
EMC規格の意図や関係性を知れば、ノイズ設計に強くなる!
EMI規格ってどういうもの?
EMC規格の意図や関係性を知れば、ノイズ設計に強くなる! :第1回
第1回 EMI規格ってどういうもの?
EMCの規格にはEMI(周りに電磁的影響を与えない)という要求とEMS(周りから電磁的影響を受けない)という要求の2つに分けられます。
第1回はこのうち、EMI規格に関してお話しします。
EMI規格には様々な種類があり、各種試験の測定方法と規格値が定められています。
今回は、EMI規格の体系と試験の種類、重要な考え方についてご説明します。
EMI規格体系
EMCの規格には大きく分けて「基本規格」、「共通規格」、「製品群規格」、「製品規格」があります。
それぞれの関係性を以下の図に示します。

「製品群規格」では、照明機器、医療機器、車載機器、マルチメディア機器等、特定の製品群に対する測定方法や限度値が定められています。測定方法についてはその多くが基本規格を参照しています。
「製品規格」では、製品群の中でも特定の製品に対する測定方法や限度値が定められています。こちらについても測定方法は製品群規格を参照されていることがほとんどです。
「共通規格」では、製品群規格や製品規格に含まれない製品に対する測定方法や限度値が定められています。こちらの測定方法や限度値については、「情報技術装置からの妨害波の許容値と測定法」であるCISPR22を参照しています。
このように、特に測定方法についてはほとんどが他規格の参照となっているため、代表的な測定方法である基本規格の「CISPR16」と共通規格から参照されている「CISPR22」の内容を把握することで、多くの規格を理解することができます。
車載機器などの測定方法が異なるものについては、”基本の測定方法とどう異なるか”といった観点で見てみると理解しやすくなるかと思います。
EMI試験の種類
次に、EMI試験の種類について見て行きましょう。
EMI試験には放射妨害波(放射EMI)と伝導妨害波(伝導EMI)の2種類があります。
放射EMI試験では、製品から空間を通じて電磁波として放射されるノイズを、定められた距離に設置したアンテナ位置での電界強度によって測定します。
一般的には30MHz以上の帯域で実施され、製品の標準的な使用構成でターンテーブルを用いて最大の放射方向で測定される場合が多いです。
実際の使用構成に近い形で測定されるため、製品自体から直接放射されるノイズだけでなく、周辺機器や家庭用電源等に接続されるケーブルを介した放射についても影響します。
限度値は放送波を受信するアンテナへの妨害とならないレベルで定められており、これを守ることで一般的な電子機器の誤動作を防止することが可能となります。
伝導EMI試験では、製品から電源線や信号線などのケーブルを通じて流れるノイズの電圧/電流を測定します。
一般的には100MHz以下の帯域で実施されることが多く、実際の使用条件に相当するような形で電源ケーブルや通信用ケーブルを介してLISN(疑似電源回路網)や負荷装置と接続した状態で測定されます。
これは、ケーブルを介して接続される周辺機器へのノイズ影響を抑制するという目的はもちろん、ケーブルから電磁波として放射されるノイズを抑制することにもつながります。
一般的にはケーブル長は製品自体のサイズに比べて大きくなり、比較的低周波(~数百MHz)においてはケーブルの共振による放射が放射EMIで支配的になることも多いため、こういった帯域における放射EMIの抑制にも伝導EMI対策が有効です。

まとめ
規格体系を理解することで、それぞれの規格内容の理解を助けたり、共通の測定方法の試験をまとめて実施したりと、EMI規格対応を効率化することが可能です。
また、それぞれの試験における目的を理解することで、周波数帯に応じた対策を検討することも可能となります。
このように規格を理解することで、測定だけでなく設計にまで役立てることができます。

次回はEMSの規格についてもお話させて頂きますので、もし興味があればチェックしてみてください。
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