解析事例
半導体用液状封止材トップ企業の、CAE連携による高度な設計への取り組み
ナミックス株式会社 様
概要
半導体用液状封止材の分野でグローバルに事業を展開するナミックス株式会社様。高度化する要求に応えるため、流動解析・構造解析など複数の解析・シミュレーションを組み合わせて活用し、より高度な材料設計と開発効率の向上を推進されています。
本記事では、そのCAE活用の取り組みと成果についてご紹介します。
導入前の課題
- 半導体用液状封止材への要求が高度化・多様化し、試作・評価中心の開発では時間を要していた
- 樹脂の流動や反り・クラックなどの不具合について、開発段階でより高精度な予測が求められていた
導入効果
- 流動解析・構造解析により、半導体パッケージの使用環境や構造をシミュレーション可能になった
- 材料挙動のメカニズムを踏まえたうえで、最適な材料設計を事前に検討できるようになった
- 試作・試験前に課題を把握可能になり、開発工数の削減と設計精度の向上を実現できた

(左から)榎本様、斉藤様
今回お話をお伺いした方

ナミックス株式会社
時計事業部 時計開発統轄部 技術開発部
技術開発本部 開発U 評価技術開発G
榎本 利章 様
斉藤 寛之 様
阿部 早苗 様
ご利用中の製品・サービス
1.半導体用液状封止材で世界をリードする ための開発技術
御社の事業概要をお聞かせください。
榎本
当社は、材料・プロセス・評価技術を基盤に構築した技術をもとに、導電材料・絶縁材料・フィルム材料を開発しています。
材料(絶縁・導電)技術とプロセス(配合・分散)技術の両コア技術にシミュレーション(材料・構造解析)技術を活用し、SEEDS(S:半導体、E:環境、E:エネルギー、D:デバイス、S:システム)の5つの成長分野へ次の世代をリードする高品質な先端材料を展開し、主に、電子部品、半導体、デバイス、エネルギー、環境の分野のお客さまに提案しています。
最近は、AIを用いて最適化設計をおこなうなど、より製品設計を広く深くできるような活動も推進し、新たな技術開発の強化を図ることによって、お客さまの潜在的な要求を具現化できるような製品の開発を目指しています。

チップコート

ユニメック:熱硬化型導電ペースト

ハイメック:焼成型導電ペースト

キノメック:ストレッチャブルペースト

アドフレマ
図1 ナミックスが提供する製品
Ansys製品をどのような目的でご導入いただきまし たか?
榎本
技術者の開発工数を減らしながらも要求を満たせる製品設計ができるよう手助けしたいと考えたのが目的です。当社製品は、主にパソコン、自動車、スマートフォン等に使用される半導体材料などの接続や固定に使われていますが、要求項目もどんどん厳しくなり用途も広がるため、常に最先端の技術開発が必須です。そのため、マッチングする樹脂をその都度開発していかなくてはいけませんが、技術工数も多大に必要になっていきます。そこで、前もって計算科学やAIを利用し、要求項目に合う製品設計の方向性だけでも絞ることで、技術者が、より高い付加価値を見出すことに専念できるようにしたいです。
2.半導体製品の課題を解決するために、 CAEを活用
皆さまが担当されている業務やCAE活用シーンを教えてください。
榎本
当社は熱硬化性樹脂や導電樹脂の製品開発・製造・販売をしており、私は特にパッケージ(半導体の封止工程技術)に対して、樹脂材料に関する課題をいかにシミュレーションで事前にカバーできるかといった基盤の部分を検討しています。
封止初期の状態において樹脂材料は液体の状態ですが、加熱や、紫外線を照射するなどの方法で硬化させ、信頼性試験にて評価します。その過程で、反りやクラック等が入ってしまうことがあるのですが、これらの現象を削減するために、製品開発の段階で流動解析や構造解析といったシミュレーションを活用しています。
斉藤
私は広く流体解析を担当し、樹脂流動予測にPlanetsⅩ、流体解析ツールとしてAnsys Discoveryを利用しています。樹脂流動はお客様の製造プロセスにおいて液状の接着剤や封止剤などが解析の対象です。
以前から、プラントの設計など製造作業者の環境改善にも流体解析を活用しています。製造プロセス設計や最適化などに携わることが多いです。
実際に生産現場で設計する部門の方へ、CAEが生産現場の課題解決に繋がる有効な手段であることを示し、設備設計部門でCAEを展開することも私の役割の一つです。
阿部
私は構造解析を担当していますが、熱応力解析や亀裂解析、さらに熱伝導解析も実施しています。製品の応力、ひずみ、変形などをお客さまの用途に合うよう設計するためにAnsys Mechanicalは欠かせません。
半導体向け樹脂材料は、製品として使用する際に、非常に大きな熱負荷がかかることがありますが、これは半導体の品質においてクリティカルな問題です。
私はこのテーマに対して解析ツールを用いることで検証しており、PlanetsⅩは主に半導体封止成形中の樹脂材料の流れをみるときなどに活用しています。
また、物性のフィッティングも主な業務です。シミュレーションを実施するときには、実験データをプログラムに認識させるために、多数のパラメーターで表現された関数である材料モデルを利用します。その係数、いわゆる材料物性値の同定は、実験で得られた材料応答を材料モデルでフィッティングする作業に対応します。この作業にて材料試験の結果と材料モデルの結果が離れてしまう問題が発生することも少なくありません。
このような問題解決に、PlanetsⅩ とMultiscale.Simのシミュレーションを重宝しています。

