WAON Version 5.0

WAONの最新バージョンであるVersion 5.0をリリースしました。

リリース日

2020年6月

WAON Version 5.0の主な新機能と特徴

WAON 5.0:モデルビューワーの更新

  • 描画速度の向上
  • 半透明表示
  • 要素セット単位での表示制御
    • 半透明やワイヤーフレーム表示などの切り替え
  • マウス選択機能
    • 要素番号と節点番号の表示
    • 要素セット作成
    • 即時表示・即時非表示
  • 対称面表示

描画速度の向上

モデルのズームや回転、結果コンター表示時の描画性能が向上しました。節点数・要素数の多いモデルでも、操作時のストレスが低減されます。

節点数1,631,0332、要素数1,630,711の境界要素の音圧レベル結果表示に要する時間

WAON 4.53 725 [s]
WAON 5.0 2 [s]程度

半透明表示

境界要素メッシュおよび観測点メッシュを半透明表示できます。


観測点メッシュを半透明表示(左図)。その際は結果コンターも半透明表示(右図)。

要素セット単位での表示制御

従来、表示方法(塗りつぶしやワイヤーフレームなど)の変更はモデル全体に対して設定していました。Version 5.0では要素セットごとに表示方法を切り替えることができます。

マウス選択機能 ー要素番号と節点番号の表示ー

ピック操作で要素を選択すると、選択された要素の番号と関連する節点番号が表示されます。これにより結果のファイル出力時やグラフ作成時に必要な要素番号・節点番号を容易に確認することが可能となります。

マウス選択機能 ー要素セット作成ー

マウス選択により要素セットが作成できます。
要素セット作成時、選択方法として”マウスピッキング”を選択し、要素選択すると自動的に要素番号が詳細部に設定され、”適用”ボタンをクリックすると要素セットが作成されます。

マウス選択機能 ー即時表示・即時非表示ー

要素セットを介した操作ではなく、マウスで選択した要素の表示・非表示を切り替えることができます。モデル内部のメッシュや結果を確認したい場合に便利です。

対称面表示

Version 5.0では対称面が画面表示されます(薄紫の面)。

ANSYS Motionとのインターフェース機能

弾性体を含む機構運動解析(Multi Body Dynamics)における振動面からの放射音を、高速に算出する機能です。
モーターやギヤボックスなどの弾性体-機構運動連成問題を大規模自由度で解析する場合において、放射音を計算する際に効果的です。
回転運動を伴う物体からの放射音を評価する際には、周波数と回転数の二軸に対する放射音をウォーターフォール図で評価することが多いですが、音響伝達関数を用いた応答計算機能により、計算コストを短縮します。
解析の手順も容易で、ANSYS Motionが出力する*.dfmodalという名称のファイルを読み取り、計算に必要な下記の情報を読み取ることで、放射音を求めます。

  • 節点座標
  • 固有ベクトル
  • 各種応答値

解析例

  • ギヤボックスの入力軸に与える回転による機構および弾性体の応答をANSYS Motionで計算
  • ギヤボックス表面から評価点への音響伝達関数をWAONで計算
  • ANSYS Motionが生成したデータをWAONに入力し、評価点における周波数-回転数に対する音圧レベルを算出

伝達関数機能に関する追加機能

伝達関数による音響応答算出機能の結果表示項目に、次の二項目を追加しました。

  • 音圧寄与
  • 音圧寄与密度

「音圧寄与」は、特定評価点に対する要素の伝達関数と振動速度の積です。 「音圧寄与密度」は音圧寄与を要素の面積で割った値です。
これらにより、特定点の音圧に対する要素の寄与を把握できます。
この機能を使用するためには、伝達関数を計算したデータベースを開き、「解析結果」ツリーを選択します。そして速度境界条件を与えた際に選択可能となります。

モーダル応答値のグラフ表示機能

伝達関数による音響応答算出機能において、構造音響伝達関数を用いた場合(*1)に、次の二項目をグラフとして表示できます。

  • 構造音響伝達関数
  • モーダル応答

これらにより構造物の振動特性が音響応答に及ぼす影響を、構造モードを基に評価できます。
この機能を使用するためには、構造音響伝達関数を計算したデータベースを開き、「解析結果」ツリー→グラフを選択します。そして“対象”から“構造モード”を選択することにより、“データ”項目に該当の二項目が表示されます。

*1
構造物の固有ベクトルと伝達関数の積が構造音響伝達関数です。この値とモーダル応答値を乗ずることで音響応答を算出できます。