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Ansys Speosを利用した光学設計
豊富な機能と事例の紹介
公開日2022年6月
目次
- はじめに
- 概要
- 人の目の感度を再現した見栄え評価機能「Human Vision」
- リアルタイムレンダリング「Speos Live Preview」
- 様々な観察が可能な「VR受光面」
- 多様な光源
- 光学面形状を作成できる「Optical Part Design」
- 連続解析、最適化、Multi Physicsなどを実現できる「Ansys Workbench™」
- シミュレーションを高速化する「Speos HPC」「GPU Compute」
- カメラ・LiDAR設計専用機能、OpticStudio®との連携機能:「Optical Sensor Test」
- 柔軟な設計環境
- UV-LEDによる流水殺菌のシミュレーション事例
- おわりに
はじめに
近年、光学解析ツールの利用用途が広がってきています。本稿では2021年10月より弊社が新たに取り扱いを開始した光学解析ツールAnsys Speos®についての概要を紹介します。
概要
Ansys Speosの紹介
Ansys Speos(以下Speos)は、3次元ダイレクトモデラーAnsys SpaceClaim®、および専用の光学設計ツールにより、柔軟で高速な光学シミュレーションを可能にします。また、迷光、ホットスポット、均一性などを正確に予測してシステムの性能を確保したり、様々な波長域での照度や光度、輝度の評価をしたりすることができます。さらには人間工学を加味したビジュアライズ評価や、光源や散乱分布を測定した正確なシミュレーションによる光学設計が可能です。以降では、Speosの特徴的な機能を紹介していきます。
人の目の感度を再現した見栄え評価機能「Human Vision」
Speosでは、光線追跡による正確な照度、輝度、強度解析だけでなく、人間工学に基づいたHuman Visionによる見栄え評価も可能です。生理学的な人間の視覚モデルに基づいたシミュレーションにより、色、コントラスト、調和、光の均一性と強度を最適化することで視覚的な知覚品質を向上させ、昼間や夜間の視覚を含む周囲の照明条件を考慮した見栄え評価が可能となります。Speosは3Dバーチャルリアリティモデルを提供し、完全な没入感を実現します(図1)。
リアルタイムレンダリング「Speos Live Preview」
Speos Live Previewでは、NVIDIA社製のGPUの計算処理能力を利用したリアルタイムシミュレーションに対応しています。※1 このGPU対応シミュレーション機能と高度なレンダリング機能を利用することで、リアルタイムにレンダリング表示ができます。従来は反映まで数十秒かかっていたモデルが、ほぼリアルタイムで表示されます。本格的なシミュレーションを実行する前に、マウス操作で視点や製品を移動させたり、ズームを切り替えたりしながら、リアルタイムに見栄えをチェックすることができ、課題を抽出できます(図2)。具体的な活用シーンを幾つかご紹介しましょう。
活用シーンの例
◆ライトガイドの発光ムラの確認
ライトガイドの設計過程で生じる発光のムラについて、これらの発生要因を確認し対策を練ることができます。(後述の「Ansys Workbench™」の項を参照)
◆太陽光の映り込みの確認
自動車のインパネやカーナビのモニタやディジタルサイネージなど、屋外で使用されるディスプレイの表面における太陽光の外光の映り込みを正確に反映することができます。
◆テクスチャやコーティングの検討
部材の表面に施される凹凸や塗布膜による反射や散乱を忠実に再現し、外観を検討することができます。
これらの例のような検討をSpeos上でおこなうことで、試作の回数を低減することができ、製品開発期間の大幅な短縮を実現できます。
※1: NVIDIA社製RTXテクノロジ対応GPU搭載グラフィックボードが必要です。
様々な観察が可能な「VR受光面」
VR受光面を利用することで、複数の視点や方位での見え方を解析することができます。オブザーバー受光面では、オブジェクトを中心とした複数の方位からのビューを可視化します。視点を切り替えた場合の、オブジェクトの見え方の違いを確認することができます。イマーシブ受光面では、特定の視点を中心とし、そこから見える周囲のビューを可視化することができます(図3)。
多様な光源
Speosには、単純な面光源だけでなく、ディスプレイ光源や照明用の光源、屋外を想定した環境光源などが用意されています。アンビエント光源を利用することで、太陽や天空といった自然環境光をモデリングでき、昼間や夜間、晴れた空や曇り空、夜空などを再現することができます。環境光源では、イメージファイルを使用して背景を作成できます。また、標準大気光源では、紫外から赤外までの空の放射をシミュレートすることもできます。これらを活用することで、よりリアルなモデリングや描画が可能になります(図4)。