リリース情報
PlanetsⅩ 2023R2 リリース情報
PlanetsⅩ 2023R2 リリース情報の概要
2024年1月、PlanetsⅩ ver.2023R2がリリースされました。
Ansys対応バージョン
PlanetsX 2023R2 主なバージョンアップ機能
新規機能
1. ポッティング解析のキャピラリー移動設定
ポッティングの解析のためのキャピラリー移動パス設定のインターフェイスを実装しました。キャピラリーの位置はモデル上の節点を選択して設定します。位置に対応する時刻やキャピラリーの径、吐出量なども各々設定できます。

移動パス (矢印の方向に1秒間隔で移動)

ポッティング過程 (3.5s経過時)

キャピラリーの移動パス設定
2. ウェルドライン表示
従来のウェルドラインの評価ではウェルドアングル (会合角度) しか評価できませんでした。そのため、ポスト処理で角度を調整して表示する必要がありました。本バージョンではウェルドラインをライン表示する機能を実装し、ウェルド発生位置をより明確に評価することが可能となりました。

ウェルドアングル (従来からの表示)

ウェルドライン (新機能による表示)
3. 時間ステップ設定インターフェイス実装
Ver.2022R2まではユーザーが時間ステップを指定する場合、オプション「fpac.add」に記載する必要がありました。本バージョンではMechanical上にインターフェイスを実装し、時刻ごとの時間ステップを指定できるようになりました。また、ステージ (充填・保圧・冷却) ごとに時間ステップを指定できるようになりました。

ステージごとに時間ステップを指定する例
4. ヒケ・固化層率出力設定インターフェイス実装
Ver.2022R2まではヒケ・固化層率を出力させるスイッチ並びに計算パラメータを変更する場合、オプション「fpac.add」に記載する必要がありました。本バージョンではMechanical上にインターフェイスを実装し、出力の変更やパラメータ調整を行えるようになりました。

ヒケ・固化層率の出力設定項目
機能向上
1. 成形条件 (テーブルデータ) のパラメータスタディ対応
従来はテーブルデータで設定する成形条件 (多段射出条件、保圧条件など) はパラメータ化ができませんでした。本バージョンでは以下の条件の設定仕様を変更し、決まった段数までの条件であれば、パラメータにできるようにしました。

保圧条件の場合、1~3段を選択すると、パラメータ化 (「P」の付与) が可能
2. 熱硬化反応解析の結果項目追加
熱硬化反応解析の結果に、ゲル化点に到達した時刻およびその時の温度と圧力の項目を追加しました。いずれもゲル化点に到達した時点の樹脂の状態を評価することが可能です。

ゲル化点到達時間

ゲル化点到達時温度

ゲル化点到達時圧力
β機能
1. 「flex_server.ini」編集機能
PlanetsⅩではライセンスサーバーを変更すると、クライアントPCの設定 (「flex_server.ini」に指定しているサーバー名の変更) が必要になります。本バージョンではAnsys Workbenchのメニューから変更できるようになりました。ただし、本機能を使用するためには、あらかじめWorkbenchを管理者権限で起動する必要があります (管理者権限がないと「flex_server.ini」を保存できません)。
2. 重力、表面張力を時刻ごとにON/OFFする機能
通常、重力や表面張力を考慮する場合、その効果を途中で止めることはできません。本バージョンでは時刻ごとにそれぞれの影響をON/OFFできる機能を実装しました。本機能はオプション「fpac.add」ファイルを用いてテーブルデータ (時刻とON/OFFスイッチ) を設定します。
仕様変更
1. マッピングデータの相対パスの変更
PlanetsⅩのそり解析や構造連携解析などでは、PlanetsⅩの樹脂流動解析の温度や収縮率の出力結果を静的構造にマッピングしています。その際のマッピングに使用するデータファイルの保存先 (相対パス) の保存仕様が変更されています。そのため、ver.2022R2までのプロジェクト (wbpj) ファイルを本バージョン (ver.2023R2) 以降で読み込むと、パスの仕様の違いにより解析ができなくなります。その場合は、該当するオブジェクト (「そり解析設定」や「平均場法設定」より生成される「材料特性」やその下位の「参照温度」など) を削除して、再度生成した後、解析を実施してください。

