大規模可視化の時代がやってくる! 〜大規模計算結果を可視化することで理解が深まる〜
東京工業大学 学術国際情報センター 青木尊之 教授

大規模計算結果と可視化のインタラクティブ性

「あと、大きなトレンドとしては、やっぱりコンテンツ作成。出てきた計算結果をどういう風に可視化したらいいのか、と言うところがなかなか難しい。でも、試行錯誤しながら可視化をしている最中に、自分でもいろいろなことが分かってきます。可視化のいろんなパラメータを振りながら、あぁ、良く見えるようになったというところで、数値計算結果についても徐々に分かってくるところがあって、やはり、インタラクティブ性はとても大切。」

と、可視化をすることで、新たな発見を得られることを語って頂きました。 また、レイトレーシングを使って、出来上がった可視化のイメージアップを図る事もあるそうです。 実際のところ、リアリスティックなレンダリング方法を使い、より現実味のあるCGのようなコンテンツを作るのは、非常に手間が掛かり大変なので、そこまでは手を加えないと考えられる方もいますが、青木先生は、

「レイトレーシングをすることで、結果に対するイメージが更に分かりやすくなって、現象に対する理解がもう一つ深まり、次の次元が見えてくることもあるので、それはまたそれで重要」

と、可視化にこだわりのある青木先生らしい発言をされました。

オープンソースについての海外の動向

「ソフトウェアの一つの流れとしては、オープンソースが挙げられますね。だから、もう少したつと、大規模可視化用としてParaView、VisIt(オープンソースシステム)等が日本でブームになるだろうな。」

と青木先生はお考えのようです。
オープンソースシステムは、海外では利用者が高まっているようですが、日本では、過去においてそれほど人気が出た例はなったように思われます、という質問については、

「海外では、既にこれらのオープンソースシステムはよく利用されているので、日本でもその可能性は否定できません。ただ、日本は、海外に比べると可視化する事自体があまり研究目的の一貫として行われていないので、VTKが流行しなかった様に、海外と日本では文化の違いもあり、受け入れられる度合いが高いかどうかは判断が出来ない部分です。
オープンソース以外には、ASPのようなサービスを用いて、従量課金制みたいなものがもしかすると流行ってくるかもしれない。」

とも言われます。 今の時代は、皆がいろんな事をするのに銀行振込みでもチケット取るにもインターネットで取ったり、お金もクレジットで払うっていう事に慣れてきているから、そのようなシステムも受け入れられ易いのではないか、と言う事だそうです。

「日本では、誰かが使い始めるとブームになって『いいぞっ!』と言う噂があっと言う間に広がるので、御社も早く手を打った方がいいですよ!」

と笑いながらお話されました。

最後に、冒頭でも少しお話しましたが、東工大の「TUSBAME」と並列可視化ソフトウエアAVS/Express PCEとで、2006年10月世界最大規模のデータから可視化画像を作成しました。


東工大とAVSがスパコンで197億ポリゴンの大規模可視化を実証

現在、政府は10PFLOPSの汎用計測計算機の実現を2010年度に目標を定めていますが、これにより、莫大なデータ量の計算結果が出力され、その分析処理の方法の一つとして、今後は、大規模可視化にも注目が集まると思われます。

東工大では、今後もスーパーコンピュータを活用した新たな取り組みに着手されると思いますので、研究発表を楽しみにしていきたいと思います。

*1)東工大・学術国際情報センターに導入したスーパーコンピューティング・グリッド「TSUBAME」
「TSUBAME」は2006年4月3日より運用が開始され、東工大の学生は32CPUまでは無料で使うことが可能だそうです。これは、誰でも身近に利用して研究できる事を目的として、開放されているとの事です。研究にも前向な姿勢がみられます。

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