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解析事例

電磁界解析

Ansys HFSSを用いた車載機器の放射イミュニティ規格試験解析

試験環境モデルを用いたISO 11452-2 解析

解析概要

解析分野 : 電磁界解析 /  業界:車載機器
今回の事例では、放射EMS試験環境モデルを用いて基板と接続されたワイヤーハーネスにノイズとして平面波を照射することで基板の端子部に発生する電圧を確認し、問題箇所の特定と対策検討を行っています。

こんな方におすすめ

  • 車載機器を設計されている方
  • ISO 11452-2 (放射EMS) 規格試験に対するノイズ耐性を確認したい方
  • 解析を活用することにより基板設計を効率化したい方

使用ソフトウェア

背景/課題

電子機器の高度化に伴い、電磁両立性(EMC)の重要性が年々高まってきています。その中でイミュニティ(EMS)と呼ばれる外来ノイズへの耐性についても重要な要素となっています。
車載機器向けのイミュニティ規格としては伝導イミュニティと放射イミュニティの2種類がありますが、放射イミュニティ試験では机上に設置された製品とケーブル、ワイヤーハーネスによりLISN等の負荷を接続し、ノイズとして電磁波を照射した場合の製品の誤動作の有無を確認します。試作後に問題が発生した場合は問題点の特定と対策により、膨大な工数と対策コストを発生させ、納期遅延やコストアップといった製品価値の低下を引き起こします。
Ansys HFSSでは、試験環境を模擬したモデルを作成し、PCB(基板)モデルと組み合わせて、シミュレーション環境上で平面波を照射することで、基板端子でのノイズ電圧レベル、電磁界分布を確認し、試作前段階でPCBの放射イミュニティ耐性の評価と対策検討が可能となります。

解析の仕様

解析モデル

図. 放射イミュニティ試験環境モデル

図. 基板モデル

解析設定

図.ケーブル中点を中心として平面波(水平偏波/垂直偏波)を照射

図.基板上のIC端子部の電界を積分して電圧を測定

解析結果

図. 初期状態の各端子ノイズ電圧

端子のノイズ電圧におけるピーク周波数で電界分布を確認すると、ケーブル長による共振で基板付近の電界が強くなっていることが分かります。

図. ピーク周波数(121MHz)での電界分布

特に121MHzのピークでは基板上のOUT1,VDDのプレーンに電界が集中していますので、こちらに対策を実施します。

図. ピーク周波数(121MHz)での基板電界分布

プレーン共振を抑制するため、GNDとの間にコンデンサを追加して再度解析を実施します。

図. 基板への対策部品の追加

変更前(点線)と比較して、VDDとOUT1端子の電圧が全帯域で大きく改善していることが確認できます。

図. 対策後の各端子ノイズ電圧

本解析の効果

今回、基板に対して平面波を照射し、IC端子部でのノイズ電圧を評価しました。
また、電界分布からノイズ電圧ピークの発生要因を確認し対策を実施することで、ノイズレベルが低減することを確認できました。
この様に、放射ノイズによる基板への影響を定量的に評価し、試作前の段階で基板のイミュニティ耐性を改善することが可能です。
設計段階でこのような解析を行うことで、EMC品質を高めて製品の規格合格に貢献することできます。

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