「ノンフォトと可視化」について 〜活用の幅を広げよう!〜
東京農工大学大学院 共生科学技術研究院先端生物システム学部門 斉藤 隆文 教授

次に、宮村先生にお話を伺いました

植物の成長特性を可視化する事例

何千枚もの画像を動画像で観察して得られる情報は難しいので、それらを重ねてそれぞれの領域がどの時間タイミングで発生したかというのを色でマッピングしたものです(図3)。これは、下に根が生えているところです。動画像からだと、いつどの辺が発生したかと言うのを時間と動画を照らし合わせて見る必要がありますが、こういう画像にすることで、例えば、1日で赤色が昼間、青色が夜に生成された部分と言うのを認識できます。他にも、データから成長が止まっている所に境界を引き、“骨組み”を表示することも行っています。ここから植物を研究する人達が普段作成する成長のグラフを作ることができます。この処理はPCで1分位です。植物学者がホントにビデオとか何千枚もの画像をみながらプロットして作るグラフが、簡単に自動的にできるのです。


(図3)

また、親子関係をもつツリー構造の表示も目指しています。例えば100万個と数千万とかいうノード数のツリーはディスプレイの解像度が不足してすべてを表示できません。そこで重なってしまうところは、代表的なものの情報だけを出しましょう、ということをしています。それによって、大量のノードを僅かの表示で表現できるので、対話的操作が可能になります。

参考文献:
宮村(中村) 浩子,七夕 高也,斎藤 隆文,篠村 知子:「時系列画像解析によるイネの根の成長特性の解析と可視化」,画像電子学会誌,Vol.36,No.4,pp.520-529,2007年4月

最後に、「ハッチング」という技術を紹介します

これを利用して、大量の気象データを一瞬で表現できます。気温、湿度、雨量、風速等、たくさんの情報を、たくさんの放射状の軸に取って表示します。イメージ的にはスター型のアイコンみたいな感じです。

(図4)左図は、気温が赤で湿度が緑なんですけども、縦が1日(24時間:0時1時2時・・・)で、横が日にちです。ここから、昼間は気温が高くて夜は湿度が低い傾向が読み取れます。(図4)右図の様に、青で雨のデータを重ねると、気温があがってないところは雨が降っていることを把握できます。


(図4)

(図5)左図は1時間間隔の気温変化ですが、(図5)右図は1分間隔に変更したものです。それにより、1日の気温が1本の線になり、その太さや形で気温変化の傾向を認識できます。こんな感じでY軸方向の時間間隔を調整しながらデータを探るツールも開発しています。


(図5)

可視化の今後について

今後、データ量は増えてきます。大きなデータを抱えているところについて考えると、いろんな公的な調査や測定があります。さっきの気象データもそうですが、気象庁のアメダスは、全国千何箇所から時々刻々と膨大なデータを集めます。鉄道の利用調査は何年かに一度大掛かりに実施されます。私たちは、各路線の乗客数、何時の電車にどれくらい乗っているかとか、どこで乗り降りするかとか、それらの分析に可視化を使っています。今、そういう大きなデータは、集めたものの、充分活用し切れてないところがあります。もちろん、いろいろな統計処理は実施されていますが、そこでは出てこない情報を可視化で見つけられるんじゃないかということですね。ただ、このような大きなデータは、研究に使えない場合があります。だから、オープンなデータを使うか、共同研究が必要です。

今日は、ノンフォトに関する紹介をしましたが、ノンフォトも可視化も根っこは一緒だと思っています。情報を伝える時、それがあまり多すぎても解り難いので、大事な情報を伝えるにはどういう書き方をしたらいいのか、という問題だと思います。だからもっと両者の研究交流があってもいんじゃないかと思うんですけど。
可視化の発展の方向を、具体的に言うのは難しいんですが、注目している技術と言う意味ですと、これから可視化にしてもノンフォトにしても見るのは人間なので、人間の目が、あるいは人間の脳がどう解釈しているのか、知覚して理解しているのかと言うことが、どんどん重要になるんじゃないかなと思います。

編集後記

冒頭で紹介した写真のイラストイメージは、携帯電話の画面で「斎藤さん」と言う文字の代りに、ぱっとイラストがでたら、しかも、うれしい知らせの時はうれしい顔、急いでる時は、あ〜これお客さん怒ってルナとか・・・、表情が出れば面白そうですね。これから画像も増えていくっていうし、なんかすごく未来の斉藤研はむちゃくちゃ明るいような気がします。
今、CGにせよ可視化にせよ使っているところは使っているんですけど、使えそうなのに使ってない業界って多いので、そういう所にCGや可視化を広げていくという齋藤先生のお仕事に期待しています。


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