WAON Version4.5

WAONの最新バージョンであるVersion 4.5をリリースしました。

リリース日

2018年5月

WAON Version4.5の主な新機能と特徴

中間周波数帯域での必要メモリ量を大幅に低減する新FMBEMソルバーの開発

FMBEMソルバーで計算を実施する際、従来のWAONでは計算周波数に応じて低周波用のソルバー(LF-FMBEM)と高周波用のソルバー(HF-FMBEM)とを自動的に切り替えて使用しておりました。WAON4.5ではさらに中間周波数帯域用のソルバー(MF-FMBEM)が開発され、モデルによっては中間周波数帯域での必要メモリ量および計算時間が大幅に低減されます。

例として、図1に示す要素数186,380の人間の頭部モデルについて、50〜22,050[Hz]の計算を実施した時の各解析周波数における必要メモリ量とCPU時間を図2および図3に示します。従来のVersion4.42では5,000〜6,250[Hz]において、35[GB]という非常に高い必要メモリ量が要求されますが、Version4.5の新ソルバーを使用することによって、全周波数帯域に渡って10[GB]以下の低コストで計算が可能となりました。またVersion4.42において特に高い必要メモリ量が要求される帯域のCPU時間についても、Version4.5では大きく低減されております。

低周波用FMBEMソルバー(LF-FMBEM)の計算速度向上

低周波用のソルバー(LF-FMBEM)の計算速度が向上しました。向上速度はモデル規模や要素数等に依存しますが、図3より5,000[Hz]以下の低周波域領域において、CPU時間が最大数十パーセント短縮されているのが確認できます。

伝達関数計算機能

「各境界要素の振動速度」と「特定の観測点における音圧」間の音響伝達関数を、一回の応答計算とほぼ同等の計算量で算出する機能を開発しました。
音響伝達関数は音場形状、材料特性、吸音境界条件、周波数に依存しますが、振動速度境界条件には依存しません。そのため一度音響伝達関数を算出すれば、任意の振動速度境界条件における音圧応答を瞬時に計算することができます。

複数の構造固有値解析結果を一つの音響モデルに読み込む機能

WAONでは構造−音響連成解析において、構造固有値解析結果を音響モデルに読み込む必要があります。不連続な構造体が2つ以上存在する構造−音響連成モデルを作成する際、従来は不連続な構造体を一つの構造解析モデルとして固有値解析を実施してWAONに取り込む必要がありました。Version4.5では構造体ごとに実施した複数の固有値解析結果を一つの解析モデルに読み込むことができるようになりました。

バッチ操作による結果画像ファイル出力機能

WAONではGUI上で3次元のカラーコンター図やベクトル図などで音響解析結果を表示し、また画像ファイルとして出力することができます。Version4.5ではバッチ処理を用いてGUIを起動することなく画像ファイルを出力することができるようになりました。画像の幅、高さ、視点位置、角度を始めとして表示する結果データの種類、書式、色のレンジなどが、テキストファイルを用いて指定できます。