波路の屈折率・群屈折率・光損失の計算、電圧印加時の吸収係数スペクトル解析、さらにアドミッタンス抽出や小信号ac応答解析までを一括処理した事例です。これにより、DC電圧での変調効率(dB/V)や周波数応答などの特性を効率的に評価できます。

■解析フロー

【薄膜LiNbO₃位相変調器】薄膜LiNbO₃位相変調器の解析事例

■ 薄膜LiNbO₃位相変調器とは?

薄膜LiNbO₃(ニオブ酸リチウム)位相変調器は、優れた電気光学効果(ポッケルス効果)を持つLiNbO₃を、薄膜化した導波路構造内で活用し、光信号の位相を電圧によって精密に制御するデバイスです。従来のバルク型LiNbO₃変調器と比較してより高帯域・小型・薄膜集積化が可能であり、シリコンフォトニクスなどとの異種集積にも適しています。高速・大容量通信、量子通信、LIDARなど様々な領域で注目されています。

■課題/背景

通常のFDTD解析のみでは、ポッケルス効果などの非線形光学効果を考慮した解析は困難です。本事例では、光と電気の連成解析を実施し、薄膜LN変調器の電気光学特性を評価します。

 

■解析の効果・結果

  • Ansys Lumerical Multiphysicsを用いた光・電気解析により、各電圧印加時の実効屈折率の変化が把握可能かつ可視化され、位相変調特性を定量的に解析できました。
  • 損失特性の解析では、印加電圧による金属近傍のモード侵入による損失を確認でき、信頼性設計と公差設計につながる知見が得られました。

【半導体レーザー】外部共振器レーザーのI-L特性カーブシミュレーション

■ 半導体レーザーとは?

半導体レーザーは、半導体中での電子と正孔の再結合によって光を発生させるデバイスで、光通信における主要な光源として利用されています。小型・低消費電力でありながら高出力・狭線幅の光を発振できるため、送信側では信号を載せるキャリア光として、受信側ではコヒーレント検波用の局部発振器光として重要な役割を果たします。ファイバ通信、データセンター、センサー、LIDARなど幅広い応用に不可欠な中核デバイスです。

■解析の概要

Ansys LumericalのMode/charge/MQW/Interconnect連携による半導体レーザのシミュレーション事例です。各ソルバーで光損失・キャリア密度・光利得などの計算を行い、最終的に半導体レーザのI-Lカーブの取得を実現しました。

■解析フロー

【半導体レーザー】VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)のマルチフィジックス解析

■解析の概要

Ansys Lumerical(FDTD/charge/MQW/HEAT)をPython APIで統合し、電流-電圧特性、吸収、発熱、熱分布、キャリア密度を連成解析した事例です。電気・熱・光学を組み合わせたマルチフィジックスシミュレーションにより、VCSELの実動作環境を忠実に再現し、出力パワーが安定する条件を検討しました。

■解析フロー

【受光器】導波路型受光器の統合シミュレーション事例

■ 受光器とは?

光通信システムでは、送信側で電気信号を光に変換して光ファイバに送信し、受信側で光を再び電気信号に戻す必要があります。この「光 → 電気」変換を担うのが受光器(photodetector, PD)です。特に導波路型受光器は光導波路に沿って光を伝搬させながら吸収して検出する方式で、小型・低消費電力・高速という特徴から、データセンター向けコヒーレント光トランシーバや次世代光インターコネクトで広く研究・実用化が進んでいます。

■解析の概要

SiGe導波路型受光器を対象に、PINダイオード部と高周波電極部をAnsys LumericalとAnsys HFSSで解析し、等価回路モデルに統合しました。Python APIを活用することで、吸収特性からresponsivityの周波数依存性までを一括して評価可能とした事例です。

■解析フロー

パッシブデバイス解析事例

電力を必要とせず、光を分岐・合波・導波・偏波制御する受動素子をパッシブデバイスと呼びます。光ファイバ、光カプラ、WDMフィルタ、偏波ビームスプリッタ(PBS)などが代表例です。

【偏波回転分離素子】偏波回転分離素子におけるTEモード/TMモードの出力特性評価

■ 偏波回転分離素子とは?

偏波回転分離素子は、入力された光信号を偏波状態(TE偏波とTM偏波)に応じて回転・分離する光学デバイスです。光ファイバを伝搬する信号は偏波状態が混在するため、受信側で効率的に偏波を分離することで、偏波多重(PDM)通信における信号復調が可能になります。

■解析の概要

Ansys Lumerical FDTDを用いて、テーパ付き導波路と方向性結合器を組み合わせた構造をモデル化し、TEモードとTMモードの出力特性を評価しました。その結果、入力された光の偏波を効率的に分離できることが確認され、偏波多重システム設計に有効な知見が得られました。

【グレーティングカプラ】グレーティングカプラ~レンズ~ファイバの結合効率解析

■ グレーティングカプラとは?

