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構造解析

プレス工業株式会社 様

金型設計におけるCAEの活用

プレス工業株式会社 様

CAEのあるものづくり Vol.12|公開日:2010年4月

目次

本インタビューでは、プレス工業株式会社様にご協力いただきました。プレス工業株式会社様は1925年の創業以来80年以上にわたって自動車部品を生産されています。トラックのフレームおよびアクスルケース、サスペンション建設機械用キャビンをコア商品とし、その高度な品質は国内外のメーカーから厚い信頼を得ています。
今回は工機部型設計グループにおいて、成形シミュレーション業務に板解析ソフトウェア eta/DYNAFORM を使われている皆様を訪問し、近年金型設計業務で課題となっているスプリングバッグの事例を交えて、シミュレーションの活用状況や導入効果についてお伺いしました。

今回お話いただいた方々
工機部型設計グループ
主査 額賀  隆 様
主任 森越 正幸 様
   山下 洋平 様
   奈須 竜平 様
(以下、お客様の名前の敬称は省略させていただきます。)

厳しさを増す「短納期、ローコスト、高品質」への要求
特に近年ではハイテン材の利用が増え、金型の高品質化が重要課題に

皆様の部署のお仕事の内容についてお聞かせ下さい。

額賀 - 工機部型設計グループでは当社のコア商品であるトラックフレームやアクスルケース部品等の金型を設計しています。また、自動車メーカーから受注した自動車ボディパネルの金型なども設計しています。メンバーは22名です。管理・専門職3名、工程設定・金型設計者が14名、解析担当者が5名です。解析担当者は金型の製品形状面、ダイフェース面のCAD形状作成から成形シミュレーションによる成形性評価までを担当しています。

お客様の業界では今、何が課題になっているのでしょうか。

森越 - 今も昔も短納期、ローコスト、高品質が変わらない目標です。
昨今自動車業界では製品開発期間が益々短くなってきており、金型の製作期間短縮が要求されています。また中国等の海外金型メーカーの台頭によりコストダウン要求が非常に厳しくなっています。さらに近年自動車ボディパネルは軽量化や衝突安全性向上のためにハイテン材や超ハイテン材の使用が多くなってきており、そのような製品の金型では割れ、しわ、スプリングバック等の成形不具合が発生しやすく、それらを防止する高品質な金型設計が要求されています。
以上の観点から3次元CADによるソリッド設計の活用による短納期、ローコストな金型設計、成形シミュレーションの活用による成形性不具合の予測および初期製作金型へ対策を折込んだ高品質な金型設計などが課題です。

近年注目されている材料モデルを搭載した、「eta/DYNAFORM」によるスプリングバック解析の精度向上への取組み

スプリングバック解析対象製品 図1 スプリングバック解析対象製品

eta/DYNAFORMの導入経緯についてお聞かせ下さい。

額賀 - 弊社でも約10年前から成形シミュレーションを利用しており、近年プレス成形時の不具合のうち、割れやしわはかなり精度良く予測できるようになってきました。しかしながらスプリングバック変形の予測がまだまだ難しいというのが現状です。数年前から広島大学の吉田先生、上森先生が提唱された材料モデルである「吉田-上森モデル※」を使用するとスプリングバック解析の精度が飛躍的に向上するという報告が多くなされております。そこで弊社においても「吉田-上森モデル」を利用してスプリングバック解析精度を向上させるためにeta/DYNAFORMを導入しました。現在、森越、山下、奈須の3名がeta/DYNAFORMを使用しています。

eta/DYNAFORMの利用状況についてお聞かせ下さい。

山下 - 弊社が参加しているプライベートな研究会での発表があったので、私が最初に「吉田-上森モデル」を使用して乗用車のセンターピラーレインフォースパネルのスプリングバック解析を実施しました。解析実行にあたっては当初、色々なエラーメッセージが出て苦労しましたがサポートもあり何とか解析を完了することが出来ました。

森越 - 当社コア商品のフレーム部品や自動車ボディパネル等について従来から使用しているswiftモデルと「吉田-上森モデル」を使った解析を並行して行い、スプリングバック解析精度の検証を行っています。

額賀 - 「吉田-上森モデル」の材料パラメータについて当初は社内で引張圧縮試験を実施して取得したいと考えていましたがこの方法でのパラメータ入手はかなり難しそうなので代表的パラメータ情報を用いて種々の製品の解析を行ないスプリングバック解析精度向上の検証を進めているところです。

何か解析事例をご紹介いただけないでしょうか。

山下 - センターピラーレインフォースパネルのスプリングバック解析について紹介します。図1のような形状でピラー上部が車体内側方向に湾曲しており成形後にスプリングバックします。
近年、超ハイテン材が使用されることが多くなりスプリングバックの大きい難成形部品です。
図2に解析に用いた材料物性、図3に最適解析条件について図4に解析結果を示します…

※「吉田-上森モデル」とは
板材成形におけるドロー成形時、板がダイコーナーに沿って引き込まれ、引張り曲げ・曲げ戻しによる応力(ひずみ)反転を受けます。この際に塑性変形抵抗が大きく低下する現象はバウシンガー効果と呼ばれています。吉田-上森モデルは、この材料挙動を精度良く表現できる弾塑性材料モデルであり、eta/DYNAFORMでも標準サポートされているモデルです。なおswiftモデルは、バウシンガー効果を考慮しない弾塑性材料モデルです。

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