解析事例
旋回燃焼器におけるアンモニア ー メタン混合燃焼の数値計算
アンモニア燃焼器の流体解析:背景と意義
- アンモニア燃焼の背景
脱炭素社会の推進:CO₂を排出しないクリーン燃料として注目
石炭や重油などと混焼させることでCO₂排出量を低減させる手段としても着目 - アンモニア燃焼の特性と課題
層流燃焼速度が低いので、炭化水素燃料より火炎の維持が難しい
アンモニア自体に窒素原子を含んでいるので燃やすと多量のFuelNoxが発生しやすい - 流体解析の目的
燃焼挙動の可視化(火炎位置・温度分布)
保炎性・混合効率評価
NOx生成の抑制設計 - 応用と期待効果
バーナ設計最適化
安全性・燃焼効率の向上
環境負荷の低減(低NOx化)
使用ソフトウェア
Ansys Fluent
解析対象
•本解析では実験条件Bを実施
•予混合気における各化学種の質量分率を表に示す




解析条件

- 解析案定を目的として周囲流を流したバッファ領域を配置
- ポリヘキサコアメッシュ
- セル数:約512万
- 具体的な条件値を表に示す


解析手法
- 旋回流に対するRANSの非適合性を補正するため,流線曲率修正を有効化(低強度旋回流において幾分改善)
- 予混合FGMは部分予混合燃焼だけでなく完全な予混合火炎にも対応
- 混合分率が一定で反応進行度のみ火炎面に合わせて変化する
※進行変数空間を利用したFlameletTableでは保炎ができずに消炎したため,Chemkinによる物理空間でのテーブル作成に設定


実験写真、温度、OH質量分率、NH3質量分率コンター

速度絶対値、乱流粘性係数、乱流燃焼速度コンター

軸方向速度分布

- PIVによる実験値と解析値の比較
- 最大速度で無次元化
- 両者はおおむね一致
- PIVの値はZが増えるに従いばらつきも増加
- Z=40mmにて旋回流に対するRANS解析の特性により逆流を過小評価

X方向速度分布

- PIVによる実験値と解析値の比較
- 最大速度で無次元化
- 中心部の構造が解像されていない
- 両者はおおむね一致
- PIVの値は全体的にばらつきが大きい
- Z=40mmでは実験値の信頼性に疑義がある

まとめ
解析で得た知見
▶火炎指標(OH分布)と実験(火炎写真)比較では、解析が燃焼をやや過剰に見積もっている可能性がある
▶逆流・速度剪断層で乱流が強まり、乱流燃焼速度が上がることで火炎が維持される(保炎に寄与する)ことが示唆される
▶PIVと速度分布は概ね合うが、下流の一部位置では逆流を過小評価(旋回流×RANSの限界が見える)
設計・開発への反映点
▶保炎性の設計判断:逆流域・剪断層・乱流強度が「どこで火炎が持つか」を左右するため、形状・旋回強度・流量条件の当たり付けに使える
▶解析モデル選定の指針:どのモデル/テーブルが成立し、どれが消炎しやすいかが分かるので、試行錯誤の計算コストを削減できる
▶実験一致性の確認と限界把握:PIV比較で“信頼できる範囲”と“外れる条件(例:下流逆流)”が明確になり、設計に使う際の注意点が整理できる
▶低NOx化検討の土台:保炎・温度場・反応域の再現性を高めることで、将来のNOx評価・抑制設計(混焼比、空気配分、旋回条件の最適化)へつなげやすい
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