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リリース情報

PlanetsⅩ 2022R2 リリース情報

2022年12月、PlanetsⅩ ver.2022R2がリリースされました。
今回のバージョンアップより、PlanetsⅩのバージョン番号を対応するAnsysと統一しています。

Ansys対応バージョン

PlanetsX ver. 2022R2(射出成形用)はAnsys Workbench 2022R2対応版です。

PlanetsⅩ 2022R2 主なバージョンアップ機能

新規機能

1.ウェルド部の強度低下を考慮した安全率の評価

成形時の樹脂流動に起因して発生するウェルド部において、製品の強度が低下することが知られています。従来はその影響を構造解析に反映することができませんでしたが、本バージョンではウェルドアングル (会合角度) に応じた強度の低下割合を定義することにより、ウェルド部における安全率の低下を評価する機能を実装しました。

ウェルド部の強度低下を考慮した安全率の評価

2. 異方性熱伝導率の考慮

熱伝導率の異方性並びに温度依存性を考慮した伝熱を伴う樹脂流動解析が可能となりました。異方性熱伝導率を定義できるのは、樹脂、温度連成の構造体、スーパーインポーズ法を用いた圧縮/プレスの構造体です。異方性熱伝導率の定義はエンジニアリングデータにて行い、物性の割り当てと座標系の定義はMechanicalにて行います。異方性の定義に円筒座標系を用いることも可能です。

異方性熱伝導率を含む材料の割り当てと座標系の選択
異方性熱伝導率を含む材料の割り当てと座標系の選択

3. 過渡状態の金型温度分布の定義

金型冷却解析では1成形サイクルにおける時間平均の金型温度分布を評価して、充填保圧冷却解析の金型温度に割り当てています。本バージョンで搭載した機能を用いることで、1成形サイクル間の任意の時刻で出力された複数の金型温度分布 (過渡状態の金型温度分布) を、充填保圧冷却解析の各時刻の金型温度として設定することが可能になりました。

充填開始から20秒後の金型温度分布の設定
充填開始から20秒後の金型温度分布の設定

4. テーブル入力データのCSVファイルインポート

金型表面温度などのテーブル入力が必要な設定に対し、CSVファイルに記述した設定のインポート機能を実装しました。本バージョンにて対応しているテーブルデータは以下になります。

①金型表面温度
②圧縮/プレス

  • 移動境界の移動制御
  • 移動境界の圧力制御
  • スーパーインポーズ法の構造体の移動制御

β機能

1.ポッティング解析のキャピラリー移動設定

ポッティングの解析において、キャピラリーの移動パスを設定できるようになりました。本バージョンではオプション「fpac.add」を用いて、キャピラリーの半径や各時刻の位置を設定します。樹脂の吐出量はMechanicalの[注入ゲート(充填・保圧)]を用いて設定します。

樹脂のポッティング過程 (2.5s経過時)
樹脂のポッティング過程 (2.5s経過時)

機能向上

1.ウェルドアングルの評価精度向上・再計算機能追加

本バージョンではウェルドアングル (会合角) の評価精度を向上しました。今まではウェルドが発生しないと考えられる位置においてもウェルドアングルが小さい (ウェルドが発生する) ことがありましたが、パラメータ調整によってそのような評価にならないようにしました。また、パラメータによっては妥当な評価にならないことがあるため、パラメータを調整してウェルドアングルだけを再計算する機能も実装しました。

樹脂のポッティング過程 (2.5s経過時)

2. 解析結果のポスト処理項目追加

PlanetsⅩで評価できる解析結果の多くは、樹脂の圧力・温度・収縮量といった、計算から得られる物理量そのものでした。しかしながら、実際に解析結果を評価して成形に活かすには、これらでは不十分な場合があり、ユーザーが結果データを加工・作成する必要がありました。本バージョンでは以下の結果情報を出力するようにしました。

①コンター

  • P=0到達時間
  • 突出可能温度到達時間 (エンジニアリングデータに突出可能温度の定義が必要)

②グラフ (時系列データ)

  • 製品部・ランナー部の温度の平均値・中央値

3. エアベントを複数節点選択で定義する機能

前バージョンではエアベントの位置を定義する際、辺あるいは1つの節点か頂点のみしか選択できませんでした。本バージョンでは、複数節点の選択によるエアベント位置の定義が可能になりました。複数節点選択の際の注意点ですが、エアベントを構成しているラインに沿って、端から順に選択する必要があります。

