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スイッチング電源回路の電源ラインへの伝導ノイズ解析

CAEのあるものづくり Vol.28|公開日:2018年2月
目次
はじめに
電気機器システムがますます複雑化される現在、電磁干渉(EMI)に関連する潜在的な問題が深刻化しています。
複数の電気機器によりシステムが構成される場合のEMIへの対応では、それぞれの電気機器においてノイズの発生量がより少なく設計されることが求められ、各機器や部品のノイズ設計が適切に考慮されていない場合、EMIの問題が顕在化し、その影響が他の機器にも波及してしまいます。
例えば、身近なところでは、ノイズによる耳障りな干渉がラジオから流れる音楽に乗ってしまうという現象を経験された方も多いのではないでしょうか。
もしこれが、仮に自動車のエアバッグ展開に影響を与えるノイズであった場合、生命を脅かす状況が起こりうるという危険性も考慮しなければなりません。
したがって、製品開発を行う上で、EMIへの対策が重要になっています。
スイッチング電源回路から発生する伝導ノイズの定量化
ノイズの中でも、様々な電気機器に搭載されているスイッチング電源回路から発生する伝導ノイズは、そのスイッチング動作の高速化に伴い、他の電子機器に流入、誤動作や性能劣化を引き起こすことで大きな問題となっており、電源ラインから流出する伝導ノイズを低減することは電気機器設計において、大変重要な課題になっています。
これらの伝導ノイズは基板、バスバー等の構造体によってその特性が変化するため、複雑な立体構造の伝搬経路を考慮しなければなりません。
この資料では、立体構造の伝搬経路を評価するために、3次元電磁界解析を設計に適用し、身近なスイッチング電源回路を例に、伝導ノイズを回路現象として捉え、ノイズの発生源とその伝搬経路をモデル化するために回路解析と3次元電磁界解析を連成し、設計上の問題の予測と対策のアプローチ検討を設計の初期から行い、設計者が開発の早い段階で将来起こりうる問題に対処できる解析手法をご提案することを目的としています。
伝導ノイズの解析手法
基本的な解析の考え方としては、電源回路におけるノイズ発生源をスィッチング素子のON/OFF動作で発生する過渡的な高周波成分を含む電圧/電流として捉えます。
この時、ノイズの発生状態は、主に回路内の寄生素子によって決定されるため、ノイズの伝搬経路として回路部と金属バスバーによる構造体までを考慮し、LISN(ラインインピーダンス安定化回路網)を用いた実際の評価環境を含めてモデル化を実施します。
これらをモデル化することで、ノイズの発生源から電源系統への伝導ノイズの伝搬を再現します。
以下、図1に、解析ブロック概念図を示します。
評価周波数範囲:150kHz ~ 30MHz

図1 解析ブロック概念図
* LISNは、EUT(Equipment Under Test)から電源を見たインピーダンスを管理しながら、測定すべき電源線上のノイズの成分を評価する機能を持ちます。
伝導ノイズの解析に必要なモデル
次に、伝導ノイズ現象を再現するためのモデル化について説明します。
スイッチング電源回路の伝導ノイズ解析には、以下の2つのモデルが必要になります。
(1) 回路素子のモデル

図2 Ansys SimplorerによるIGBTのモデリング例
伝導ノイズ解析では、素子モデルの精度が回路・システム全体の動作の精度を左右するため、これら素子モデルを精度良くモデリングすることが必要です。
Ansys Simplorerでは、強力なパラメータ抽出ツールを備えており、詳細な動特性をモデリングしたスイッチング素子モデルを作成することができます。
さらに、 より解析精度を上げるのであれば…
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