リリース情報
PlanetsX 11.2 リリース情報
2021年12月、PlanetsⅩ ver.11.2がリリースされました。
Ansys対応バージョン
PlanetsX ver. 11.2(射出成形用)はAnsys Workbench 2021R2対応版です。
PlanetsX 11.2 主なバージョンアップ機能
新規機能
1.ガスアシスト成形解析機能
ガスアシスト成形は、金型内に充填された樹脂内部にガスを注入して中空製品を成形する方法で、低圧成形法として、またひけやそりを低減できる成形法として注目されています。今回リリースした解析機能では、ガスの注入点と注入圧力を設定することにより、ガスアシスト成形における樹脂の熱流動挙動やガス侵入挙動を計算します。解析結果より、ガス注入位置、ガス圧力、注入タイミングの設定などの検討を行うことができます。
本機能の詳細はヘルプドキュメントより『30.ガスアシスト成形解析マニュアル』をご参照ください。

ガス圧力・注入条件の設定例

充填中のスナップショット
2. 結晶化解析機能
本機能では、射出成形過程における結晶性樹脂の結晶化挙動を成形過程中の温度・圧力・応力に基づきシミュレートし、成形品の結晶化度を解析します。結晶化速度は温度に依存するため、冷却速度は結晶化に大きく影響します。また、材料の圧力・応力は融点やガラス転移点を変化させるため、これらも結晶化挙動に影響を及ぼします。解析によって得られた結晶化度の分布を熱流動特性や機械特性にフィードバックすることにより、熱流動現象やそり変形などを精度よく解析することが可能となります。
本機能の詳細はヘルプドキュメントより『31.結晶化解析マニュアル』をご参照ください。

解析例(保圧冷却中の樹脂温度と結晶化度)
3. 平均場法を用いた複合材料の構造解析機能 正式版
前バージョンにてβ版としてリリースしていた平均場法ですが、構造解析とのインターフェイスのGUIを実装し、弾塑性の4つの構成則に対応した正式版としてリリースいたします。
平均場法は、樹脂に含まれる繊維の含有率・アスペクト比・配向方向といった情報から複合材料としての機械特性を解析的に予測し、機械特性の異方性を考慮した構造解析を実施する手法です。本手法は均質化法とは異なり個々の繊維の位置関係等を考慮しないため、複合材料のミクロモデルを構築する必要がありません。そのため、比較的低い計算負荷で解析を実施することが可能です。本機能では等価介在物法に基づいて弾塑性特性を予測し、非線形構造解析を実施する機能をご提供します。
本機能の詳細はヘルプドキュメントより『29.平均場法プログラム 操作ガイド』をご参照ください。

等価介在物法のイメージ
マトリクス(樹脂)と繊維の複合材

複合材の応力-ひずみ関係の解析結果例
(繊維含有率10%、アスペクト比20)
機能向上
1.解析結果のポスト処理項目追加
PlanetsⅩで評価できる解析結果の多くは、樹脂の圧力・温度・収縮量といった、計算から得られる物理量そのものでした。しかしながら、実際に解析結果を評価して成形に活かすには、これらでは不十分な場合があり、ユーザーが結果データを加工・作成する必要がありました。本バージョンでは以下の結果情報を出力するようにしました。
①コンター・ベクトル
- フローフロントの温度・流速ベクトル
- V-P切替時の圧力
- 充填可能性の評価
- スキン層の配向度
- 固化時の圧力、固化温度到達時間
②グラフ(時系列データ)
- 充填された樹脂の重量の割合(常温常圧時の製品重量に対する)
- 型締力の中心座標・製品の重心座標
- 注入点ごとの充填圧力
詳細はヘルプドキュメントより『4.充填保圧冷却解析マニュアル』をご参照ください。
2. 光学性能評価(AURORA)の異メッシュ対応
従来のAURORAでは、樹脂流動解析からそり(静的構造)解析、光学性能評価解析までを、同一メッシュにて実施する必要がありました。本バージョンではこれらの解析に対し、すべて異なるメッシュを使用することが可能になりました。これにより、スプルー・ランナーを除いたそり変形の評価や、光学部品を別の部品に取り付けて使用する際の性能を評価することも可能です。
仕様変更
1. 温度計算アルゴリズムの設定
PlanetsⅩでは温度計算のアルゴリズムとして、「有限体積法」と「有限要素法」の2つを使用できます。デフォルトの「有限体積法」から変更する際、前バージョンまではオプション(fpac.add)の編集が必要でしたが、本バージョンより設定画面からの変更が可能となりました。

2. 金型冷却解析の結果を充填保圧冷却解析にインポートする際の設定
PlanetsⅩの金型冷却(過渡伝熱)解析では、得られた温度分布を充填保圧冷却解析の金型温度としてインポートし、各節点にマッピングしています。Ansysの仕様変更に伴い、温度分布のマッピング後のデータファイルがデフォルトで削除されるようになりました。このままでは金型冷却解析の結果が充填保圧冷却解析に反映されなくなりますので、[インポートされた荷重]の設定から[マッピングされたデータファイル]を「Yes」から「No」に変更した後、マッピングを実施してください。

既知の不具合
1. テーブルデータの不具合
症状: 値を設定したテーブルデータ (多段射出、結果の出力時間間隔など) を閉じて再度開くと、テーブルの値が元の値と異なっている場合があります。これはMechanicalを立ち上げなおすと発生することがあります。
回避方法: 値が異なっている場合は[適用]ボタンを押さず、[キャンセル]ボタンでテーブルを閉じてください。その後テーブルを開くと正しい値に戻っています。
2. 光学性能 (AURORA) 解析実行中のMechanicalの挙動
症状: 光学性能 (AURORA) の解析を実行中、Mechanicalの画面を操作・確認できません。
回避方法: ANSYS Workbench (ACT) の仕様のため、回避できません。
3. ACP(Pre)の不具合
症状: ACP(Pre)で、Rosseteが日本語で「全体座標系」と表示され、これを選択するとエラーが生じます。
回避方法: Mechanical画面のツリーアウトライン中の座標系の名前がACP(Pre)に表示されますので、座標系の名前をデフォルトの全角「全体座標系」から半角英数字の名前に変更してください。
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