図2 解析イメージ
3.お客様のそれぞれの環境に合わせた事前予測がCAE導入で実現できる
CAEを導入後、どのように業務が変わりましたか?
榎本
CAEを導入する前は、樹脂が材料性能を満足しているかを確認するために、実際の製品を入手した後に信頼性試験などを実施し、時間をかけてフィードバックを実施してOK、NG判断をおこなっておりました。これは材料開発にも時間がかかることを意味しており、大きな課題でした。CAEを導入することにより事前にお客様の使用環境、構造などをシミュレーション上で再現し、最適な材料の方向性を予測していける環境ができてきたと思います。
また、そのような要求に応えられる材料を、メカニズムを理解した上で説明できることから、私たちのお客様から喜ばれたという声もいただいています。
これは本当に嬉しいことです。
現在では、多くの樹脂材料の技術者、開発者から相談・依頼を受けますが、半導体製品が常に技術革新しているため、依頼に対する解決手法も常に新しいアプローチが必要となります。そのため、それに見合った新規技術を前もって取り入れて対応できるよう進めています。
サイバネットのサポートを活用いただいていますが、いかがでしょうか?
榎本
サポートは、とても密に対応してもらっています。
一緒に取り組んでいきたいというモチベーションになり、ありがたい存在です。
PlanetsⅩとMultiscale.Simは、サイバネットさんの開発ソフトウェアいうこともあり、我々の課題をご相談すると親身になって対応策を検討してくださいますし、場合によってはソフトウェアの改良まで実現してもらい、非常に助かっています。
阿部
困ったところに寄り添っていただけるサイバネットさんのサポートが本当にありがたいです。PlanetsⅩについてはカスタマイズいただいたフィッティングプログラムももちろんですが、その後マニュアルだけではなく、ツール作成などでフォローいただいたサポートもありがたかったです。
榎本
Web会議でサポートを実施していただけるのは助かります。テキストと画像のみでやり取りするのとは違い、実際の操作画面を見ていただくことで、情報のやりとりがスムーズになりますので。
また、解析手法の課題に加え、ソフトウェアそのものや運用面の課題についても、遠慮なく話し合いができています。ソフトウェアは導入して終わりではなく、そこからどう活用し、共に高めていくかが重要です。完全な製品は存在しないからこそ、ユーザーと伴走してくれる開発元やサポートとの信頼関係が何より大切だと感じています。
4.今後はさらに解析時間の短縮や発展した現象の解析へのアップデートをさせたい
CAEを使う上で課題や大変なところはありますか?
榎本
PlanetsⅩでは半導体封止モデル全体を解析にかける際、モデルによってはメッシュ数が膨大になってしまい、計算時間やメモリを消費してしまいます。
これらをどのように省モデル化するかが課題になっています。現在もPlanetsⅩの改良やサポートによって課題を解決していただいてますが、今後も計算時間の短縮をテーマに検討していただけると非常にありがたいです。
もう一つの課題としては、樹脂材料の性質として流動時の粘弾性があります。実際の現象に対するシミュレーション精度を高めるために粘弾性を考慮したいと考えています。粘弾性が強く表れる流動現象に対してPlanetsⅩでアプローチできると思います。
阿部
私たちの業務では材料のケースを多く取り扱うため、物性の入力を頻繁におこないます。そのため、入力が簡単であればあるほど業務の効率化を図ることができ、利便性が向上します。例えばフィッティング結果をMicrosoft Excelで管理しているのですが、自動的に取り込む機能など、これからもサポートでご相談させていただけますと助かります。
榎本
Multiscale.Simでは、計算時間の短縮化とメッシュ作成に苦労しています。いかに計算時間を短くできるようにするか、またメッシュの作成も多機能なメッシュ生成機能を駆使して効率よく作成するかが課題です。
また、パラメーター係数の調整や、素材の均一、不均一の設定などについて難しく感じていますが、サイバネットさんのサポートと引き続きご相談させていただければありがたいです。
5.今後は実成形まで網羅したさらなるソリューション提案を期待
将来取り組みたいことや、サイバネットに期待することなどありましたらお聞かせください。
榎本
私たちもCAEと実成形を絡めたソリューションを常に模索している状態です。引き続きサイバネットさんからはどんどん新しい情報を提供していただき、CAEの活用を深めていきたいと考えています。
※記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
※自治体・企業・人物名は、取材制作時点のものです。
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