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顧客事例 藤森工業株式会社

社長室 室長 兼 情報システム部 部長 嵯峨 裕 様
研究所 機能性コーティング開発グループ 藤田 志朗 様

自社のコア技術・特長を活かせるターゲット市場・次期製品の探索にGoldfireを活用 藤森工業の嵯峨氏からは経営としてGoldfireに期待していることを、藤田氏からは実際にGoldfireを利用した用途探索と未参入市場のターゲット顧客候補の探索について、ご紹介いただいた。

1914年(大正3年)創業、104年を超える藤森工業(以下同社)は、精密コーティング技術を用いたエレクトロニクス材料や医薬・医療・化粧品・食品向けの包材、詰め替えパウチなど幅広い産業分野に高機能な各種資材を提供している。

新しい仮説を立案するプロセスにおける質とスピードを重視

複数のフィルムを貼り合せたり、特殊な塗料をフィルムにコーティングするという複合技術をコアとして、市場や業界に特化せずに広い分野でニッチなニーズに対応している。同社が更に成長するためには、「コア技術の研鑽」と「機能/特長を活かせるターゲット」を常に探索することが必要だと嵯峨氏は述べる。

同社ではコア技術を活かした次期製品、ターゲット市場探索のために、次の4つのステップを高速で回すことを基本的な開発ステップとしている。

ニーズが多様化している現在ではシーズとニーズのマッチングが非常に難しくなっており、より質の高い仮説を多く生み出すこと、従来よりも高速で仮説立案と検証を繰り返すことが求められる。そこで、同社の技術やその技術をもたらす機能のキーワードに対して、上述した4つのステップのうち、「2. キーワードと業界が抱える課題をマッチング」「3. 利用シーンを描いて、新しいビジネスの種を見つけて仮説を立てる」を支援するための強力なツールとして、Goldfireを活用している。

コア技術とキーワードと業界が抱える課題をマッチングするためにGoldfireを活用

続いて登壇したのが、同社 研究所 機能コーティンググループに所属する藤田氏。同氏は、新しい粘着テープ「マスタック®TS」の用途探索と未参入市場のターゲット顧客方法の探索にGoldfireを活用した事例を紹介した。

マスタック®TSは当初、特定用途向けとして開発していたが、更なる用途開拓とターゲット顧客候補の探索が求められていた。そこでGoldfireを利用することにした。

業界の課題や社会のニーズを調査するために、Goldfireのリサーチ機能とレンズ機能を使用し、技術的な問題点や課題を探索。同氏が想定した既知の問題のほかに、想定外の課題と思われる“気づき”を得ることができた。さらに、まだ注目されていない技術を見つけるために調査を進め、当時知らなかったTOM成形法に辿り着いた。続いて、特許出願件数などがわかる革新トレンド分析で調査すると、その成形法は最近注目され始めていることがわかった。

未参入市場のターゲット顧客候補の探索にはGoldfireの「革新トレンド分析」を活用

マスタック®TSとTOM成形法の組み合わせで実現できるいくつかの利用シーンを描いた結果、自動車内外装へ適用できるのではないかと考えた。しかし当時、自動車業界に未参入だったこともあり、新たにターゲット顧客候補の探索が必要だった。そこで、Goldfireを利用して自動車内装を開発しているメーカーや担当者を調べたという。

Goldfireを中心に情報交換や情報の共有ができるオープンな場所を設ける

GoldfireにはIHS Markit社提供の知識ベースとして特許データや文献データベースが用意されているが、さらに強力に利用するためにも、社外の様々な情報や社内に蓄積されている知識を検索対象に入れ込み、社内の情報共有システムを構築しているという。また、同社では、以前から開発促進するために、「工数の10%は自由に色々なことを行ってよいルール」など活動を促進していたがGoldfireを導入してからは、さらに以下3点を追加することにした。

1.Goldfireスキルアップセミナーの実施
2.イノベーションゾーンの設置
3.アイデアチェックリスト作成

従来のアイデア出し会はクローズドな会議室で行っていたが、新たにオープンなイノベーションゾーンという場を設けることで、研究所員も集まりやすくなり、Goldfireを中心に情報交換や情報の共有が可能になった。その結果、当初の期待通り、Goldfireは次期製品・ターゲット市場探索プロセスを高速に回すための強力なサポートツールになり得ることが分かったという。

短時間でアイデアが出るようになり、さらにアイデアの質も向上し、アイデア創出のスキルが上がった

Goldfire導入で開発環境を充実させたことにより、短時間でアイデアが出るようになり、さらにアイデアの質も向上し、アイデア創出のスキルが上がったと考えている。さらに高速で回していくためには、海外を含めた関連会社全社員がバーチャルで集合している状態を構築し、Goldfireで検索した過去の情報をベースに一緒に議論できる環境を構築していきたいと、講演を締めくくった。