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Multiscale.Sim

Multiscale.Sim®について

製品概要

Multiscale.Simはマルチスケール解析に必要な解析システムを有した、Ansys WorkbenchおよびMechanical APDL環境のアドインツールです。

 

近年、さまざまな業界でマルチマテリアル化による製品性能向上が検討されています。 
しかし一般に、複合材料にまつわる解析は容易ではありません。
NAFEMSによると複合材料をCAEで取り扱う解析者は材料物性値の準備に大きな課題を抱えています[1]。これは、材料のデータベースが圧倒的に不足していることにあります。材料の組み合わせが無数にあることに加え、材料特性が成形履歴に依存することなどがその背景にあります。材料特性に異方性があり実試験そのものが困難であることも、問題に拍車がかかる要因になっています。
これらの問題に対して解析技術が適用できれば、解決への大きな足掛かりになるのではと考えました。

 

そこで、東北大学 災害科学国際研究所の寺田賢二郎教授指導のもと、日本大学の平山紀夫教授、株式会社くいんとの協力を得てサイバネットシステムが開発したのがMultiscale.Simです。
Multiscale.Simが行うマルチスケール解析では、均質化解析による仮想的な材料実験(数値材料試験) の結果をマクロ構造解析に反映することで、複合材料を使用した構造の巨視的な挙動予測を可能とします。また、マクロモデル解析結果において要素を選択し、微視的な挙動を検証する局所化解析も可能です。
あらゆる複合材料に対して、材料レベルを見るミクロスケールの解析と、その材料からなる構造体レベルを見るマクロスケールの解析を相互に実施することで、より最適な材料設計や製品設計を可能とします。

 

また、解析を実行して収集した材料データベースを構築すれば、試作レスで人工知能により各製品に最適な材料を探し出す、いわゆるマテリアルズインフォマティクスも実現できます。軽量、高強度、高寿命な複合材料を用いた、サステナブルなものづくりを支援するツールです。

 

Reference
[1] The Composites WG Survey Team, NAFEMS Composites Survey, p.37 (2014)

主な機能

  • ミクロモデルテンプレート
    一般的に材料組織は非常に複雑な構造をなしており、手動による作成が非常に困難です。本機能を用いることで、それらのモデルをパラメトリックに自動作成することができるようになります。

 

  • 数値材料試験
    ミクロモデルテンプレートなどで作成した不均質な微細構造を基に、有限要素法により材料試験を実施します。実試験では困難な純せん断モードなどの試験も容易に実施できるため、異方性のある材料との親和性が高いことが特徴です。また、クリープや応力緩和等の非常に長い観測時間が必要な試験の結果も短時間で予測することができます。

 

  • 均質化解析
    数値材料試験で得られた材料応答を基に、マクロスケールな解析を実施するための等価な物性値を取得します。既存の汎用ツールでは対応していないことが多い、複合材料が持つ複雑な材料非線形や異方性のある問題にも対応しています。

 

  • 局所化解析
    マクロな実製品スケールの一部に着目して材料組織内部の応答を評価します。汎用ツールでは対応が難しい、材料組織のような小さなスケールを扱うことができます。局所化解析を実施することで、材料組織が製品性能に与える影響を定量化・可視化し、材料設計の指針を得ることができます。

機能詳細

モデル作成

さまざまな複合材料をモデル化することが可能です。こちらの機能は線形版、非線形版どちらにも搭載されています。

粉体材
フィラー分散複合材 
フォーム材
短繊維複合材
  - 短繊維分散
  - 短繊維/フィラー混合材
連続繊維複合材
  - 一方向材
  - 織物材/平織・綾織・つづら織 etc.
  - 組物材
  - NCF(Non Crimp Fabric)
ラティス構造
その他
  - 外部ツールの結果取り込み
  - 画像データからのモデル化
  - オーダーメイド

線形版

線形版ライセンスでは、材料の弾性特性に代表される線形問題を取り扱うことができます。微小な変形を仮定し、塑性・クリープ・粘弾性・破壊などの非線形挙動が無視できる解析に適用できます。

弾性解析 : 弾性率、ポアソン比、せん断弾性率、線膨張係数、密度
※ 弾性率は全方向に微視構造が連続的に連なっていることを仮定した“ソリッド均質化”と、2つの方向にだけそれらの条件を仮定した薄板構造用の“シェル均質化”の2種類を実装。
伝熱解析 : 熱伝導率、比熱
浸透解析 : 浸透係数
電流解析 : 電気抵抗率
電場解析 : 比誘電率
磁場解析 : 比透磁率
局所化解析: 線形局所化

非線形版

非線形版ライセンスでは、線形問題に加えて、多種多様な材料非線形および幾何学的な非線形問題を考慮したマルチスケール解析も実施できます。
  •  均質化解析(数値材料試験) : 弾塑性、クリープ、超弾性、粘弾性
    ※ 数値材料試験はWorkbench Mechanicalを用いた陰解法とWorkbench LS-DYNAを用いた陽解法による実行環境の両方を提供します。
  • 均質化解析(物性値同定) : 弾塑性、クリープ、超弾性、粘弾性
  • 局所化解析 : 幾何学的非線形、材料非線形(弾塑性、クリープ、超弾性、粘弾性)

外部ツール連携

下記のソフトウェア・ツールと連携させることができます。
  • 連続繊維複合材/プレス成型品
        - Ansys Composite PrepPost
  • 短繊維複合材/射出成型品
        - PlanetsX
        - Moldex3D
        - Moldflow
  • 粉体圧粉成型品/全固体電池 etc.
        - Ansys Rocky
        - Ansys LS-DYNA
  • データベース活用/マテリアルズインフォマティクス
        - Ansys Granta MI
  • 最適化/リバースエンジニアリング
        - Ansys DesignXplorer
        - Ansys optisLang
        - Optimus
  • 画像データ活用(X線CT/EBSD)
        - Simpleware

ライセンス/稼働環境

  • Windows10/ Windows11 (64bit)
  • Ansys Workbench環境、Ansys Mechanical APDL(旧Classic)環境
  • Ansys製品の以下のライセンスにて対応
    ※Ansys Academic製品をお使いの場合、利用できる解析の規模は、お持ちの製品で利用可能なメッシュ規模に準じます。

各解析機能と必要なライセンス構成

  Mechanical Pro Mechanical Premium Mechanical Enterprize LS-DYNA
弾性係数 ×
熱伝導率 ×
線膨張係数 ×
浸透係数 ×
密度 ×
比熱 ×
誘電率 1 1 ×
透磁率 1 1 ×
電気抵抗率 1 1 ×
数値材料試験(弾塑性) ×
数値材料試験(クリープ) × ×
数値材料試験(超弾性) ×
数値材料試験(応力緩和) × ×
弾塑性均質化解析 × × ×
超弾性均質化解析 × × ×
粘弾性均質化解析 × × ×
クリープ均質化解析 × × ×
線形局所化解析 ×
非線形局所化解析 × × ×

※1 伝熱解析のシステムで代用

価格

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