Multiscale.Sim 論文紹介
異方性弾塑性の材料定数同定手法
- 発表時期:2010年5月
- 著者:山本 晃司, 寺田 賢二郎, 平山 紀夫, 月野 誠
- 学会/論文誌名:第15回 計算工学講演会の発表論文
内容
今日までに異方性弾塑性挙動を表現するための材料構成則は、非常に多く提案されておりますが、実問題への適用を想定すると、大きく二つの問題点が内在すると考えられます。
- 数多くある材料構成則の中で、何を選ぶのが適切なのか、その選択基準が不明瞭
- 仮に使用する構成則が決まったとしても、材料物性値の同定手順がわからない
これらの問題は、Ansysに標準実装されているHillの異方性ポテンシャルについても同じことが言えます。そこで本論文では、Hillの異方性ポテンシャルについて、材料物性値の同定手順の詳細と、その適用範囲について、多くの事例とともに紹介いたしました。

図1:解析モデル概要
図1はその解析事例の一つです。Multiscale.Simは均質化法を元に解析を行っており、解析モデルは全方向に対して周期的に無限遠方まで並んでいることが仮定されています。材料はファイバーを弾性体、マトリクスを弾塑性体として定義しています。
図2は複合材料を直接定義した図1のモデルと、同定されたHill定数を用いた均質な1要素モデルの数値材料試験結果を比較したものです。二つのグラフが一致すればHill構成則が実現象を正しく表現できていることを意味します。xx方向単軸試験の結果が、大きいひずみ領域で実挙動を正確に再現できていないことがわかります。直接モデルのxx方向試験結果(赤いグラフ)は、他の5方向の特性と異なり、変曲点が存在している様子が見られます。Hill定数は、このように応力-ひずみ特性に相似関係にない方向の特性に関する精度は劣化する傾向を持ちます。

図2:均質化モデルと直接モデルの数値材料試験結果
資料請求
本研究で得た材料物性値同定に関する知見は、現在Multiscale.Simの機能として実装されております。Hill構成則の定式化や、その他の解析事例の詳細をご希望の方は、下記ページよりご請求ください。
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