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作って壊す材料力学実験室
専門技術教育講座レポート
2021年3月
私たちものづくりの会社にとって、“設計” は欠かすことができません。
機械や構造物を設計する上で必要不可欠な分野が「材料力学」です。材料力学は、材料が力を受けたときの変形の挙動を解析し,これに基づいて材質・形状などを定め,経済的でかつ壊れない設計を行うことを目的としています。
現在では、コンピューターによる設計シミュレーションツール(CAE)の利用が一般化したことにより、設計作業はより便利になりました。
しかし、材料力学の公式の意味を十分に理解していなかったり、身体的な感覚を持ちあわせていない状態では、製品が実際に使われた際の挙動をイメージしたり、シミュレーション結果の正確さを検証することは困難です。
そこで技術者に材料力学の考え方を身につけてもらいたいとの想いから、本年度より専門技術教育研修の1つとして、実際に手を動かしながら学ぶ「作って壊す材料力学実験室」が開講しました。
本記事では、住友重機械工業株式会社の横須賀製造所にて行われた、研修の様子をお伝えします。
図1 本講座の講師:岐阜大学工学部機械工学科永井学志准教授
私たちの生活は、橋・高層ビル・航空機など、あらゆる構造物に支えられています。
構造物が力を受けた際に、それを構成する部材の内部にどのような力や変形が生じるかをイメージすることは、材料力学を理解する上で非常に重要です。講義では、モノに作用する力として、私たちの周りの身近な例(釣り竿の曲がり・橋の構造等)を挙げてご説明いただきました。
また、材料工学には多くの重要公式がありますが、スポンジのモデルを使ったはりの曲げ(図2)や棒のねじりの再現は、公式の意味を理解する上でも視覚的に非常にわかりやすいものでした。
図2 はりの曲げの様子部材に曲げの力が加わると、上面は圧縮され下面は引張の力を受ける
今回の講座の大きな目的は、実際にモノを見る・手を動かすことで材料力学の感覚を養うことです。本講義では2人1組でペアになり、多くの実験を行いました。