CYBERNET

解析事例

構造解析

シリカフィラー分散フッ素樹脂の物性値予測と積層板の残留応力解析

事例提供:北海道科学大学 見山研究室

こんな方におすすめ

  • フィラー充填によって残留応力を低減したい
  • 成形後の残留応力を最小化するための最適設計を行いたい
  • 積層材の材料設計を行いたい
  • 複合材料の物性値を解析的に予測したい

概要

フッ素樹脂は、従来から基板材料として使用されているエポキシ樹脂やポリイミド樹脂と比較して、低い比誘電率および誘電正接を有しています。そのため、5G以降の次世代通信規格で使用される高周波数帯における信号損失を低減する材料として注目されています。
フッ素樹脂を基板用途に使用する際には、機械的特性や電気的特性を調整するため、無機フィラーを複合化することが一般的です。
本事例では、フッ素樹脂を基板材料として使用することを想定し、成形後に生じる残留応力の低減を目的とした材料設計を、均質化法に基づくマルチスケール解析によって検討しました。

使用ソフトウェア

  • Ansys Mechanical 2024 R2
  • Ansys DesignModeler 2024R2
  • Multiscale.Sim 2024R2

解析モデル

シリカフィラー充填フッ素樹脂の物性予測

シリカを充填した2種類のフッ素系樹脂の弾性率および線膨張係数を、Multiscale.Simが提供する均質化法を用いて算出しました。シリカの体積含有率は30~65%としました。各ミクロモデルは、Multiscale.Simが提供するモデル作成テンプレートを利用することで、フィラーの充填率や粒度分布を指定するだけで自動的に作成できます。図1に、フィラー体積含有率65%の場合を例として、作成したミクロモデルの外観を示します。

図1. シリカフィラーの充填率65%におけるミクロモデル外観

積層基板の残留応力解析

中央の第1層コア材、第2層フッ素系樹脂A※/シリカ充填材、第3層フッ素系樹脂B※/シリカ充填材、および銅箔から構成される積層板を想定しました。積層条件を表1に、作成した解析モデルの外観を図2に示します。この基板を300℃でプレス成形した後、室温である23℃まで冷却した際に生じる層間の残留応力を評価しました。

※ 機密保持の観点から、樹脂名は伏せて記載しております。

表1. 積層基板の積層条件

層 厚み [mm] 材料
銅箔 18 銅
第3層 10~40 フッ素系樹脂 B / Silica
第2層 10~40 フッ素系樹脂 A / Silica
第1層 30 コア材
第2層 10~40 フッ素系樹脂 A / Silica
第3層 10~40 フッ素系樹脂 B / Silica
銅箔 18 銅

図2. 積層基板モデルの外観

解析結果

シリカフィラー充填されたフッ素樹脂の材料物性

図3に、温度を室温に固定し、フィラー体積含有率を変化させた際のフッ素系樹脂Aの弾性率および線膨張係数を示します。シリカフィラーはフッ素樹脂と比較して弾性率が高く、線膨張係数が低いため、フィラー充填量の増加に伴って、複合材料の物性値もフィラーの物性値に近づきます。一方、フィラー体積含有率が30~50%程度の範囲では物性値の変化は比較的小さく、50%を超えたあたりから、フィラー充填による効果が顕著になる傾向が確認されました。

図3. シリカフィラーを充填したフッ素系樹脂Aの材料物性値

積層基板の残留応力解析

積層材を構成する第2層と第3層の合計厚さを50 μmに維持しながら、それぞれの層厚を10~40 μmの範囲で変化させました。図4に、第2層を10 μm、第3層を40 μmとした場合の残留応力分布を示します。残留応力は主に、銅箔-第3層境界面端部、第3層-第2層境界面端部、および第2層側面部の3か所で高くなることが確認されました。

図4 プレス成形後の残留応力(第一主応力)

これら3か所に着目し、最大主応力と層厚の関係を図5に示します。第3層の厚さが最も薄い10 μmの場合に、銅箔と第3層の境界面に生じる残留応力が最も小さくなりました。また、銅箔と第3層の境界面に生じる応力は、第3層の厚さの増加に伴って概ね増加する傾向を示しました。一方、第3層と第2層の境界面に生じる応力は、第3層の厚さが30~35 μm(第2層の厚さが20~15 μm)付近を境に低下する傾向を示しました。これは、第2層の厚さが薄くなることで、フッ素系樹脂A/シリカ65%複充填材の影響が相対的に小さくなり、残留応力への影響が変化したためと考えられます。

図5 第2層と第3層の厚み構成と残留応力の関係

続いて図6に、銅箔-第3層境界面について、シリカ含有率の異なる樹脂を組み合わせた場合の残留応力と層厚の関係を示します。いずれの組み合わせにおいても、第3層の厚さが最も薄い10 μmの場合に、残留応力が最小となることが確認されました。

図6シリカとフッ素樹脂の混合条件と残留応力の関係

関連する解析事例

MORE

関連する資料ダウンロード

MORE

関連する解析講座・辞典

MORE

あなたへのおすすめ

Ansys、ならびにANSYS, Inc. のすべてのブランド名、製品名、サービス名、機能名、ロゴ、標語は、米国およびその他の国におけるANSYS, Inc. またはその子会社の商標または登録商標です。その他すべてのブランド名、製品名、サービス名、機能名、または商標は、それぞれの所有者に帰属します。本ウェブサイトに記載されているシステム名、製品名等には、必ずしも商標表示((R)、TM)を付記していません。 CFX is a trademark of Sony Corporation in Japan. ICEM CFD is a trademark used by Ansys under license. LS-DYNA is a registered trademark of Livermore Software Technology Corporation. nCode is a trademark of HBM nCode.