解析事例
粘着テープの90°引き剥がし試験解析
こんな方におすすめ
- 粘着テープ試験を再現した解析を行い、実際の試験結果との比較したい。
- 粘着テープの材料物性や剥離応力を解析したい。
粘着テープの粘着力を測定する試験を再現した解析です。
解析の目的・背景
粘着テープ試験を再現した解析を行い、実際の試験結果との比較を行うことで、解析で取り扱う粘着テープの材料物性や剥離応力を合わせこむことができます。
解析手法
接触剥離の機能を用いて、テープを引っ張るにつれて端から徐々に剥がれていく様子を模擬します。接触剥離のモデル化にはCZM(Cohesive Zone
Model:粘着領域モデル)という手法を利用します。CZMでは、固着接触に設定した「最大接触応力」を超える接触応力が接触面に発生すると、その後接触ギャップが大きくなるにつれて接触応力が下がっていき、最終的に接触ギャップが設定した「剥離完了時の接触ギャップ」に達すると接触応力がゼロの剥離完了状態となり、接触面が分離します。
(「剥離完了時の接触ギャップ」の代わりに臨界破壊エネルギーを定義することも可能です。)
なお、本解析では剥離面の接触剛性係数を高く設定することが重要となります。接触領域の接触剛性は材料のヤング率を基準として自動設定されますが、テープ粘着層は一般的にヤング率が低いため、自動設定される接触剛性が低くなり、挙動が不安定となり計算が収束しづらくなります。また、接触剛性が低いと、接触応力が上がらないまま接触ギャップが広がり、設定した剥離応力に達する前に接触面が検出範囲外に出て、接触が外れてしまうことがあります。
解析モデルと解析条件
解析モデル
実際の試験結果と比較を行いやすいよう、JIS Z 0237 粘着テープ・粘着シート試験の方法、寸法に準拠した解析モデルを作成しています。また、積層シェル要素を用いて、両面テープ粘着層と試験時に裏面に貼り付けるPETフィルム層とを1つの要素で表現しています。更に1/2対称モデルとし、被着体の鋼板を剛体、テープの幅方向を1要素のメッシュとすることで、計算を効率的に行うことができます。
解析条件
鋼板を固定し、テープ端を上方向に変位させます。