製品
Ansys Fluent
Ansys CFDライセンスの構成に関しましてはこちらをご覧ください。
Ansys Fluentは世界的に豊富な実績をもつ流体解析ソフトウェアです。乱流、熱伝導、反応、燃焼、空力音響、回転機械、混相流といった多種多様な物理現象をモデル化することが可能であり、適用例は航空機の翼周りの流れから炉内燃焼、気泡塔、石油プラットフォーム、血流、半導体製造、クリーンルームの設計、排水処理プラントの設計等々、多岐に渡ります。
スケーラビリティに優れた並列計算機能や、移動変形メッシュをはじめとした高度なメッシュ機能を利用することで、より実現象に近い、複雑で大規模な解析も実施可能です。カスタマイズ機能も充実しており、ユーザ定義関数(UDF)を用いることで新しいモデルを組み込んだり、境界条件/材料物性値をカスタマイズして使用することもできます。
Ansysの統合操作環境、Ansys Workbenchに対応しており、Ansysの構造、伝熱解析との連成の他、メッシャーやポスト処理など、Ansys Workbenchが提供する様々な機能が利用可能です。
Ansys Workbenchへの統合
Ansys Workbench操作環境内でAnsys Fluentを起動することで、Workbenchの様々なソリューションとFluentを組み合わせて利用いただけます。
柔軟なメッシュ機能
Ansys Meshing(※)をはじめとした様々なメッシャーに対応しているほか、Ansys Fluentにも独自のメッシュ修正機能(リメッシング機能等)が装備されています。
これらの組み合わせによって、複雑なジオメトリを用いた解析を非構造メッシュで効率よく解いたり、リメッシング機能を活用してより高精度な解析を行なうことができます。
※Ansys MeshingはAnsys Fluentライセンスでお使いいただけます。
主なメッシュ機能
- 対応するメッシュ形状:
三角形、四角形、四面体、六面体、ピラミッド、プリズム、多面体 - Ansys Meshingの優れた非構造メッシュ作成機能により、複雑な形状にも対応可能
- 多面体メッシュ作成機能
- メッシュのリファインメント/コースニング機能
- カットセルへの対応
F1カー周りの流れ解析(圧力分布)。
多面体メッシュを利用することで、より少ない要素数での計算が可能になります。
移動変形メッシュ
移動変形メッシュ機能により、円筒内の流れやバルブ、物体分離といった難易度の高いアプリケーションにも対応可能です。
- レイヤーリング、スムージング、リメッシングといったメッシュを再構築するためのスキームが複数あり、それらを組み合わせることで多種多様なメッシュ移動・変形に対応することが可能
- 物体分離や船舶流体力学、タンクのスロッシングなどの無拘束状態のアプリケーションに利用できる6DOFモデルを装備
- 噴霧分裂や燃焼、混相流(自由表面、圧縮流体など)等々、その他の多くのAnsys Fluentの物理モデルに適用可能
- 攪拌槽やポンプ、回転機械の解析には、実績豊富なスライディングメッシュや複数座標モデルも利用可能
Ansys Fluentの移動メッシュおよび変形メッシュを用いて、内燃エンジンをモデリングした例。
ポスト処理はCFD-Postを利用しています。
多種多様な物理モデル
Ansys Fluentには、多種多様な流体現象を精度よく解くための物理モデルが搭載されています。
主な物理モデル
- 定常/非定常
- 圧縮性/非圧縮性(亜音速/超音速流)
- 層流/乱流
- 音響
- 化学種
- 伝熱、相変化、熱輻射
- 化学反応・燃焼
- 混相流
- 回転機械
- 電位 他
乱流
Ansys Fluentには様々な乱流モデルが用意されております。
- k-εモデルおよびk-ωモデル
- 強い旋回流や異方性流に利用されるレイノルズ応力モデル(RSM)
- LES(large eddy simulation)モデルおよび、より計算負荷の少ないDES(detached eddy simulation)モデル
- 遷移モデルにより、相流から乱流への変化を詳細にモデル化可能
- Scale-Adaptive Simulation(SAS)モデルを使うことで、定常流の領域では定常流解析、大規模剥離などの過渡的な不安定状態にある部分は乱流で、格子や時間ステップに依存せずに解くことが可能
音響
不安定な圧力変動によって生じる騒音も精度よく解くことが可能です。
- Fast Fourier Transform(FFT)ツールを装備。これにより時刻歴のLESシミュレーションで求めた表面圧力を周波数スペクトラムに変換可能
- Ffowcs-Williams & Hawkings音響アナロジーを用いて、様々な物体(ブラフボディから回転中のファンブレードまで)における音の伝播のモデリングが可能
- 広帯域騒音モデルを使うことで、定常流解析の結果から音源を予測可能
飛行機のランディングギアまわりの渦構造
熱伝達、輻射、相変化
