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ここまで使える! Ansys Workbench Mechanical動解析機能の活用

CAEのあるものづくり Vol.23|公開日:2015年11月
目次
はじめに
電気自動車に代表されるように、製品の電子化・電気化に伴い、振動騒音低減への要求が高まっています。それに伴い、1つの搭載部品に対して、設計段階からこれまで以上に動的特性および動的応答を把握する必要があり、使いやすさだけでなく幅広い振動解析機能を持ち合わせたシミュレーションソフトが求められています。
Ansys製品の統合環境である「Ansys ® Workbench ™ 」は、その使いやすさから多くの設計者にご利用いただいてきました。また、Ansys社が別途提供している解析専任者向けの操作環境「Ansys ® Mechanical ™ APDL」の高度な機能がつぎつぎと実装(表1)されており、設計現場での動解析の活用は今や現実的なものになっています。
本稿では、Ansys WorkbenchMechanicalに搭載されている動解析機能を総括し、とくに利用頻度の高い、「線形摂動解析」、「ローターダイナミクス」、「強制運動手法」の機能を挙げて、その適用方法と得られる結果について解説します。

表1 解析専任者向け操作環境「Ansys MechanicalAPDL」とAnsys Workbench Mechanicalの動解析機能比較
線形摂動解析
線形摂動解析とは、予荷重状態における非線形性(幾何学的非線形や材料非線形、接触非線形)を考慮し、初期応力状態を正確に求める事で、より実現象に近い動的特性を得る機能です。例えば、ギターの弦やドラムのヘッドなど、張力を上げていくことで剛性が高くなり、より高い周波数で振動するような現象を解析する場合、始めに張力による初期の応力状態を大変形問題(幾何学的非線形)として計算しておくことで、より実現象に近い初期状態から振動解析をスタートすることができます。
線形摂動手法を用いたモーダル解析では、式(1)より固有振動数を計算します。

ここで、

図1に、初期応力状態と無応力状態の固有振動数の違いを比較した検証例を示します。解析モデルは薄板構造とし、初期応力状態を作るために両端に引張荷重を負荷しています。解析結果では、無応力状態の固有振動数は2260[Hz]に対し、初期応力状態の固有振動数は3372[Hz]となりました。これは引張荷重を負荷することでストレススティフニング効果により薄板構造の剛性が増し、固有振動数が上昇したことを示しています。このように振動解析では対象物の初期状態を実現象に則してモデル化することが結果の精度に影響すると分かります。

図1 初期応力状態と無応力状態の違い
2-1. 線形摂動解析の設定
Ansys WorkbenchMechanical環境で線形摂動手法を用いた解析を行うには、基本解析(予荷重状態を求める解析)のシステムと動解析システムの両方を作成しておく必要があります(図2)。基本解析のシステムは、[静的構造]もしくは[時刻歴応答]に対応しています。ここで、基本解析システムの[解析結果]セルと動解析システムの[セットアップ]セルをリンクさせることで、予荷重計算結果を動解析のモデルに転送することができます。

図2 線形摂動手法を用いたモーダル解析システム
2-2. 線形摂動解析事例
タイヤ路面接地時の固有振動数を求めるため線形摂動手法を用いたモーダル解析の事例です...
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