解析講座 弾塑性材料モデルの基礎(第3回) 佐賀大学 大学院工学系研究科 機械システム工学専攻 只野 裕一 様

弾塑性材料モデルの基礎(第3回)

CAEのあるものづくり Vol.29|公開日:2019年2月

目次
  • 5-1. ひずみ硬化則とは
  • 5-2. 1次元問題における相当応力と相当塑性ひずみ
  • 5-3. 相当応力と相当塑性ひずみの関係を表すひずみ硬化則
  • 5-3-1. n乗硬化則
  • 5-3-2. Ludwik硬化則
  • 5-3-3. Swift硬化則
  • 5-3-4. Voce硬化則
  • 5-3-5. 多直線近似によるひずみ硬化則の表現

5-1. ひずみ硬化則とは

前回は、材料の降伏条件について説明しました。降伏条件を記述する降伏関数が応力の関数となっていることからもわかるように、材料に作用する応力がある条件を満たしたとき、材料は降伏すると考えます。材料が弾性状態から塑性状態にはじめて遷移する瞬間を、特に初期降伏と呼ぶこともあります。今回は、初期降伏した後の塑性変形進行中に、材料の応力状態がどのように変化していくかを考えてみましょう。

材料がある応力状態で初期降伏した後、多くの材料においては塑性変形の進行と共に応力が増加していきます(第1回の図1)。これをひずみ硬化と呼びます。このひずみ硬化を表現するためのモデルが、ひずみ硬化則です。金属材料の多くは、塑性変形の進行とともにひずみ硬化を示しますが、一部の樹脂材料や、微視的損傷を考慮した金属材料の塑性変形においては、塑性変形が進行しているにもかかわらず応力が減少することがあり、これをひずみ軟化と呼びます。ひずみ軟化を表すモデルを、特にひずみ軟化則と呼ぶ場合もありますが、ひずみ硬化とひずみ軟化は基本的には同じように考えることができます。実際の材料のひずみ硬化挙動は、材料によって大きく異なります。このため、塑性変形をCAEで高精度に表現するためには、ひずみ硬化則の適切な選択とパラメータ同定が重要となります。

第2回で降伏関数について解説した際、塑性変形中は常にF=0となるようにモデル化することが一般的と述べました。これは、降伏応力が塑性変形の進行とともに変化することを意味しています。ひずみ硬化則は、この降伏応力の変化を表現するモデルといえます。ひずみ硬化則を考えるにあたっては、スカラー量である相当応力と相当塑性ひずみの関係を記述するモデルと、降伏曲面が塑性変形とともにどのように変化していくかを記述するモデルの、2つのモデルをそれぞれ考える必要があります。今回は、このうち相当応力と相当塑性ひずみの関係について見ていきましょう。

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