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破壊力学について(3)
三次元問題への拡張
東京理科大学 理工学部 機械工学科 岡田 裕 様

CAEのあるものづくり Vol.27|公開日:2017年10月
目次
- 有限要素法と破壊力学…三次元問題への拡張
- 仮想き裂閉口積分法(Virtual Crack-Closure Integral Method; VCCM, Virtual Crack-Closure Technique; VCCT)の三次元問題への拡張
- J積分法の三次元への拡張
- 領域積分法を用いたJ積分法の三次元への拡張
- 領域積分法を用いた相互積分法
- き裂近傍の有限要素法解析モデルについて
- まとめ
有限要素法と破壊力学…三次元問題への拡張
前回までで、破壊力学に関する基本的な考え方と有限要素法を用いた破壊力学解析について述べてきました。しかし、読んで頂いた方々は気付かれたかもしれませんが、前回までの議論はすべて二次元問題について展開しています。筆者の私感ですが、過去の文献を調べていく中で破壊力学に関する理論的な研究は主に二次元問題に対して行われてきたこと、さらに、有限要素法の破壊力学問題への応用も二次元問題から始まっています。なぜ、二次元問題から始まったか?と、いうことについては想像しかできませんが、き裂や切り欠きの力学に関する解析的研究(例えば、Williams[1、2]、等)が2次元問題を対象として行われてきたこと。おそらく、三次元問題弾性問題に対する理論解の導出が一般に大変難しいことが理由の一つであろうと思われます。さらに、1970年代から1980年代初頭にかけて、有限要素法を用いた破壊力学解析に関する研究が盛んに行われていましたが、それらのほとんどが二次元問題解析だった理由は当時使用されていたコンピュータの計算能力にあるのだろうと思います。私が有限要素法解析に触れ始めたのは1985年頃ですが、手元のPCで有限要素法解析を行うことはあまり現実的ではありませんでした。しかし、現在は手元のPCでも、モデル規模や解析の種類によりますが、構造や固体力学問題に関する三次元解析を問題無く実行可能です。様々な理由から、まずは二次元解析、そして三次元解析へと拡張されてきたのだろうと考え、本稿の議論を行っていきます。
本稿では、前回までに展開してきた二次元問題に対する有限要素法解析結果を用いた、応力拡大係数やJ積分などの破壊力学パラメータ計算手法の三次元問題への拡張について紹介していきます。その中で、筆者が行ってきた研究の紹介も多少織り交ぜていくこととしたいと思います。
本稿では、仮想き裂閉口積分法(Virtual Crack-Closure Integral Method; VCCM, Virtual Crack-Closure Technique;VCCT)[3]、J積分法[4]、そしてJ積分法を基本とする相互積分法[5]の順番に紹介していきます。
仮想き裂閉口積分法(Virtual Crack-Closure Integral Method; VCCM, Virtual Crack-Closure Technique; VCCT)の三次元問題への拡張
はじめに、前回と多少重なりますが、二次元問題の場合のおさらいをします。二次元問題では、き裂のエネルギー解放率を、Irwin [6]のき裂閉口積分 (Crack-ClosureIntegral)と有限要素法解析結果に基づく計算を次のように与えることが…
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