CAEを学ぶ
異方性(いほうせい)
英訳:anisotropic(異方性)/ orthotropic(直交異方性)
CAEにおける異方性とは、方向により特性が異なる材料物性を指すことが多いです。
構造解析では、X方向・Y方向・Z方向それぞれでヤング率が異なるような材料は異方性材料です。
異方性には直交異方性と異方性(完全異方性ともいう)があります。
以下、構造解析を例に説明します。
構造解析で応力とひずみは、以下の式で関係付けられます。

ここで[D]はDマトリクス(弾性係数マトリクス)です。
[D] -1 は弾性コンプライアンスマトリクスです。
異方性(完全異方性)は、Dマトリクスのc 11~66 の係数をすべて指定します。

直交異方性では、しばしば[D] -1 マトリクス(弾性コンプライアンスマトリクス)を工学表記で次のように表します。

[D] -1 マトリクスは、対称であると想定されるため、以下のようになります。

上記の関係のため、各ポアソン比は独立な値ではありません。
直交異方性材料を定義するには、以下のパラメータが必要になります。
各方向の縦弾性率:E x ,E y ,E z
各方向の横弾性率:G xy ,G yz ,G xz
大ポアソン比:ν xy ,ν yz ,ν xz
(大ポアソン比の代わりに小ポアソン比を入力してもよい)
もし、E x =E y =E z で、かつ、ν xy =ν yz =ν xz であれば、等方性材料となります。
Ansysにおける取扱い
- Ansysでは直交異方性材料および異方性材料を利用できます。
- 構造解析における異方性弾性はANELと略して表記されることがあります。
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