多くの流体現象は熱伝達を伴うものであり、Ansys Fluentは伝熱、熱伝達、輻射を考慮するための様々なオプションを用意しています。
- P1/Rosseland/DOモデル等の様々な輻射モデルを用意
- DO(Discrete ordinates)モデルにて、半透明体、散乱反射、波長依存放射率も考慮可能
- 日射モデル
- 熱交換器モデル
- 凝固/融解モデル
事故時の反応炉内におけるウラニウムの溶解と凝固
化学反応・燃焼
化学反応、特に乱流状態における化学反応のモデリングは、開発当初からAnsys Fluentが得意としてきた分野です。
- Eddy dissipationモデルや火炎片モデル、予混合燃焼モデル等の実績豊富なモデルを装備
- EDC (eddy dissipation concept)、PDF輸送モデル、スティフソルバーを用いた有限速度化学反応モデルなどの新しいモデルも利用可能
- 高速近似解法ISAT (In-situ adaptive tabulation) と、EDCやPDF輸送モデルと組み合わせることで、計算スピードを大幅に向上させることが可能
- CHEMKINのソルバーを用いて化学反応の計算を行うことが可能
- スタンダードな反応流モデルが用意されており、ガスや石炭、液体燃料といった様々な燃料シミュレーションに利用可能
- SOxやNOx生成・分解を予測するための専用モデルを装備
- 表面反応機能により、蒸着やエッチングといった現象をモデル化可能
- 化学反応モデルとLESおよびDES乱流モデルを組み合わせて利用可能
低NOxバーナー(画像提供:GE Energy)
混相流
流動床の気泡
Ansys Fluentでは多種多様な混相流モデルを使用可能です。
- オイラー混相流モデルでは、各相の流体方程式をそれぞれ計算することで、水と油の混合状態の解析といった、各相が局所的に異なる挙動を示すような場の解析が可能。さらに混合モデルを使えば、混相流解析の計算負荷も低減可能
- グラニュラー流れの解析に適用可能な、オイラー混相流モデルおよび混合モデル
- 自由表面の解析(例:波の解析)が可能なVOF (Volume of Fluid) モデル
- 水中翼、ポンプ、燃料噴霧器のモデリングに有効なキャビテーションモデル
- 噴霧乾燥機、液体燃料噴射、石炭燃焼炉などに適用可能な分散相モデル(DPM: discrete phase model)
- DPMでは様々な粒子噴霧タイプが利用でき、rosin-rammleモデルを用いた粒径分布も定義可能
- 液膜流れの解析が可能な液膜モデル
流体−構造連成解析(片方向)
Ansys Fluentで求めた圧力分布や温度分布を転送して、Ansysの構造、伝熱解析の荷重データとして利用いただけます。解析データ間に互換性があるため、中間ツール等を利用する必要がありません。また、連成解析の設定はドラッグ&ドロップ操作で簡単に行なえます。
ポリゴンミラー周りの熱応力解析。
Workbench上でFluentの計算結果を熱応力解析の荷重条件として利用可能です。
流体−構造連成解析(双方向)
血管内(動脈弁近傍)の流れ場解析事例のように、流体からの圧力により構造体が変形した場合、その変形で流れ場が変わることがあります。
このように構造体が流体圧力によって変形し、その変形が流体挙動に影響する場合には双方向の流体-構造連成解析(双方向FSI)が必要になってきます。
Ansys FLUENTはR14.0より導入されたSystem Coupling機能を用いるとAnsys Mechanicalとの双方向FSIを行うことができます。
下記の画像はFLUENT-Mechanicalの双方向FSIによるダイヤフラムポンプの事例です。ポンプ下部が変形することにより流れ場が生じている様子を表しています。
また、構造解析との連成だけでなく、WorkbenchのFeedback Iteratorコンポーネントシステムを用いますと、電磁場ツールのMaxwellやHFSSとの連成も可能です。
強力な並列計算機能
詳細は並列計算モジュール Ansys HPCをご確認ください。
ポストプロセッサとデータエクスポート
- グラフィック機能(コンター、ベクトル、流線、粒子追跡線)
- 各種統計処理機能、プロット機能、レポート機能、FFT、結果データ出力
- ユーザ定義出力変数の作成
- Ansys CFD-Postをはじめとした、各種可視化ツールへのエクスポートが可能
- Ansys Workbench環境を利用することで構造、伝熱解析への荷重転送が容易に実施可能
- 他社FEAツールに対しても、Ansys Fluentの解析結果をデータファイルとして出力することが可能
Ansys CFD-Postによる結果の複数表示。
解析画像やアニメーション、数値データなど、
複数の解析結果を同時に表示して、比較検討することができます。
カスタマイズ機能/ジャーナル機能
ユーザ定義関数を用いたカスタマイズや、ジャーナル機能を用いた操作手順の記録/繰り返し実行が可能です。