CISPR25試験環境モデルを使用した放射エミッション解析

解析概要

車載機器のEMC試験であるCISPR25の放射エミッション試験では電波暗室を利用してEUTから放射される電磁波を測定します。これらの試験環境を含めた解析をするためには適切なモデリングが重要となりますが、Ansys HFSSは測定システムを含めたモデルが用意されており、試験対象となるモデルを用意するだけで放射エミッション解析が可能となります。

CISPR25 放射エミッション

図1. CISPR25放射エミッシン解析モデルの例

図1はCSIPR25 放射エミッションの解析モデルの例で、ここではEUT（プリント基板）からの放射エミッションを解析する方法を紹介します。Ansys HFSSのライブラリに用意されている CISPR25 放射エミッションの試験環境モデルには、バイコニカルアンテナ、ハーネス、支持台が含まれており、これに EUTのモデルを配置し、回路図にLISNとEUTの動作条件を追加し連成解析を実施することでノイズの評価が可能となります。

LISN回路 アンテナ係数

図2.LISN疑似電源回路網（左）、アンテナ係数（右）

CISPR25 放射エミッション

Ansys HFSSはアンテナ係数を考慮した結果を得ることができます。

図3 に 30MHz～300MHzのバイコニカルアンテナで得られた放射電解強度を示しています。Ansys HFSSには様々な帯域に対応したアンテナライブラリが用意されており、それらを用いることで他の周波数帯域の試験を実施することも可能です。

図3.放射電界強度

効果

Ansys 2020R1よりCISPR25の試験環境モデルが提供されたことで、これまで以上に効率的に放射エミッション解析が可能になり、試作前に解析を実施することでノイズ検証の効率化が行えます。