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Ansys 2020 R1リリース情報

Ansys 2020 R1のハイライト

システム解析

自動運転の安全規格「SOTIF」をサポートし、性能の限界や弱点、誤使用などのリスクを考慮

自動運転技術の急速な進化に伴い、自動車に要求される安全性もますます厳しくなっています。自動運転の安全性を確保するためには、ISO 26262が扱っている機能安全だけではなく、性能の限界や弱点、誤使用といったシステムエラー以外の安全上のリスクを考慮することも重要であり、国際規格ISO/PAS 21448:2019(SOTIF:Safety of the Intended Function: 意図された機能の安全性)の策定が進められています。
品質・安全性および信頼性解析ツールAnsys® medini® analyzeでは、このSOTIF がサポートされ、より多角的な安全分析を実施可能となりました。

エネルギー効率・安全性の高いバッテリーコンポ―ネントの作成が容易に

システム設計シミュレーションツールAnsys® Twin Builder™に、バッテリーウィザードの機能が新たに追加されました。ナビゲーションに沿って設定するだけで、実験データ等から充電率(SOC)および温度を考慮した等価回路バッテリーコンポーネントを容易に作成することができます。
自動車をはじめとした、高い安全性とバッテリー効率が要求される製品の設計を強力に支援します


バッテリーウィザードのパラメータ設定画面

バッテリーモジュールのモデル

データインポート機能の強化により、ROM(Reduced Order Modeling)※1の工数を削減

ROM (Reduced Order Modeling) 機能Dynamic ROM Builderにおいて、構造解析や流体解析の解析結果を、Excelなどの中間ファイルを介さずに直接インポートできるようになりました。3D解析結果データを1Dモデル化する手順が簡略化され、迅速に1Dシミュレーションを実施できます。


3Dの構造解析モデルをDynamic ROM Builderへ直接インポート

電磁界解析

EMI/EMCの規格に対応し、自動運転や5Gデバイスのノイズ対策を効率よく検討可能に

電子機器の急速な発展、自動車業界をはじめとした適用範囲の拡大に伴い機器が発するノイズへの対策がますます重要になっています。
Ansys 2020 R1では、「CISPR25」や「IEC 61000-4-2」といったEMI、EMCの規格に応じたモデルが新たに搭載され、これらのシミュレーションを容易に実施できるようなりました。自動運転や5Gデバイス設計など様々な電子機器製品のノイズ対策を効率よく検討可能です。


CISPR25放射エミッションの解析モデル

IEC 61000-4-2 静電気放電
イミュニティ試験の解析モデル

リッツ線モデリング機能により、モーター・トランス設計を強力に支援

モーターやトランスの設計においては、より効率よく、高い出力でエネルギーを得ることが求められます。
今回のバージョンより、モーターやトランスに用いられるリッツ線専用のモデリング機能が加わりました。専用のダイアログでパラメータを入力するだけで、表皮効果と近接効果を精度よく再現ができ、従来よりも正確に銅損を把握可能です。効果的なモーター・トランスの設計を強力に支援します。


リッツ線イメージ図

リッツ線モデルのパラメータ設定画面

構造解析

接触解析のロバスト性が向上し、最小限の手順でより正確な計算が可能に

接触解析では指数関数的に変化する垂直剛性の更新オプションが追加され、不安定となりやすいゼロ貫入時※2の接触挙動をスムーズに解析できるようになりました。
また、最小限の手順で正確な解析結果を得ることを目的とした、新しい収束基準のロジックが導入されました。外部負荷のない非線形問題(初期貫入解析※3や自由膨張解析など)の堅牢性と精度を両立した解析が可能になりました。


パーツ数の多い接触問題におけるロバスト性の向上

トポロジー最適化※4のワークフロー改善により、設計現場での利用がより手軽に

トポロジー最適化手法であるレベルセット法に対応し、従来の密度法に比べて、より滑らかな最適化形状が得られるようになりました。これにより得られた最適形状をCADで作り直すことなく、そのままシミュレーション可能です。検証にかかる工数が大幅に減り、設計現場でも今まで以上に利用しやすくなります。


トポロジー最適化のワークフロー

熱流体解析

フォルトトレラントメッシング機能によりモデリングにかかる工数を削減

Ansys® Fluent®のフォルトトレラントメッシング機能が強化されました。 表面に欠損があるようなCADモデルを扱う場合、モデルの修正に多くの時間を要しますが、この機能を使うことで高品質なメッシュ自動作成できます。モデリングにかかる工数を大幅に削減できます。

3D設計

リアルタイム・シミュレーションAnsys® Discovery™ Live


・薄板パーツに対する解析精度が向上、筐体モデルのシミュレーションが可能に

計算効率が改善され、従来必要となっていたGPUメモリよりも低いメモリ容量で効率よく解析可能になりました。これにより薄板構造物のシミュレーション精度が飛躍的に向上し、筐体設計にも適用できるようになりました。

・流体解析が定常流れに対応、計算時間を大幅に短縮

従来、定常流れを解析するには、非定常流れ解析の結果が定常化するまで長時間待つ必要がありましたが、今回のバージョンより、解析実行後瞬時に定常の結果を表示できるようになりました。計算時間の大幅な短縮、業務の効率化につながります。

Ansys® Discovery™ AIMが新たに超弾性材料※5、異方性弾性材料※6に対応

ゴム製品やプリント基板の構造解析を精度よく計算できるようになり、製品のさらなる品質向上に貢献します。


薄板パーツの解析結果
(8GBのGPUで計算)

定常流れの解析結果

ゴム製ベローズの変形

※1:ROM(Reduced Order Modeling):大量の演算を必要とする3Dモデルを、特定の動作条件における3D詳細モデルを近似した小型のモデルへと変換する一連の手法

※2:ゼロ貫入時:パーツ同士が接触していない状態のこと。パーツ同士が接触状態と非接触状態のあいだで揺れ動くと解析が不安定になりやすい。

※3:初期貫入解析:穴が空いたパーツにその穴よりも大きい径の軸を押し込んでパーツを接合する際の解析。圧入解析、嵌合解析とも呼ばれる。

※4:トポロジー最適化:構造物の位相を設計変数とし、重量やコンプライアンスなどの目標を定め、制約条件に基づき最適解を導く解析

※5:超弾性材料:ゴム材料など、優れた柔軟性および大きな変形を特徴とし、応力-ひずみの関係が非線形な材料

※6:異方性弾性材料:X方向・Y方向・Z方向それぞれでヤング率が異なるような、方向により特性が異なる弾性材料

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