解析事例
PCB上のコンデンサに入射する放射線の遮蔽効果の評価
Ansys Charge Plusを活用した宇宙機に使用される遮蔽材の効果検証
解析概要
本解析は、Ansys Charge Plusを使用し、電子線に暴露される遮蔽材とPCB上のコンデンサの吸収線量を比較し低減量を評価します。電子線の散乱や二次粒子生成を考慮し、遮蔽構造の最適化が可能です。
こんな方におすすめ
- 宇宙機の設計を行っている方
- 遮蔽材の効果を定量評価したい方
- 放射線に関する信頼性の設計を行っている方
使用ソフトウェア
Ansys Charge Plus
背景/課題
宇宙環境では高エネルギー粒子の放射線が電子機器に深刻な影響を与え、誤動作や故障の原因になります。特に長期運用の衛星や探査機では、トータルドーズ効果※1による電子機器の劣化が起こるため、遮蔽材を配置して放射線の暴露量の低減が求められます。しかし、遮蔽材の構造は重量やコストに直結するため最適な設計が重要です。
※1 トータルドーズ効果(TID :Total Ionizing Dose effect)
ガンマ線や陽子線、電子線といった放射線が半導体素子や誘電体に入射し、電離作用によって物質に蓄積した吸収線量により電荷の蓄積や材料特性の変化を引き起こす現象。性能劣化や故障(ESD、絶縁破壊)の原因になる。
解析対象および解析手法
解析対象
遮蔽材とPCB上のコンデンサの吸収線量を6時間後と12時間後の時点で評価します。

図 1 解析モデル全体

図 2 PCB上のコンデンサ

図 3 放射線源の設定
表1.放射線源の粒子設定
| 放射粒子 | 電子 |
| 粒子数 | 1000000 |
| スペクトルエネルギー | 1MeV |
解析結果
図4にモデル全体の吸収線量の分布を示します。遮蔽材に対しPCBの吸収線量が大幅に減少していることがわかります。

図 4 モデル全体の吸収線量の分布

図5 遮蔽材およびPCB断面の吸収線量分布

図 5 吸収線量の時間推移
本解析の効果
Ansys Charge Plusを用いることで、遮蔽材の材料や寸法を変更したときの影響の評価や、搭載される部品の吸収線量を評価することによる寿命予測の精度向上に寄与し、最適な設計に貢献します。

