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表面張力(ひょうめんちょうりょく)

英訳:Surface Tension

液体や固体が気体に接している境界面のことを表面といい、表面張力とはその表面をできるだけ小さくしようとする性質のことです。
例えば水滴を考えた場合、水の内部では水分子同士の間に均等に分子間力が働きますが、空気との境界面では水分子と空気(窒素や酸素)の間で分子間力が働きます。
このとき空気の分子が表面の水分子を引き寄せる力より、内部の水分子が表面の水分子を引き寄せる力の方が圧倒的に大きいため、水滴表面に表面張力が生じ、表面を最小にしようとするため球状になります(図1)。

図1:空気中の水の表面張力図1:空気中の水の表面張力

表面張力は以下の式で、単位面積当たりの表面自由エネルギーとして定義されます。

温度が上がると分子の運動が活発になるため、表面張力は低くなります。また界面活性剤などの表面を活性化させる物質を用いて減らすこともできます。

表面張力は測定可能で、以下のような測定方法があります。特に懸滴法は原理的に安定して計測ができます。

プレート法:

プレートを液体試料に浸し、プレートを液中に引き込む力より算出する

リング法:

リング状の測定子を液体試料に浸して引き上げ、リングに形成された液膜にかかる力より算出する

懸滴法:

鉛直方向に向けた細管から液体を押し出し、先端にぶらさがった液滴の形状を解析する

最大泡圧法:

液体中に挿した細管に気体を流し、気泡を発生させたときの最大圧力より算出する

液体表面と同様に固体表面にも表面張力がありますが、固体分子は液体分子ほど自由には動けないため、表面自由エネルギーを使って表面積を最小にするのは容易ではありません。
そこで表面自由エネルギーで気体や液体、微粒子を吸着したり、ほかの固体と付着しようとします。これが固体表面のぬれやすさに関係します。

インクジェットやはんだの濡れ上がり、シリコンの結晶成長、被覆、マイクロ流体工学の解析では表面張力が重要になります。
表面張力を考慮した解析では不明慮な界面を回避するために界面のメッシュを細かくする必要があります。非定常計算では計算中に一度界面が不明慮になるとその状態が維持され、その後の表面張力の曲率の計算に影響する可能性があるため、注意が必要です。

また計算の際には倍精度での計算が推奨されます。

Ansys Fluent、Ansys CFXともに可変表面張力(温度勾配によって表面張力勾配が生じる)が実装されているため、マランゴニ対流の解析が可能です。

一般的に使用される単位

  • SI単位ではN/m(ニュートン毎メートル)
  • CGS単位ではdyn/cm(ダイン毎センチメートル)

Ansysにおける取扱い

  • Ansys FluentおよびAnsys CFXでは表面張力を考慮した解析が可能です。

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