没入型VRシステム導入事例
〜災害・環境影響評価バーチャルリアリティ可視化システムの納入〜
中央大学理工学部 都市環境学科

中央大学理工学部 土木工学科(現:都市環境学科)では、『災害や環境による影響評価のためのバーチャルリアリティ可視化システム』として、没入型VRシステムが導入されました。災害による人への心理的影響や避難シミュレーションなどを中心に、幅広く教育・研究に活用される予定です。本稿では、導入されたVRシステムの概要、構成機器の説明、特長、そして利用用途についてご紹介いたします。

システムの概要

以下の3要素から構成されます。サイバネットシステム株式会社がシステム全体を構築しました。

  1. 3面没入型VR装置:HoloStage(スクリーン:正面・床面・左側面)
  2. 可視化用ソフトウェア:AVS/Express・3ds max・MAYA
  3. VR用ソフトウェア:AVS/ExpressMPE・FusionVR・EasyVR・VR 4 MAX

没入型VR装置 HoloStage

特徴:立体視とヘッド・トラッキング

クリスティ・デジタル・システムズ製のHoloStageです。3面スクリーンに、PCワークステーションから出力される画像を、プロジェクターを使って表示します。立体視をするために、プロジェクターは、右眼用と左眼用の画像を高速に切り替えながら交互に表示します。その切り替えのタイミングに合わせて、眼鏡はシャッタリングを行います。つまり、右眼用の画像が表示されているときには、左目にシャッターを、左眼用の画像が出ているときには、右眼にシャッターをします。さらに、位置センサーと眼鏡を使ってヘッド・トラッキングを行います。すなわち、眼鏡の位置から見た映像が、3面のスクリーンに投影されます。このことにより、立体映像の中に入っていくことができます。この立体視とヘッド・トラッキングによって、観察者は、没入感のあるバーチャルリアリティの空間を体験することができます。

VR装置のしくみ

VRシステム構成の要となる5つの機器、(1)Vicon、(2)スクリーン、(3)液晶シャッター眼鏡、(4)エミッターの、個々の役割を以下に示します。

  1. 立体視対応プロジェクター:Viconから計測された眼鏡の位置情報を元に、スクリーンに視差画像を表示します。この時、一台のプロジェクターが、右眼用/左眼用の画像を高速に切り替えて交互に出します。
  2. スクリーン:正面・床面(2.8m×2.1m)、側面(2.1m×2.1m)のスクリーン3枚が使われています。
  3. 液晶シャッター眼鏡:右眼用・左眼用の画像の切り替えに合わせて、シャッタリングをします。
  4. エミッター:赤外線信号を送り、眼鏡にシャッタリングをさせます。この信号によって、眼鏡はスクリーン上の画像(右眼用・左眼用)の切り替えに同期を取ることができます。
  5. 位置センサーVicon:複数のカメラにより、眼鏡の位置・向いている方向を計測し算出します(トラッキング)。

高性能なシステム

今回、中央大学様に導入されたHoloStageは、大学に設置されたものとしては最高の性能を誇るシステムです。その特徴点を以下に挙げます。

  1. プロジェクター: クリスティ・デジタル・システムズ社製Mirage S+4K
    明るさは、最高で6500ANSIルーメン、かつコントラスト比は2000:1で、黒の再現性が格段にアップしており、可視化画像と背景の色のコントラストが非常に綺麗です。
  2. スクリーン: セミハードタイプ
    傷がつきにくく耐久性が強いだけでなく、ハリを保つことができ、ぶれのない美しい画像を表示できます。
  3. 位置センサー: VICON社製 光学式モーショントラッキング装置Vicon
    従来の磁気センサーより高性能です。磁気センサーの場合、天井に設置した磁気発生器と、眼鏡に取り付けた磁気センサーとがコードで繋がっています。よって、観察者はコードをつけたまま動かなければいけません。一方、Viconはワイヤレスなので、VR空間内を自由に動き回ることができます。また、内蔵されているカメラはデジタル式で、眼鏡の位置を高精度に計測することができます。

利用用途

VRシステムの他、脳波計や発汗計も導入されており、以下のような研究が行われます。

教育

  • 都市・地域の景観設計とその評価

研究

  • 津波、洪水、強風などの風水害に関する防災シミュレーション
  • 都市の大気環境などの環境シミュレーションとそれらの評価
  • 都市の騒音シミュレーションとその評価 (7.1chの音響設備を利用して)
  • 自然災害をVR空間で再現し脳波などを計測して、被災時における人間の避難行動をモデル化する(脳波計、発汗計などを用いて)

上述のような研究目的としてだけはなく、様々な用途で利用できることも大きな特徴のひとつです。VRモード(立体視)と、プレゼンテーションモード(PowerPoint、DVD、Blue-Ray表示)の2つのモードの切り替えが可能なので、授業でのプレゼンテーションや研究発表にもおおいに活用できます。

お客様情報
団体名:中央大学理工学部 土木工学科 (2008年より都市環境学科に名称変更)
ご担当者様:樫山和男教授
URL: http://const.civil.chuo-u.ac.jp/


[an error occurred while processing this directive]