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PyAnsys 活用支援

PyAnsys 入門

Ansys を Pythonで自動化・拡張するための完全ガイド

PyAnsys の概要

PyAnsys とは

PyAnsys は、Ansys 製品と連携するための Python ツール群です。各種Ansys製品(Mechanical、MAPDL、Fluent など)を Python から操作・自動化・拡張できる強力なインターフェースです。

 

Ansys の高度な物理解析機能を、PyAnsys によって幅広いユーザーに開放すべく、Ansys社はこのツールの開発を積極的に進めています。GitHub上でのアップデート・機能拡張が日々活発に行われています。

PyAnsys は、設計・解析・最適化のプロセスをより迅速かつ柔軟に実行するための、強力なエンジニアリングオートメーション基盤として、世界中の研究者・開発者・企業で急速に採用が進んでいます。

このような潮流の中で、日本でも「手動操作の限界」を超えるための手段として、PyAnsysの活用が急務となっています。単に作業効率を上げるだけでなく、設計開発の柔軟性向上、パラメトリックスタディの自動化、最適化技術の組み込みなど、技術競争力を維持・強化する鍵として、PyAnsys の導入・活用メリットは非常に大きいものがあります。

PyAnsys を使用する 3 つのメリット

1.外部システムとの柔軟な連携性

PyAnsysの最大の特長は、外部プログラムとの高い連携機能にあります。従来の Ansys スクリプトは Ansys での利用に限定していましたが、PyAnsys では Ansys に限らずさまざまなプログラムとの連携が可能です。

 

たとえば、NumPy や SciPy といった数値計算ライブラリとの連携により、複雑な数式処理やシグナル解析もスムーズに実行できます。また、scikit-learnやTensorFlowなどの機械学習APIと組み合わせることで、CAE結果を活用した予測モデルの構築や設計最適化も可能になります。

さらに、PyAnsysはWebアプリケーションへの組み込みにも対応しており、ブラウザベースの設計支援ツールやクラウド解析サービスなど、柔軟なUX構築にも貢献します。

2.PyAnsysは無償で使えるオープンソース

PyAnsysは、MITライセンスのもとで提供されており、誰でも無料で利用可能です。商用利用にも制限がなく、企業での導入も安心して行えます。さらに、ソースコードのカスタマイズや再配布も自由に行えるため、自社のニーズに合わせた機能拡張や自動化ツールの構築が可能です。
MITライセンスの条件はシンプルで、著作権表示とライセンス文の保持のみが求められます。これにより、ライセンスの複雑さに悩むことなく、低コストで柔軟に解析ワークフローを設計できます。PyAnsysは、オープンソースのメリットを活かしながら、実践的なCAE業務に役立つツールを構築したい方に最適な選択肢です。

3.Ansys 製品に最適化された多様なラインナップ

PyAnsys は単一のインターフェースにとどまらず、各種 Ansys 製品に特化した複数の Python ライブラリが整備されている点も大きな魅力です。
たとえば、構造解析の PyMechanical、流体解析の PyFluent、電磁界解析の PyAEDT、さらには後処理専用の PyDPF シリーズや、メッシュ生成、システム連携までを担うライブラリがそれぞれ用意されています。
用途に応じた適切な PyAnsys ライブラリを活用することで、Ansys 製品の機能を Python 環境に自然に統合し、効率的な解析や自動化を実現できます。

Ansys製品に最適化された多様なツールラインナップ

Ansys の各製品に特化した PyAnsys ラインナップ

現在、PyAnsysは多種多様な Ansys 製品向けのツールをリリースしています。
これらを利用することで、Ansys のシミュレーションや生成されたデータの処理・可視化をシームレスに実行することができます。
ここではその一部をご紹介します。

PyMechanical

PyMechanical は、Ansys Mechanical の機能を Python スクリプトから操作可能にするオープンソースAPI です。構造解析(線形静解析、熱解析、モーダル解析など)をプログラムから自動実行できるため、大量のモデルやパラメトリック解析、最適化タスクの自動化に適しています。

PyFluent

PyFluent は、Ansys Fluent による流体解析(CFD)をPythonスクリプトで制御・自動化するための API です。GUI操作を再現するだけでなく、PyFluent を通じて解析条件の定義、メッシュ設定、計算実行、後処理までを一括でスクリプト化できます。

PyAEDT

PyAEDT は、Ansys Electronics Desktop(AEDT)製品群(HFSS、Maxwell、Icepakなど)をPythonから制御、自動化するための API です。電磁界解析、回路シミュレーション、熱解析などの複数ドメインを対象に、モデリング、設定、解析実行、レポート出力といった一連の作業を自動化できます。

