CAEを学ぶ
接触(せっしょく)
英訳:contact
CAEにおいて接触とは、物体間の関係性を定義することを指します。
主に構造解析で利用されますが、伝熱や電場など構造以外の解析で利用されることもあります。以下、構造解析における接触について説明します。
接触を定義しない場合、物体同士は何ら関係を持たなくなります。物体A,Bが当たったときに、接触を定義しなければA,Bは互いにぶつかることもなく、すり抜けてしまいます。
接触の定義方法には様々な手法があります。
例えば古典的な定義方法に点-点接触があります。これは接触面の相対する節点を関連付けるものですが、制約が多く、現在ではあまり利用されません。
現在では面-面接触の利用が一般的です。これは要素面間(あるいは節点と要素面間)の距離で接触有無を判定するもので、メッシュによる制約が少なくなっています。
接触の定式化には大きく分けて2種類あります。
1)ペナルティ法
接触面間に、接触すると剛性を発揮するバネを張って釣り合いを保つ方法です。
この手法は、物体間に多少の食い込み(干渉)が発生しますが、安定して計算できるメリットがあります。

2)ラグランジェ乗数法
接触面に接触表面力という特別な自由度を追加する方法です。
この手法は、物体間の食い込みをゼロにできるため精度的には優れますが、計算が不安定になりやすいデメリットがあります。

ペナルティ法では、食い込み現象が不可避という弱点があるため、食い込み量が許容範囲を超えていた場合、これを是正する計算を行うよう改良した手法もあります。
2段階の収束計算を行うことで、ペナルティ法の安定した計算と、食い込み量低減の両立が図られています。
Ansysではこの手法を「拡大ラグランジェ法」と呼びます。収束性と精度のバランスが取れた、多くの接触問題で使用が推奨される定式化です。

Ansysにおける取扱い
- Ansysではデフォルトで面-面接触を利用します。
- ペナルティ法、ラグランジェ乗数法のどちらとも利用できます。
- Ansysではペナルティ法の安定した計算と食い込み量の低減を両立した「拡大ラグランジェ法」の利用が推奨されています。
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