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RANS(らんず)
英訳:RANS(Reynolds-Averaged Navier-Stokes)
RANSとは乱流モデルのひとつで、 Reynolds-Averaged Navier-Stokesの頭文字をとったものです。レイノルズ平均モデルと訳されます。
RANSは流体の運動方程式であるナビエストークス方程式をアンサンブル平均して解く手法で、乱流の影響はすべて乱流モデルで表現します。
RANSでは空間的・時間的に平均化を行うため、計算コストの削減が可能です。二次元、定常解析も可能なため、産業分野で一般的に活用されています。
時間的に平均化を行うので、流れの非定常性を確認したい場合には向きません。
空間的にも平均化を行うので、剥離流れのように非対称性(異方性)がある流れを確認したい場合にも注意が必要です。
RANSの中にも様々なモデルがあり、流れ場に適したモデルの選択が必要です。以下はよく使用されるモデルの特徴です。
Spalart-Allmarasモデル:
航空機周りや小規模剥離と再循環を伴う流れの解析に適する(参考文献_33.Boundary-layer separation on body of revolution)。
標準k-εモデル:
収束性がよく産業界において最も広く使用されている。強力な圧力勾配、剥離、強い曲率流れを伴う複雑な流れには適さない(流れが再現できない)。
Realizable k-ε(RKE) モデル:
強い逆圧力勾配、剥離、および再循環下での回転、境界層を伴う流れの解析に適する(境界層剥離、円柱からの渦放出(参考文献_48.Circular cylinder at R=10000), 拡大ディヒューザ流れ(参考文献_38.Laminar separation from a curved wall)、室内換気など)。
低Re k-εモデル:
壁面の熱伝達係数を確認したい場合に適する。
標準k-ωモデル:
壁境界流れ、自由せん断流れおよび低レイノルズ数流れ、逆圧力勾配や剥離下(参考文献_164.Effects of strong pressure gradients)での複雑な境界層流れ(参考文献_156.Comparison of laminar and turbulent boundary)に適する (外部流れやターボ機械内流れなど)。ただし剥離の予測が過大かつ早めになる傾向があるので注意が必要。
Ansysにおける取扱い
- Ansys CFX、Ansys Fluentともに定常解析、非定常解析、二次元解析(準二次元)、三次元解析で使用可能です。
参考文献
An Album of Fluid Motion(Van Dyke) (PDF:33.5MB)
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