2022R2までのパス

2023R2からのパス
2. オプション「fpac.add」ファイル生成内容の仕様変更
Ver.2022R2までの仕様では、ソルバーファイルディレクトリに「fpac.add」ファイルがない状態で編集すると、デフォルトの内容が生成されていました。そのため、「fpac.add」を編集した解析システムを複製すると、複製先に「fpac.add」がないためデフォルト内容に戻っていました。
本バージョンでは、一度「fpac.add」を編集するとその内容が解析システムにメモリーされる仕様としました。これにより、解析システムを複製した場合も複製先にメモリーされているため、「fpac.add」の内容も複製され、解析に反映されます。また、ソルバーファイルディレクトリに「fpac.add」がない状態で編集しようとすると初期化の確認メッセージが表示されます。「はい」を選択すると、デフォルト内容の「fpac.add」が生成されて開きます。「いいえ」を選択すると、解析システムにメモリーされている内容 (メモリーされていない場合はデフォルト内容) の「fpac.add」が生成されて開きます。
不具合の修正
Ver.2022R2から2023R2の間に修正された不具合を記載しています。ここには2022R2のバグフィックス版 (2022R2 rev1) にて修正された内容も含まれています。
① 樹脂物性データベースの1つに問題があったためデータベースから削除
② AURORA異メッシュマッピング時の単位系を修正
③ ウェルド安全率が表示されない不具合を修正
④ ホットランナー・バルブゲートの設定に関する以下の不具合を修正
- ホットランナーおよび注入点の温度が、設定どおりにならないことがある問題
- ホットランナーが二色成形に対応していない (色番号が正しく割り当てられない) 問題
- その他、収束性に関する軽微な変更 (収束性が改善)
⑤ スーパーインポーズ法を用いた際の重複領域判別基準を調整して計算安定性を向上
⑥ 流動残留応力解析における層数の上限の廃止して任意のメッシュに対応
⑦ 二色成形の界面の処理を修正して収束性を改善
⑧ 大規模なモデルにおいて、メモリーオーバーフローの可能性が見つかったため対応
既知の不具合
1. テーブルデータの不具合
- 症状: 値を設定したテーブルデータ (多段射出、結果の出力時間間隔など) を閉じて再度開くと、テーブルの値が元の値と異なっている場合があります。これはMechanicalを立ち上げなおすと発生することがあります。
- 回避方法: 値が異なっている場合は[適用]ボタンを押さず、[キャンセル]ボタンでテーブルを閉じてください。その後テーブルを開くと正しい値に戻っています。
2. 光学性能 (AURORA) 解析実行中のMechanicalの挙動
- 症状: 光学性能 (AURORA) の解析を実行中、Mechanicalの画面を操作・確認できません。
- 回避方法: Ansys Workbench (ACT) の仕様のため、回避できません。
3. ACP(Pre)の不具合
- 症状: ACP(Pre)で、Rosseteが日本語で「全体座標系」と表示され、これを選択するとエラーが生じます。
- 回避方法: Mechanical画面のツリーアウトライン中の座標系の名前がACP(Pre)に表示されますので、座標系の名前をデフォルトの全角「全体座標系」から半角英数字の名前に変更してください。
4. 安全率結果の平均化処理
- 症状: 安全率の機能において、Ansysの応力ツールの安全率と比べると、平均化結果に違いが見られることがあります。特に「最大引張り応力理論」において顕著で倍以上になることがあり、その他の理論では1~2割程度の差が表れます。
- 回避方法: 非平均化結果に違いは見られませんので、そちらで評価してください。
5. マッピング時に参照するデータファイルの保存場所
- 症状: 温度連成機能を利用したそり解析 (例えばチュートリアルの15) などでは、構造体の温度分布をそり解析に反映させるため、温度分布データをテキストファイルに保存して[参照温度]でマッピングさせます。このように、[参照温度]などのオブジェクトから参照するためのファイルを保存する際、保存先をプロジェクトファイル (*.wbpj) の場所と異なるドライブに保存すると、マッピング時にエラーが発生します。
- 回避方法: テキストファイルの保存先を、当該プロジェクトの「user_files」フォルダ内にしてください。「user_files」フォルダ内にサブフォルダを作成しても問題ありません。
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