CAEを学ぶ
粘弾性(ねんだんせい)
英訳:viscoelasticity / viscous elasticity
粘弾性とは、弾性体であるゴムのような伸び縮みする性質と、オイルのような流動とを兼ね備えた性質のことです。
身近な粘弾性の例
- スライム
速い動きに対してはゴムのように振舞い、斜面に置いておけば液体のようにゆっくり流れ出す。 - 寒天やゼリー
普通は弾力のある固体だが、放っておくと徐々に変形していく。(流体のような性質を示す)
このような材料は、固体と流体の性質を併せ持っているといえます。
また、特徴的な性質として「速度依存」と「温度依存」があります。
【速度依存の例】
- ガムを手で持ってゆっくり引き伸ばすと、徐々に細くなりながら伸びていきます。(流体の性質)
- ガムを床にたたきつけると、跳ね返ったり割れたりします。(固体の性質)
同じ物体、同じ温度条件下においても与える物理条件(力の与え方)により挙動が異なります。
【温度依存の例】
- 冷蔵庫でガムを十分に冷やしてから食べると、ボロボロの食感になります。(固体の性質)
- 暑い部屋に放置してあるガムを食べると、フニャフニャの食感。(流体の性質)
同じ物体、同じ物理条件(力の与え方)においても温度条件により挙動が異なります。
粘弾性材料に荷重を負荷すると、荷重の負荷方法により、応力緩和またはクリープという性質が表れます。
- 応力緩和
一定のひずみをキープすると、徐々に応力が緩和する現象。
- クリープ
一定の応力をキープすると、徐々にひずみが増大する現象。
応力緩和やクリープを力学的に表すモデルとして、Maxwellモデルが考案されました。これはバネとダンパーを直列につないだものです。
(他にはバネとダンパーを並列につないだVoigtモデルもあります)
Maxwellモデルに荷重を負荷すると、以下のようになります。
もっと複雑な材料挙動を表現するために、Maxwellモデルを並列につないだ一般化Maxwellモデルというものがあります。
CAEで一般化Maxwellモデルを利用するために、一般化Maxwellモデルの各バネの剛性をG i 、ダンパーの緩和時間をτ i として、モデル全体の剛性をProny級数で定義します。
(緩和時間とは、剛性が初期の1/eになる時間のことです)
ここでG(t)を緩和弾性率と呼びます。
Ansysにおける取扱い
- Ansysの構造解析では、粘弾性材料は速度依存の特性はProny級数、温度依存の特性はシフト関数で表現する方法がとられます。
- Prony級数の入力方法など、詳しくはお問合せください。
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