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静水圧(せいすいあつ)
英訳:hydrostatic pressure
静水圧は構造解析、流体解析ともに用いられる用語です。
まず、構造解析における静水圧について解説します。
構造解析では2つの意味があります。
- 静止した水中にある構造物にかかる一様な圧力
- 境界条件としての静水圧
1)静止した水中にある物体にかかる一様な圧力
水中にある物体には、全方向から一様な圧力がかかり、その圧力を静水圧と呼びます。

2)境界条件としての静水圧
CAEソフトによっては、水深に応じた水圧を負荷できる機能を持つものがあり、この機能のことを「静水圧」と表記している場合があります。
この条件では、水圧は水深の関数となり、水深が深くなるほど圧力も高くなります。

なお、静水圧と静水圧応力は混同されることがあるため注意が必要です。
静水圧応力は平均応力や平均垂直応力とも呼ばれ、以下のように定義されます。
通常、記号σ m で表記されます。

静水圧pと静水圧応力σ m は以下の関係があります。
応力は引張が正であるため、符号が逆になります。

次に、流体解析における静水圧について解説します。
流体解析における静水圧とは、流体に外力として重力が加わった場合の圧力で、ベルヌーイの式を圧力によって表現した以下の式の、左辺第三項にあたります。
流体の密度に重力加速度と水深をかけたものになりますので、水深が深いほど大きな力になります。

解析で静水圧を考慮したい場合は、重力の考慮(設定)が必要となります。
一般的に使用される単位
- SI単位系では Pa(パスカル)
- 長さの単位をミリメートルとしたときは MPa(メガパスカル)
Ansysにおける取扱い
- Ansysの静水圧応力結果はHPRESと略して表記されることがあります。
- Ansys FluentおよびAnsys CFXでは、解析結果として静水圧を確認することが可能です(解析条件として重力の設定を行う必要があります)。
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