地震観測網を運用した地震の研究 〜地震被害の軽減を目指して!〜
防災科学技術研究所 地震観測データセンター 高感度地震観測管理室 汐見 勝彦様

今回は、地震災害から私達を守るために役立つ情報発信や地震被害軽減のための研究につながる地震観測網の運用を担当されている、防災科学技術研究所の汐見様にインタビューし、地震観測の役割をわかりやすく説明していただきました。


防災科学技術研究所 地震観測データセンター 高感度地震観測管理室 汐見 勝彦様

地震の原因:プレートとプレートのせめぎ合い

【図1】世界の地震の分布図
【図1】世界の地震の分布図

地震と一口にいってもいろんな種類の地震があります。ひとつは、日本列島の東から来る太平洋プレートや南からくるフィリピン海プレートが私達のいる陸地の下にもぐりこむ時に、プレートとプレートがこすれる境界付近で起こる地震。2003年の十勝沖地震がこのタイプの地震です。
この他、2001年に広島、愛媛で被害を起こした芸予地震や2003年の宮城県沖の地震のようにプレートそのものが割れて起こる地震、また、有名な阪神・淡路大震災を起こした兵庫県南部地震のように沈み込むプレートに陸地が押されることにより、陸の岩板が割れて起きる地震などが挙げられます。このタイプの地震は、私たちのすぐ足元で起きるので、地震の規模に比べて被害が大きい点が特徴です。

【図1】は、世界中で起こっている地震を示していて、黄色い線がプレートの境界を表していますが、その境界の所に集まっている赤い点は地震が起こっている場所です。
日本は地震大国といわれますけど、世界の面積の何%もないのに、世界中の地震の約10%が日本で起こっています。地震が起こる原因となるプレートが多く集まっているんですね。逆に大陸であるロシアとかアメリカの中央部というのは地震が起こりにくいんです。
アメリカの東海岸に住んでいる人は、西海岸に行った時に1回地震を経験したことがあるんだというのが自慢になるくらい!それくらい地震がないんですね。逆に日本にいると1か月に1回以上はどこかで地震を感じています。

進化する地震の研究

もともと地震の研究は、地震予知を目標としていました。例えば、「1か月以内に地震がおこる可能性があるので気をつけましょう」とか、「1週間後に地震がおこりますよ」などという情報が出せるのではないか、と取り組んでいました。
ところが、その結果が出る前に神戸の地震が起きてしまった。地震でこれだけの被害が起きたのなら、予知と言うより地震が起こった時にどうするか、を研究していくべきだということで、95年からは研究の主な目的が地震予知から「地震による災害をどう減らすか」に変わっていきました。

では、災害を減らすためにまず何をする必要があるかといった時、そもそも地震についてほとんどわかっていないんじゃないか、ということになりました。そこで、地震がいつ起こるのか起こらないか、起こり得るのか起こり得ないのか、ということを調べるためのデータ集めが始まりました。国土地理院は、GPSを使って地面の動きをもっと精密に測定するようになりました。
産業技術総合研究所は、実際に活断層がある場所を掘って、その活断層がいつ動いたのかを調べることを始めました。同時に、私たちの防災科学技術研究所は、高密度な地震の観測を始めたわけです。
まだまだデータは十分ではありませんが、このようないろいろなデータをまとめることによって、ここで地震が起こったらどういう揺れが起こるのかという情報を「地震動予測地図」という形でまとめ、そこから、防災対策やどう耐震性を高めるのかとか、人命を守る事のできる建物をどう建てるかなどといった疑問に答えられるような情報がだせるようになってきました。


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