グレーティングカプラは、光集積回路(PIC)上の導波路と光ファイバ間の効率的な光結合を可能にする素子です。導波路に形成された回折格子により、平行に進む導波光を垂直方向に回折させることで、外部光ファイバと接続できます。
特にシリコンフォトニクス等では、高密度で小型な光I/Oを実現するために欠かせない要素技術です。

■課題/背景

ミクロな構造(グレーティングカプラ)とマクロな構造(レンズやファイバ光路)を同時に最適化する必要があり、設計が複雑になりがちです。本事例では複数ツールの連携によって、スムーズかつ高精度な解析を目指します。

 

■解析の効果・結果

  • ミクロな解析が得意なAnsys Lumericalと、マクロな光学解析が得意なAnsys Zemax OpticStudioを連携させることで、光集積回路と光ファイバ間の結合効率を高精度で解析することができました。
  • マイクロレンズ形状やファイバ位置などの最適化を効率的に行うことができました。
  • 光集積回路やファイバの実装誤差に対するトレランスも把握可能です。

【多モード干渉素子(MMI)】等価屈折率法を用いた2次元FDTDシミュレーション

■ 多モード干渉素子(MMI)とは?

導波路の一部を多モードが伝搬できる広い領域に設計し、その中で生じる光の干渉効果を利用して入力光を複数の出力ポートに分岐・合波するデバイスです。MMIは構造がシンプルで製造誤差に強く、低損失かつ高い均一性を持つため、光スプリッタ、合分波器、光スイッチなどの基本素子として広く利用されています。

■解析の概要

入力2ポート・出力4ポートで構成される多モード干渉素子(MMI)の動作をAnsys Lumerical VarFDTDで解析したものです。等価屈折率法を用いて3次元構造を2次元に簡略化することで、大規模素子でも効率的にFDTD計算を行い、波長依存性を含めた出力特性を評価しました。その結果、90度ハイブリッドとしての分岐特性を短時間で確認できることが示されました。

【光ファイバ】光ファイバの固有モード解析・曲げ損失解析・デバイスとの結合効率解析

■ 光ファイバとは?

光ファイバは、光を伝送するための細い繊維状の物質です。用途・仕様に応じて、シングルモードファイバ(1本の基本モード伝送)やマルチモードファイバ(複数モード伝送)、フォトニッククリスタルファイバ(微細構造で独特の波長特性や散乱特性を持つ)などがあります。光信号をほぼ損失なく長距離伝送することが可能で、通信速度の高速化・長距離化に不可欠です。

■課題/背景

複雑な構造のファイバのモデリングや、解析内容(固有モード、結合効率など)に応じた適切な解析方法の使い分けが設計時の課題となります。本事例では、固有モード解析・曲げ損失解析・デバイス間の結合効率解析に焦点を当て、どのようにして光学解析を行うかを示します。

 

■解析の効果・結果

  • Ansys Lumerical(MODE / FDTD)を用いることで、各種光ファイバの固有モード解析を効率的に行うことができました。
  • 複雑な構造の光ファイバでも、比較的短時間でモデリングすることができました。
  • 光ファイバとデバイス間の結合効率を、場合に応じた適切な方法で解析できました。

【光導波路】光導波路のモード解析・伝搬解析

■ 光導波路とは?

光導波路とは、光を特定の方向に導く構造で、通信やフォトニクス集積回路において、光ファイバと同様に光信号を移送する“光の配線”にあたります。一般に、コア(高屈折率領域)とクラッド(低屈折率領域)により構成され、全反射により光を閉じ込めます。導波モードや実効屈折率といった波動特性を把握・設計するには、波動光学(モード解析)が不可欠です。

■課題/背景

光導波路の設計では、これまでの幾何光学では捉えきれない波長スケールでの光の挙動(モード構造・伝搬損失など)の考慮が必要になるため、モード解析と光の伝搬を描き出すシミュレーション(波動解析)が設計の基盤となります。本事例では初学者に向けて複数の解析事例を通して具体的な解析アプローチ例を示します。

 

■解析の効果・結果

  • Ansys Lumerical(MODE / FDTD)を用いることで、各種光導波路のモード解析・伝搬解析を効率的に行うことができました。
  • 解析対象やモデルに応じて各ソルバーを使い分けることで、目的に応じた効率的な解析ができました。
本ページで掲載した解析事例についての詳細説明のほか、ご質問やご相談、製品のデモのご希望などがございましたら、ぜひお気軽に以下お問い合わせフォームよりご連絡ください。経験豊富な専門スタッフが詳細なご案内や技術的なサポートを提供し、お客様のニーズに合わせた最適なご提案をいたします。
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