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誤差との上手なつきあい方(後編)
流体解析の結果処理

CAEのあるものづくり Vol.27|公開日:2017年10月
目次
- はじめに
- 結果処理による誤差とは
- [ケーススタディ]物理量の選択による誤差
- おわりに
はじめに
前回は流体解析の誤差には解析工程順に以下の5 種類があることを述べ、そのうちの計算誤差について解説しました。
- モデル形状による誤差
- メッシュによる誤差
- モデル化による誤差
- 計算誤差
- 結果処理による誤差
今回は結果処理による誤差について、誤差が生じる理由とその対処法を解説していきます。
結果処理による誤差とは
結果処理による誤差の原因には、例えば以下が挙げられます。
- A:物理量の選択による誤差
- B:等値線図などのレンジ、区切り幅による誤差
- C:可視化の手法による誤差
A:物理量の選択による誤差
流体解析を行って結果を確認する場合、例えば圧力であれば絶対圧力、相対圧力(静圧、全圧)などを確認することが可能です。
絶対圧力は0[Pa]を基準にした実際の圧力で、実験室などの大気圧計で測定した圧力になります。相対圧力は大気圧などある特定の圧力を基準とした圧力で、例えば容器内の圧力をゲージ圧計で測定した圧力になります。さらに相対圧力には静圧、全圧などがあります。静圧は流体が静止した状態で周囲を押す力で、例えば膨らんだ風船が内部のガスに押されているときの圧力です。全圧は静圧に動圧(流れが持つ運動エネルギー)を足したもので、流体の持つすべての圧力で、圧力損失の計算にもこちらの全圧を使用します。
また回転体を含んだ解析では、結果を確認する場合の座標系が重要となります。流速や全圧などは、静止座標系を基準とした場合と回転座標系を基準とした場合で異なりますが、実験などの結果は通常、静止座標系を基準としたものとなりますので、解析結果との比較には注意が必要です。
このように解析を行う場合は、あらかじめ【確認したい結果】を【確認できる物理量】を明確にしてから解析を行い、結果を確認する時には選択する物理量に十分注意して適切な物理量を選択することが必要です。特に実験との比較を行う場合には、実験で確認している物理量と、解析結果として確認する物理量をあわせることが重要です。
B:等値線図などのレンジ、コンター数による誤差
速度や圧力の分布を表す場合にコンター図(等値線図)などを使用することがありますが、コンター図での結果確認ではレンジ(コンター図として表示する最大値および最小値の範囲)やコンター数(レンジ内の数値を何分割して表示するか)によって分布の様子が違って見えることがあ…
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