解析事例
ROMによるソレノイドアクチュエータの1Dシミュレーション
こんな方におすすめ
- 電磁ソレノイドの電磁界-構造連成シミュレーションを高速に解きたい方
- 電磁ソレノイドを使用したシステム設計を検討されている方
電磁力で駆動するソレノイドアクチュエータは様々な用途で利用されています.自動車の燃料噴射装置やブレーキ,配電系統の遮断機,モータを保護する電磁開閉器,機械の操作用スイッチ等と枚挙にいとまがありません.ここではソレノイドアクチュエータのシミュレーションを高速に実施するためのモデル低次元化(Reduced Order modeling)技術にAnsys MaxwellのECE(Equivalent Circuit Excitation)技術とシステムシミュレーション環境のAnsys Twin Builderを用いた事例を紹介します.
解析の目的・背景
以下に示す例は,2次元軸対象のFEMソレノイドアクチュエータのモデルになります.通電用コイルに電流を流して下部のPlunger(プランジャー)が上部のStopper(ストッパ)に吸引される仕組みになっています.コイルに流す電流を制御してプランジャーの移動量を制御することで様々な用途に利用します.

(図1)解析モデル(2次元軸対称FEMモデル)
解析手法(ROM化の手法)
ここではAnsys MaxwellのECE機能を使用してFEMモデルの低次元化を行います.
ECE機能は静的な電磁界シミュレーションによって,等価回路モデルに必要となるパラメータを取得する手法です.ここではコイルに流す電流値とプランジャーの位置を入力パラメータにして,さらにプランジャーに加わる力とコイルの逆起電力を出力パラメータとします.
ECEモデルを作成するために550パターンのパラメトリック解析を実施します.この550パターンの計算を実施するのにパラレル処理を行って約1時間程要しました.
シミュレーションによる検討
システムシミュレーションモデル
以下に示すAnsys Twin BuilderのシステムシミュレーションのモデルはAnsys MaxwellのECE機能で作成した ROMに降圧チョッパの回路モデルと機構のモデルを結合したものになります.
上記のシステムシミュレーションのECEモデルは降圧チョッパ回路から電流を受け取って,機構モデルへ渡す力を出力する関数のような働きをしています.このECEモデルを直接FEMモデルにして計算することもAnsys Twin BuilderとAnsys Maxwellの連成解析を実施すれば可能ですが1ケースのシミュレーション掛かる時間が非常に多くなってしまいます(1ケースあたり1時間弱程度).ところが一度ECEでモデルを低次元化してしまえばAnsys Twin Builderで計算にかかる時間は4分程度と非常に高速に解くことが可能です.このようにシステムの中に電磁界シミュレーションのモデルをコンポーネントとして利用する場合にはECE機能は非常に有効な方法です.
結果の比較
以下のグラフはAnsys Twin BuilderとAnsys Maxwellの連成解析(コ・シミュレーション)の結果とECEを用いたシステムシミュレーションの結果を比較したものになります.
上記グラフの上段の結果はコ・シミュレーションの結果で,下段の結果がECEを用いたシステムシミュレーションの結果になります.(吸引)力とプランジャーの変位の結果をご覧いただくとコ・シミュレーションとECEでほぼ一致していることがお分かりいただけるかと思います.
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