複数節点選択によるエアベント位置の定義例
複数節点選択によるエアベント位置の定義例

4. 静的構造解析に用いる[弾性パラメータ]などをマッピングする際のオフセット機能

前バージョンではX, Y, Z方向のオフセットおよび、スケールを変更したマッピングが可能でしたが、本バージョンからは、X, Y, Z軸周りに回転させたマッピングも可能となりました。

静的構造解析に用いる[弾性パラメータ]などをマッピングする際のオフセット機能

仕様変更

1. アスペクト比、節点距離、微小要素チェックの「solve.out」出力仕様変更

PlanetsⅩでは解析実施時に要素のアスペクト比、節点間の距離、微小要素をチェックして、基準以下の情報を「solve.out」に出力しています。しかしながら、モデルによってはこの出力が膨大になることがありました。本バージョンからは各チェックの出力行の上限を各々50行とし、別にテキストファイル「Mesh_Quality.txt」へすべて出力するようにしました。出力行数の上限はオプション「fpac.add」にて変更可能です。

2. エアートラップ評価時の上限の変更

前バージョンのエアートラップの計算では、評価できるエアートラップの数の上限がモデル規模に関係なく固定されていました。本バージョンでは要素数を基準とした上限に変更しました。また、上限をオプション「fpac.add」にて設定することも可能です。

3. 突出可能温度のエンジニアリングデータの追加

突出可能温度到達時間のポスト処理のため、PlanetsⅩ用のエンジニアリングデータに新たな項目[温度特性] > [樹脂温度特性3(突出可能温度)]が追加されました。突出可能温度到達時間を評価しない場合でも[樹脂温度特性3(突出可能温度)]は必須となりますので、新しい材料データを作成する際はご注意ください。また、前バージョンのデータを用いられる場合、80℃の値が自動設定されますので、必要に応じて変更してください。PlanetsⅩの材料データベースの[樹脂温度特性3(突出可能温度)]には、[樹脂温度特性1(固化温度)]と同じ値が設定されています。

4. [ソルバファイルパス]に指定できるファイル名の拡張

[ソルバファイルパス]は、カスタマイズされたソルバー「fpac3d.exe」を使用する際に用いる機能です。従来ここで選択できる実行ファイルの名称は「fpac3d.exe」のみでしたが、本バージョンより任意の名称の実行ファイルを選択可能となりました。

既知の不具合

1. テーブルデータの不具合

症状: 値を設定したテーブルデータ (多段射出、結果の出力時間間隔など) を閉じて再度開くと、テーブルの値が元の値と異なっている場合があります。これはMechanicalを立ち上げなおすと発生することがあります。

回避方法: 値が異なっている場合は[適用]ボタンを押さず、[キャンセル]ボタンでテーブルを閉じてください。その後テーブルを開くと正しい値に戻っています。

2. 光学性能 (AURORA) 解析実行中のMechanicalの挙動

症状: 光学性能 (AURORA) の解析を実行中、Mechanicalの画面を操作・確認できません。

回避方法: Ansys Workbench (ACT) の仕様のため、回避できません。

3. ACP(Pre)の不具合

症状: ACP(Pre)で、Rosseteが日本語で「全体座標系」と表示され、これを選択するとエラーが生じます。

回避方法: Mechanical画面のツリーアウトライン中の座標系の名前がACP(Pre)に表示されますので、座標系の名前をデフォルトの全角「全体座標系」から半角英数字の名前に変更してください。

4. 安全率結果の平均化処理

症状: バージョンより搭載した安全率の機能において、Ansysの応力ツールの安全率と比べると、平均化結果に違いが見られることがあります。特に「最大引張り応力理論」において顕著で倍以上になることがあり、その他の理論では1~2割程度の差が表れます。

回避方法: 非平均化結果に違いは見られませんので、そちらで評価してください。

5. マッピング時に参照するデータファイルの保存場所

症状: 温度連成機能を利用したそり解析などでは、構造体の温度分布をそり解析に反映させるため、温度分布データをテキストファイルに保存して[参照温度]でマッピングさせます。このように、[参照温度]などのオブジェクトから参照するためのファイルを保存する際、保存先をプロジェクトファイル (*.wbpj) の場所と異なるドライブに保存すると、マッピング時にエラーが発生します。

回避方法: テキストファイルの保存先を、当該プロジェクトの「user_files」フォルダ内にしてください。「user_files」フォルダ内にサブフォルダを作成しても問題ありません。

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