PyAnsysの活用シーン3選|解析自動化・ツール連携の実用例

1.解析設定・実行・結果処理の一括自動化

PyAnsysを用いれば、ジオメトリの変更、境界条件の定義、ソルバー実行、結果の抽出やレポート作成といった解析フローをすべてPythonで制御できます。人手による繰り返し作業を削減し、再現性のある解析業務を短時間で実行可能です。

▶ Ansys Mechanical 自動化事例 : ​ 静的構造解析の解析設定から実行までを Excel 操作で完結​

PyAnsys により Ansys MechanicalとExcelを連携させることで、解析設定・実行・レポート作成までをワンクリックで自動化できます。ユーザーはExcelにパラメータや条件を入力するだけで、Ansys Workbenchが自動で起動し、Mechanicalに設定が反映され、解析が実行されます。結果はExcel上に自動で集約・出力され、報告書も同時に作成されるため、作業ミスの防止や業務効率化に大きく貢献します。

2.ユーザーインターフェースのカスタマイズによる操作性向上

解析設定の自由度が高い反面、Ansysの標準UIは操作が煩雑になることもあります。
PyAnsysを使えば、ユーザーの目的に合わせた入力フォームや専用ウィザードを構築でき、操作ミスの削減や教育工数の削減につながります。

▶ Ansys Mechanical でのウィザード活用事例:​ 
圧力、固定、支持、大変形を専用の「構造解析ウィザード」で簡単設定

解析設定から実行、結果出力までを効率的に進められるウィザードを構築可能。設定後は解析が自動で開始され、結果は指定フォルダに出力されます。設定ミスの削減や作業時間の短縮が可能です。

3.Python環境との連携による解析ワークフローの構築

Pythonの豊富なライブラリ(NumPy、pandas、機械学習など)と連携し、より高度なデータ処理や条件最適化を行うことができます。外部データベースや設計空間探索ツールと組み合わせたワークフロー全体の自動化が可能です。

▶ PyFluent による Ansys Fluent の解析ワークフロー構築

PyAnsysのPyFluentライブラリを活用し、GUI操作を再現するだけでなく、条件設定・計算実行・結果処理をスクリプトで効率化。繰り返し解析や最適化の業務を大幅に省力化できます。

PyAnsys を使ってみよう!インストールからセットアップまで

PyAnsys をインストールするには

PyAnsysをインストールして使い始めるには、以下の3つのステップが必要です。

 

  1. Pythonのインストール
  2. 仮想環境(Python実行環境)の作成
  3. PyAnsys packageのインストール

 

Ansys Python Manager を使用すれば、より簡単にセットアップすることができます。
Ansys Python Manager は下記のサイトにて提供しています。

・Ansys Github :  https://github.com/ansys/python-installer-qt-gui/releases/latest

PyAnsys 関連リソース

  • GitHub公式リポジトリ
    PyAnsysのメタパッケージと各種モジュール(pyMechanical, pyMAPDL, pyFluentなど)が管理されています。ソースコードの閲覧・ダウンロード・Issue投稿・開発参加が可能です。
  • PyAnsys公式ドキュメントサイト
    各モジュールのAPIリファレンス、チュートリアル、インストール手順などが掲載されています。
  • Ansys Developer Portal
    開発者向け情報や、PyAnsysを使った拡張・統合事例が紹介されています。

PyAnsys に関するよくあるご質問

Q. PyAnsys は無料で使えますか?


はい、無料で使えます。PyAnsys ライブラリはオープンソースとして提供されており、どなたでも無料で利用できます。ただし、PyAnsys が操作対象とする Ansys 製品(Mechanical、Fluent など)を使用するには、それぞれの製品のライセンスが必要です。

 

Q. Python初心者でも使えますか?


基本的な構文(変数、ループ、関数など)が理解できれば十分です。サンプルコードも充実しています。

 

Q. Ansys製品のインストールは必須ですか?


基本的には Ansys が必要になります。ただし、PyAnsysはクラウド環境など、リモート実行にも対応しており、設定次第でローカルに依存しない運用も可能です。

 

Q. 従来の Ansys スクリプトと PyAnsys との違いはなんですか?

 従来のスクリプト(APDL、TUI、IronPythonなど)に比べて、PyAnsys は一般に普及しているPythonによる可読性の高い記述が可能であり、Ansys 以外のツールとの連携やデータ処理も簡単に行えます。

PyAnsys 活用支援のご案内

「PyAnsys に興味はあるが、どう始めればいいかわからない」
「PyAnsys を使ってみたいが現状のスキルでは難しい点がある」

 

そんなお客様はサイバネットまでご相談ください!
PyAnsys 活用支援では、PyAnsys のスタートアップに必要な環境構築、テンプレートのご提供、その後のフォローアップまでを有償でサポートします。 導入初期の不安やハードルを解消し、スムーズな立ち上げを支援します。

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